くらしの本棚

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第9回 さいたま市浦和区の「kuboぱん」

この度、フリーライターの私が、取材の合間に寄り道したり、誰かに連れて行ってもらったり……。
そんなお店をご紹介する連載を始めることになりました。
とは言っても、私は元来マメな性格ではないので、話題の店にすぐ足を運んで……というショップ紹介ではありません。
日本のあちこちに、わあ、なんて素敵な場所だろう……と心を震わすお店がある。そこには、必ず素敵な人がいる。そんな出会いを、ご紹介できたらいいなあと思っています。

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JR浦和駅から歩いて約10分ほど。
住宅地の中の郵便局の隣に、気をつけていないと見過ごしてしまう小さな小さなドアがあります。
ここが「kuboぱん」の入り口です。

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店主の久保輝美さんが焼くベーグルを一口食べれば
「今まで食べたベーグルと違う!」
ときっと思うはず。
もっちりモチモチの歯ごたえで、粉の香りがしっかりし、ここでしか食べられない味。
一度味わえば、また買いにきたくなるベーグルなのです。

しかもその種類の豊富なこと!
プレーン、フランボワーズチョコ、アップルマンゴークリームチーズ、餡子クリームチーズ、黒糖ミルク、アカシアはちみつ&カルピスバターサンドなどなど……。
2つ組み合わせるからよりおいしくなる。
そんな素材の掛け算も、kuboぱんのおいしさです。

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久保さんは、私が主宰している「おへそ塾」に来てくださったときに知り合いました。
そのとき、ネガティブな言葉を使わないためのブレスレッドの使い方を教えてくださったことがとても印象に残りました。
それは、こんな感じ……。
まずは、片方の手にブレスレッドをはめます。
もし、ネガティブなことを言ったら、それを反対の手につけかえる。
たったそれだけ。
でも、「つけかえる」という行動をすることで、「ネガティブな言葉を使っている自分」に気づくことができ、だんだん、ブレスレッドの付け替えとともにその言葉が減っていくというしくみです。

そんな風に、自分の心を見つめ、それを周りの人とシェアしようとする……。
そんな久保さんに惹かれて、お店には多くの人が集まります。

私はすっかり久保さんの人柄に惹かれて「暮らしのおへそ vol22」(主婦と生活社)でも紹介させていただきました。

実は店舗はパン教室も兼ね、多くの生徒さんたちが集まります。
ベーグルを主にしたパンを販売するのは、月に10日ほど。
ブログで販売日が告知されると開店と同時にどんどんお客様がやってきて、店先の小さなガラスケースに並んだだけのパンは、あっという間に売り切れてしまいます。

久保さんは、営業日には夜中の3時から店内でパンを焼き始めます。
開店の11時ぎりぎりまで、何度もオーブンに入れては出し、入れては出しを繰り返し、辺りには、香ばしい匂いが満ちて扉を開けるだけで幸せな気持ちになれるよう。
決して手を抜かず、ひとつひとつ丁寧にこねて、茹で、焼き上げるからこそ ここでしか味わえない食感と味わいになるのだと思います。

そんなパンをいただくと、なんだか心も体も元気になるような気がするから不思議です。

さらに店内では、久保さんが出会った作家さんの洋服や器、石鹸なども販売。
どれも、クオリティが高く持って帰ると、暮らしを満たしてくれるものばかりです。

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たとえ少々遠くでも、幸せのパンを買いにあの小さな小さな扉を目指して出かけたくなる。
そんな目に見えぬ力を秘めたパン屋さんなのです。

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Kuboぱん
埼玉県さいたま市浦和区岸町3-14-11ブロケイド岸町1F
営業日は下記ブログでご確認ください
http://kubopan88.exblog.jp

【201704旅行・関東】

プロフィール

一田憲子(著者)
1964年生まれ。編集者・ライター。OLを経て編集プロダクションへ転職後、フリーライターとして女性誌、単行本の執筆などで活躍。企画から編集を手がける暮らしの情報誌『暮らしのおへそ』『大人になったら着たい服』(ともに主婦と生活社)は、独自の切り口と温かみのあるインタビューで多くのファンと獲得。全国を飛び回り、著名人から一般人まで、これまでに数多くの女性の取材を行っている。著書に『「私らしく」働くこと』、『ラクする台所』(ともにマイナビ出版)などがある。