毎日、「酵母」とともに生きています。|くらしの本棚

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毎日、「酵母」とともに生きています。

2021年よりコンピューターテストシステム導入により全国約280会場で受検できる日本ビール検定(愛称:びあけん)。
過去の総受検者数は約2万7千人となり、今年で第10回を迎えます。このビール検定の合格をきっかけに、人生を楽しんでいらっしゃる方をご紹介しているコーナー「マイ BEER ライフ!」。
ビールの出会いが、人生を変えた瞬間!ぜひ、お楽しみください。

日本ビール検定の公式サイトはこちら

<大平純之さん>

プロフィール

・出身地     →神奈川県横浜市 

・現在の職業  →大学院生

・趣味      →読書(司馬遼太郎が好き)、ドライブ、海外旅行に行くこと

・自分PR   →大学時代は寿司屋でバイトしてお金を貯めて、飛行機や宿などを自分で手配して海外へ一人旅をするのが好きでした。ロンドンでのパブ巡りやドイツ、ベルギーで現地の人の家に泊めてもらった経験は宝物です。毎年横浜の赤レンガ倉庫で開催されるオクトーバーフェストに大学の友人達と参加し、「乾杯の歌」や楽団の音楽に合わせて踊りながらビールを飲むあの雰囲気が大好きです。


編集部:今回は、この4月から大学院に入学したばかりの大平さんです。大学時代は何を専攻されていたのでしょうか?

大平さん:出芽酵母を使った「遺伝子の機能解析」を行っていました。酵母といっても、ビールには関係ありませんので、ご了承ください。
大学時代は生命科学科に所属。卒業研究で遺伝子組換えやPCRなどの技術を駆使し、DNA修復に関与する研究をしてきました。このような酵母を用いた研究を継続したくて、大学院に進むことを決定。この春からは、出芽酵母を使った細胞老化のメカニズムを研究する研究室に所属する予定です。


【大学時代の研究室。ここで酵母と格闘しています。】

編集部:「酵母」といっても、ビールには関係無いのですね。

大平さん:はい、直接的に関係ありません(笑)。もう少し説明しますと、出芽酵母も、人の細胞も、真核細胞です。細胞のシステムや、遺伝子が似ている部分がありますので、人間ではできない研究が可能です。例えば、細胞の老化とは、がんを引き起こす原因にもなっていたりしますので、医療系に繋がっていきます。また、「老化」は人の永遠のテーマなので、このメカニズムを解明することで文明の発展に少しでも寄与できればと思っています。人間が紫外線を浴びると遺伝子に傷をつけてしまいます。大学時代の研究ではそれをいかに修復するかということも研究範囲に入ってきます。大学院では老化や若返りという、人間の永遠のテーマに取り組む予定です。
酵母繋がりで言うと、酵母入りビールは大好きです。「無濾過」と聞くと、ついつい手が伸びてしまいます(笑)

編集部:大平さんにとって、親愛なる酵母入りビールは格別な味がするんでしょうね。ところで、ビールを好きになったきっかけは?

大平さん:大学時代、カナダに1か月ほど留学しました。ルームメイトと、モルソンカナディアンを飲んだ時、「これは美味しい!」と思ったのがきっかけです。
部屋にはブラジル人、オランダ人、エルサルバドル人など様々な国からの留学生がいて、みんなで飲みにも出かけました。カナダはイギリスの影響が強く、パブもイギリス文化のスタイルが多い。友人には世界の飲み方を沢山教わりました。


【カナダのパブ「クロコダイルロック」で。】

編集部:それは、カナダの酒文化だけではなく、世界の文化を知ることができましたね。

大平さん:ビールだけではありません。ブラジル人の友人からテキーラを、塩とレモンで仲間と同時に飲む方法を教えてもらい衝撃を覚えました。それと、カナダは公共の屋外でビールは飲めません。花見をしながら飲むという習慣もありません。また、州ごとにお酒を管理する機関があり、自分がいたオンタリオ州ではLCBOが管理していました。カナダはアルコール類の管理の仕方が、日本と違います。

編集部:カナダでビール好きになった大平さん。びあけんを受検するきっけかは?

大平さん:留学がきっかけでビール好きになり、自らビール好きを証明するものが欲しいと思い、びあけんにチャレンジしました。「好きを資格にしたい」ということもありますし、将来、就職活動をする時に、大学での学びだけではなく、履歴書から自分の趣味なども理解していただけると思いました。

編集部:びあけん合格後、新しい世界はひろがりましたか?

大平さん:「びあけん受検お疲れ様会」という集いがあって、ビール好きのみなさんと知り合うことができました。1級合格者と知り合えたことで勉強会に参加したり、「マイBEERライフ」に登場したビールラベルムキスト瀬山さんにも出会うこともできました(瀬山さんの記事はこちら )。
自分も瓶ビールのラベルを収集していましたが、瀬山さんのラベル数を聞いて「上には上がいるなぁ」と感心してしまいました。


【現在、730枚まで到達したラベルコレクターでもある。】

編集部:大平さんもラベルコレクターだったんですね!

大平さん:なので、自宅で飲むビールも瓶ビールが多いです。今では、メーカー、生産国、ラベル形状を見るだけで、キレイに剥がせる方法が分かります。ドイツのラベルはほぼお湯で綺麗に剥がせます。コレクターに優しいですよね。
日本の大手ビール会社のラベルは破れやすいので難易度高めです。
ちなみに、瓶ビールの品ぞろえが多いのは、ビックカメラの酒販コーナー、目白の田中屋(ラベルが剥がせる商品も豊富)さんです。買うのが楽しくなりますね。

編集部:びあけんで得た知識は、どんな時に役立ってますか。

大平さん:現在、すし屋の板場でバイトしていますので、お酒の話題には、いつもついていけます。
また、日本では、ビールは画一的なイメージがあるのでしょう。大学の友人のような若い人たちにも、ビールの多様性や楽しみ方を伝えたいと思うきっかけにもなりました。

編集部:世界のビアスタイルを語るのには自信がある?

大平さん:大学2年の時に、ヨーロッパ13か国を旅したことがあります。ドイツ、ベルギー、デンマーク等々。父の友人の自宅に泊めてもらったりして、ビール三昧の旅を謳歌してきました。特に面白かったのはスペイン。都市によって、主力ビールの銘柄が違うので、日本のような大手ビールがどこでも飲めるというものではありませんでした。新しいビールに出会い、スペインの乾いた土地で飲むビールは最高でしたよ!


【ドイツのベルリンにて。ドイツ人の友人とはお互いの家に泊まり合った関係です。】

編集部:ヨーロッパ13か国も旅したのですね。ビールを飲めるようになって数年しか経ってないのに、経験豊富ですね。最後になりましたが、大平さんにとってビールが一番美味しい時を教えてください。

大平さん:勉強でも、旅行でも、終着点で飲むビールが一番美味しいです。目の前のことに全力投球し、成し遂げた時の一杯のために生きていると言っても良いぐらい。これからも、今を大切に。将来のために役に立っているという実感を持ちながら、挑戦を続けていきたいです。

編集部:勉強熱心で、趣味が多彩な、若き研究者。頼もしいですね。
「挑戦しないと生活に張りがない」と言い切るほど、ポジティブ精神をもつ大平さんのご褒美のビールは、心から晴れやかになるのでしょう。コロナ騒動が終息し、海外旅行で思いっきりビールが楽しめる時を、一緒に待ちましょう!

プロフィール

大登貴子(著者)
1970年北海道生まれ。サッポロビールに入社後、広報業務に従事。2012年、ビール文化を更に発展、普及させることを目的として「日本ビール文化研究会」を立ち上げる。現在、同会・理事事務局長。活動は、日本ビール検定(愛称:びあけん)主催、出版、セミナー開催など。びあけんは、本年で第10回となり、過去27,000名以上がチャレンジしている。本年よりコンピューターテストシステム導入により全国約280会場に拡大し、2021年6月1日~6月14日の期間内で選択して受検が可能に。公式HPにて申し込み受付中。


びあけん公式HP