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熱中症ミニ知識

熱中症ミニ知識(7)- 高齢者を熱中症から守るための工夫

搬送患者の構成比率は、高齢者が45.2%、成人39.3%、少年14.6%、乳幼児0.9%でした。症状の構成比率は、死亡0.2%、重症2.3%、中等症32.9%、軽症63.5%です。

2012年7月の熱中症による救急搬送の状況が消防庁より発表されました。2万1082人が搬送され、2011年の同時期と比較して17.4%の増加となりました。消防庁によれば、調査開始以来7月では過去最高で、月単位でも2010年8月の2万8448人に次ぐ2番目の値だということです。

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グラフは、2012年7月における全国の熱中症による救急搬送数と日本でも有数の最高気温を記録する熊谷の最高気温を参考として掲載しています。

搬送患者の構成比率は、高齢者が45.2%、成人39.3%、少年14.6%、乳幼児0.9%でした。症状の構成比率は、死亡0.2%、重症2.3%、中等症32.9%、軽症63.5%です。きちんと予防すればかからずに済む病気でありながら37人もの方が亡くなられてしまいました。

さて、これまでの記事を見ていただくとおわかりだと思いますが、熱中症で常に高い比率になっているの高齢者と成人です。消防庁では65歳以上を高齢者としていますが、2009年~2011年の3年間(7月~9月)の救急搬送のデータを見てみると、毎年8割以上が高齢者と成人で占められています。

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2009年~2011年の救急搬送のデータ

医学博士の清益功浩先生は「携帯型熱中指標計「見守りっち」付き熱中症対策ガイド」の中で、高齢者が熱中症にかかりやすい主な理由を以下のように挙げています。

◯体内の水分量が53%しかない
◯暑さを自覚しにくい
◯のどの渇きを自覚しにくい
◯皮膚の血液量を増やしたり汗をかくのが遅れがちである

また、清益先生は、熱中症によって別の病気を併発する可能性もあると述べています。詳細は、「携帯型熱中指標計「見守りっち」付き熱中症対策ガイド」をご覧いただくとして、高齢者は多くの不利な条件によって救急搬送数全体の4割以上も占める結果となっています。

独立行政法人国立環境研究所では、高齢者がもっとも熱中症を多く発生している場所は「自宅(居室)」で約半数を占めているというの調査結果を発表しています。

成人は「屋外作業」がトップですが、「自宅(居室)」や「道路・駐車場」などと比べてそれほど値に大きな差はありません。成人の場合は主に仕事中に熱中症にかかる人が多く労働環境の改善や熱中症に対する配慮が問題になっています。仕事中は、熱中症になる危険性はわかっていても我慢してしまうケースがあり、しっかりとした対策が求められています。

では、高齢者はどうでしょうか。屋外に比べれば日差しに直接当たることがなく、エアコンや扇風機も使用できる「自宅(居室)」は比較的安全と思いがちですが、実際には約半数も占めているのは驚きです。しかし、先に挙げた清益先生の高齢者特有の状況を考慮すると不思議ではなくなってきます。

◯体内の水分量が53%しかない→体内の水分が不足しがち→熱中症になりやすい
◯暑さを自覚しにくい→気温が高くても気づかない→エアコンや扇風機を使用しない
◯のどの渇きを自覚しにくい→水を飲みたいと思わない→水分補給が不十分になる
◯皮膚の血液量を増やしたり汗をかくのが遅れがちである→体温調整がうまくできない→体温を下げられない

熱中症になりやすい体であることに加えて、暑さを自覚しにくいためにエアコンや扇風機を使用しない方がとても多く、これが室内にいても熱中症になってしまう原因の一つになっています。さらに、ただでさえ体内の水分量が少ないのに、のどの渇きを感じないために水分の補給が少なくなりがちです。そして、体温調整もうまくできないので、成人に比べると熱中症のなりやすさがもともと違います。そして、熱が溜まると循環器系への負担が大きくなり、心臓や腎臓に病を抱えている方はそちらにも影響が出てしまいます。

高齢者は熱中症にかかりやすいだけでなく、発症した後により危険な状態になる可能性も高いのです。

高齢者にこれらの事実をよく理解してもらい熱中症にかからないように自分で気をつけてもらうことが大切なのですが、上記以外の問題がそれを阻みます。それは、「年代的に我慢強い世代である」ということと、とても失礼だとは思いますが「頑固な人が多い」ことです。

性格の問題とも言えますし、病気と違って個人差も大きいため、熱中症予防のリーフレットやマスコミの報道ではこの点に触れることはほとんどありません。しかし、この2つを周囲がきちんと認識して対応しないと熱中症を減らすことはできないのではないかと感じています。

しかし、我慢強い人に「我慢しなくていいから」と言っても簡単に聞くわけがありません。そして、頑固な人に「頑固だからダメなんだよ」なんて言ったら逆効果ですよね。実際に熱中症で倒れればこの病気の恐ろしさをわかってもらえるかもしれませんが、高齢者はさまざまな病気を抱えており、一度でも発症してしまうと取り返しのつかないことになってしまいます。

この問題については、これだという対処方法はないので、周囲の方が正しい知識を学んで、熱中症がとても恐ろしい病気であることを粘り強く説明して理解してもらうしかありません。

また、本人にはおせっかいだと思われても日頃の行動に注意を配りましょう。携帯できる温湿度計を渡すなどして、自分自身の感覚に頼らずに数値によって熱中症の危険性を判断するクセをつけてもらうことも大切です。

エアコンを嫌うようだったら扇風機を、扇風機も無理なようだったら、冷たいタオルで体を冷やすなどの工夫も必要です。

まだまだ暑さは続きます。後で後悔しないように高齢者を抱えているご家族の方はできる限りのことはするようにしてください。

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マイナビ出版 旬モノ編集部(出版社)
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