決勝まで行きたい
里見のひざには、トレードマークともなった谷川浩司九段の書が入った青いタオル。
そして傍らには村山聖九段の扇子も。
女流では抜群の終盤力と評価の高い里見には、
終盤の天才が2人も味方についていた。
△6九角成自体は難しい手ではない。
その後の反撃を正確に読み切るところに価値がある。
里見は「△6九角成で勝ちと思ったが、何かあるのではと安心できなかった」という。
ただ指し手は早く、以降はほぼノータイムだった。
投了図以下は、▲同玉に△7八角以下詰み。
終始落ち着いた指し回しで、里見は強い勝ち方だった。
里見の印象を中井に聞いてみると、「実戦派。相手が嫌がる手を指してくる」と評した。一方の里見は「すなおにうれしい」と笑顔をはじけさせた。
対局翌日、高校の担任の先生に結果を聞かれたという。
「自分らしい将棋で決勝までいきたい」と里見。
大敵を破ってベスト8に歩を進めた。