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熱中症ミニ知識

熱中症ミニ知識(8)- 冷えすぎないための快適なエアコンの使い方

室温を下げるもっとも簡単な方法はエアコンを使用することですが、高齢者の方に限らず「エアコンは体が冷えるので使いたくない」と嫌う方が多いのではないでしょうか?

あっという間に関東の梅雨も明けてしまい、2013年の夏はかなりの猛暑となっています。体が暑さに慣れていない状態で急激に気温が上昇すると熱中症になりやく注意が必要です。7月1日?7日の1週間で救急搬送された人は2594名にものぼり、内訳は、死亡3名、重症58名、中等症773名、軽症1695名、その他65名となっています。

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いよいよ夏本番です。アウトドアで活動することが多くなる季節ですが、熱中症には充分気をつけましょう。
風疹より多い熱中症の発症

報道を見ていて目立つのが相も変わらず子ども達の救急搬送です。全体の比率では、高齢者、成人に次いで3番目になりますが、これだけ熱中症が毎年問題になっていながら、1週間で458名も搬送された事実には驚くばかりです。

熱中症はインフルエンザや風疹のようにウィルスによって発症するものではなく、周囲の環境によって発症するものなので100%防ぐことが可能です。水分の補給は当然ですが、暑ければ外に出ない、熱気のこもった体育館で運動をさせない、教室にいる時は風通しを良くするか扇風機やエアコンを使用して体温の上昇を防ぐ、これだけで予防することがでます。

水分さえ補給していれば外で運動させても大丈夫だろうと勘違いしている教師が多いようですが、それだけで熱中症を防止することはできません。同じことが毎年繰り返えされているにもかかわらず、なぜ教育機関は未だに熱中症を発症させてしまうのか不思議でなりません(「熱中症の悲劇はなぜ繰り返されるのか? - 学校関係者の方は細心の注意を」参照)。

今年大流行している風疹の累積数は現時点で1万2469人(1週~27週)ですが、2012年の風疹累積数は2392人です。ところが、熱中症の救急搬送数は、2011年で53,843人(内少年は6045人)、2012年4万3864人(内少年は6121人)、今年は6月だけでもすでに4,265 人(内少年は617人)でこれから一気に増加していきます。毎年、コンスタントに4万~5万人(少年は6000人前後)が発症している恐ろしい病気ですが、風疹と違って防ぐことができるにも関わらず、子どもの命を預かっているはずの教育機関の対応には歯痒くて仕方がありません。

エアコンを使用しない高齢者への対応

一方、高齢者がエアコンを使用せずに熱中症で搬送・死亡されているケースが多いことも気になります。勤務中でない限りは、成人が熱中症になるのは自己責任と言われても仕方ないのですが、高齢者は暑さを感じにくくなっているため、なかなか正しい行動が取れません。温湿計を使用して自分のいる場所の状態を数値で正確に把握して対処してもらうのが一番よいのですが、熱中症で倒れるその日までほとんどの方は気温を測ることはしないでしょう。これについては、家族が細かく気を使うしかありませんが、せめてエアコンが備えられた熱中症が起きにくい場所で発症するのは未然に防ぎたいものです。

日光が直接当たる室外では体温が上昇しやすく、路面は信じられない熱さになるので気温も非常に高くなります。「熱中症ミニ知識(4)- 天気予報やアメダスの数値をそのまま信じるのは危ない」でも述べたように天気予報の予測値やアメダスの計測値はあくまでも「周囲の地形や建物、樹木等の影響をできるだけ避け、風通しがよく、日当りのよい地面に芝生を植えた環境」です。そのため、アスファルトやコンクリートで囲まれた実際の生活環境では5度~10度は気温が高くなるのが普通です。

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アメダスの観測施設の1つです。このように計測機器の下には芝生が植えられています。

室内も屋根や壁に仕切られているとはいえ、屋根や壁に断熱材がきちんと使用されていないと熱がそのまま室内に伝わってしまいます。窓を開けて風通しをよくしていれば大丈夫なようにも思えますが、周囲にビルや道路があるとその輻射熱が入ってくるため、室内にいても外にいるのとほとんど変わらないような状況になることあります。森林と川に囲まれた山麓の一軒家でもない限り、室内だからと言って安心はできないのです。

エアコンを使用すると室内での発症は防げるが

日中の気温が軽く30度を超し、夜間も熱帯夜が続くようであれば、室内の気温を下げる必要が出てきます。扇風機は風で体の熱を奪うことによって体温を下げることができますが(正確には体表面の水分を気化させて体温を下げる)、室温そのものを変えることはできません。

室温を下げるもっとも簡単な方法はエアコンを使用することですが、高齢者の方に限らず「エアコンは体が冷えるので使いたくない」と嫌う方が多いのではないでしょうか?それに加えて高齢者は暑さを感じにくいために周囲がいくらエアコンを使用するように注意してもエアコンを使用せず、その結果、室内で熱中症になるケースが多発しています。

しかし、エアコンを嫌う理由もわかります。エアコンから送り出される風は熱交換器によって温度が下げられているだけでなく、含まれている水分が水滴となって減少しているため湿度も下がっています。つまり、室温が下がるとともに体表面の水分も気化しやすくなるため、効率よく冷やすという意味では理想的なシステムなのですが、長時間使用したり、体に直接風が当たるとかなり冷たく感じてしまうのも確かです。外気との気温差があまりにも大きいと自律神経失調症になり、頭痛や肩こり、不眠症、食欲不振といった体調不良につながることもあります。

また、単純な機能しか装備していない古い製品や低価格の製品は、本体で室温を測定して温度をコントロールしているものがほとんどで、これが冷え過ぎの原因になることもあります。

暖かい空気は上に冷たい空気は下にたまることは皆さんご存知だと思いますが、高い位置に設置されたエアコンの周囲は温度が高くなりやすく、逆に人が生活している床に近い部分は低くなりやすいので、エアコンの測定値と人のいる場所の温度に大きな差が出てしまうことがよくあります。床に座って食事をしたり布団で寝たりする生活様式の家庭ではこれが起きやすいわけですが、「28度に設定したのにやけに冷えるな」と思ったら、自分のいる場所の気温と湿度を直接計ってみましょう。28度よりも低かったり、あるいは思っていたよりも湿度が低い可能性があります。

逆に陽の当たる窓側や冷蔵庫のように熱を室外に出さないタイプの冷却装置、大画面のテレビ、ハードディスクレコーダ、デスクトップタイプのパソコンの周辺はエアコンの周辺よりも温度が高くなりがちです。特に調理で火を使用するとその場所だけ一気に高温になることもあります。エアコンの設定温度は、自分のいる場所を基準に設定することがとても大切です。そのためには、安くてもいいので手軽に持ち運びできる温度計(できれば湿度計付き)を用意しておくことをおすすめします。

どうすればエアコンを快適に使用できるのか

最近のエアコンは、さまざまな機能を搭載しており、温度のコントロールだけでなく、部屋全体の温度を測定して風を当てる場所を自動的に考えてくれたり、人を感知してムダなく風を送ったりする製品まで発売されています。これらの機能は、上位モデルに搭載されていており、省電力だけでなく部分的な冷え過ぎにも有効なのですがとても高価なので、すべての家庭で導入するのは難しく、どちらかと言えば、単純な機能の製品を使われている家庭がほとんどでしょう。

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古いものや低価格のものは機能が少なく、細やかなコントロールはできません。しかし、簡単に買い替えるわけにもいきませんよね。

低価格の製品は、本体のセンサで室温を制御するだけなので、なかなか思ったように働いてくれません。この状態を解消する手っ取り早い方法は、部屋の空気全体をほぼ均一にすればよいわけです。扇風機や冬の暖房時によく利用されるエアーサーキュレータを使用して、室内の空気を撹拌することによってエアコンの設置位置と人のいる場所の部分的な温度の差を減らすのが手っ取り早いでしょう。

エアコンと同時に扇風機を動かすのはもったいないと思われるかもしれませんが、実はエアコンを単独で使用するよりも併用したほうが冷え過ぎのムダがなくなり節電につながるのです。さらに直接冷気が体に当たらないことでエアコンによる体調不良も防止することができるので一石二鳥です。

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室内の空気の撹拌を行うためのエアーサーキュレータ。扇風機のように広範囲に風を当てるためのものではありません。
エアコンが苦手な人は「再熱除湿」や「熱リサイクル除湿」機能を搭載したエアコンを導入する

それでもエアコンの風が苦手な場合には、エアコンの上位モデルの中にはさまざまなモードを選択できるものがあるので、これを導入するという方法もあります。エアコンの冷房機能は、先にも述べたように湿度を下げながら温度を下げる方式が一般的です。

「えっ、冷房と除湿って別なんじゃないの?」と言われる方がいると思いますが、基本的には両方同時に行っています。つまり、冷房であろうが除湿であろうが、温度を下げるようとすると湿度も下がり、湿度を下げようとすると温度も下がってしまうのです。一般的に売られている製品で、気温だけを下げる、湿度だけを下げる、というエアコンは残念ながら存在しません。

メーカーによって表記がまちまちなのでわかりづらいかもしれませんが、気温を下げると同時に除湿することを「冷房」あるいは「弱冷房」「冷房除湿」「弱冷房除湿」と言います。これらは、基本的にやっていることは同じで、目的が設定温度なのか設定湿度なのかの違いによって小刻みに運転を制御するなどして冷房方法を変えているだけなのです。

ところが、「気温だけを下げる、湿度だけを下げる」という製品はないといいましたが、実はそれが可能なエアコンが登場しました。目的の設定湿度に向けて温度を下げずに湿度だけ下げる「再熱除湿」「熱リサイクル除湿」方式がそれです。これらは、湿度を下げて温度が下がった空気を後加工するというもので、湿度だけを下げているわけではありませんが、結果として目的をクリアしています。

「再熱除湿」は湿気を取った後に部屋に戻す前の空気を温めて出すという荒技で、湿気だけが低くなったような状態にすることできます。震災の後に「冷房のほうが除湿よりも節電になる」という報道が流れましたが、多くの方が、「除湿は冷やさないから使用する電気が少ないと思っていたのに」と疑問を持たれたことでしょう。

その理由がこれなのです。わざわざ温度を下げた空気をを温めるわけですからどうしても電気を多めに消費してしまい反エコ的側面はありますが、エアコンが苦手な人に使用してもらえるきっかけになるかもしれませんし、何よりも冷え過ぎや自律神経失調症になるリスクが減ります。

「熱リサイクル除湿」は、熱交換をして外に捨てていた熱を利用して空気を暖めるためることによって消費電力を改善した方式です。余談ですが、室外機を利用して外気の水分子を取り出して部屋の空気に混ぜる「無給水加湿」という加湿技術をダイキンが開発しており、除湿も加湿もコントーロールできる機能を上位モデルに搭載しています。

タイマーを活用したり予め部屋の温度を下げてからエアコンを消して寝る

夜間の冷房の設定はかなり難しいものです。つけっぱなしにすると冷え過ぎて寒くなってしまうし、消してしまうと暑さで目が覚めてしまいます。手身近な方法として就寝後1時間~2時間で消えるようにタイマーを設定すれば、ちょうど深い眠りに入り出したころにエアコンが停止します。

ただ、熱帯夜ですと再び室温が上昇して寝苦しくなり、目が覚めることがあります。そんな場合は、「タイマー入」と「タイマー切」がつているタイプは、「タイマー切」を就寝後1時間ぐらいに設定し、部屋が暑くなってきた頃に再び電源が入るように「タイマー入」の時間を設定します。「タイマー入」「タイマー切」に加えて「おやすみ」(1時間後、2時間後のように切れる時間を設定できる)ボタンが付いているとより細かい設定ができますが、低価格の製品ではタイマーが「入」か「切」のどちらか1つだけしか設定できないものもあります。そんな場合には寝る数時間前から部屋をキンキンに冷やしておいて寝る際に電源を切り、数時間後に電源が入るようにしておくとよいでしょう。ただし、寝過ごすと電源が入りっぱなしのため冷え過ぎてしまうので注意が必要です。

人がいない状態でエアコンを使用するのはもったいないと思われるかもしれませんが、屋根や壁は日中の高温でかなり熱を持っており、寝る直前にエアコンの電源を入れても温度がなかなか下がりません。結局のところ、しばらくの間エアコンを「強」で動かさなくてはいけなくなるため、それなら予め部屋を冷やしておいて、寝る際に消したほうが冷たい風の影響も受けずにすみます。予め部屋を冷やしておいて電源を切る方法は、エアコンが苦手な方にも有効なので試してみてはいかがでしょうか。

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Amazon等のネットストアには最新のエアコンがずらりと並びます。最新のエアコンには、温度だけでなく湿度も細やかにコントロールすための機能が搭載されています。

もちろん、各メーカーの最上位モデルになればなるほど冷房と除湿のコントロールを細かく行い、さらにヒータや熱リサイクルによって部屋に戻す空気を温める機能が備わるため、個人個人にあった冷房が選択できるようになります。タイマー機能もかなり充実しています。ただし、それなりの投資額になってしまうので悩ましいところですが、高齢者にエアコンを使用してもらうためには考えてもいいかもしれません。

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