噂のムキスト登場! “ビールラベル”に向き合い続けます。 (前編)|くらしの本棚

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噂のムキスト登場! “ビールラベル”に向き合い続けます。 (前編)

毎年秋に開催している日本ビール検定。このビール検定の合格をきっかけに、人生を楽しんでいらっしゃる方をご紹介しております。
ビールの出会いが、人生を変えた瞬間! ぜひ、お楽しみください。

日本ビール検定の公式サイトはこちら

<瀬山 岬さん>

プロフィール

・出身地     →東京都足立区 

・現在の職業  →会社員、ビールラベル収集家

・趣味      →ビールラベル収集、旅行、歴史、現代美術、音楽、麻婆豆腐やカレー関連

・自分PR   →塾や学校、社会教育などの教育現場での仕事を経て、現在は環境教育施設で働いています。ビールそのものが好きなのはもちろんのこと、ビールラベルのデザインや歴史、材質や剥がしやすさや糊の状態など、それぞれのビールが持つ個性と多様性にも魅力を感じています。ビールとラベルに関する情報発信や講演、ワークショップを行う「びいるとらべる」としての活動もしています。


編集部:今回のご登場は「びいるとらべる
として活動する瀬山さんです。瓶ビールのラベルを剥くこと、1000枚。噂のムキストにお会いすることができました!まずは、ご職業からお聞かせください。

瀬山さん:普通の会社員です(笑)。子どもから大人まで「環境」を学べる施設で働いています。脱炭素社会の実現、生物多様性の保全、循環型社会の実現など、環境と言うと難しい話に聞こえますが、仕事はとても楽しいものです。自然観察会をしたり、ティッシュの空箱や牛乳パックなどからおもちゃをつくる子ども向けのワークショップをしたり、環境に関するイベントを企画したりなど、難しいと思われがちな環境問題を身近に感じてもらい、考えてもらう機会を提供するのが私の仕事です。

編集部:素晴らしい活動ですね。以前から環境問題には興味を持たれていましたか?

瀬山さん:恥ずかしながら、環境問題については今の施設で働いてから向き合うようになったと思います。大学は教育学部を専攻しており、教育関係の仕事をしたいと思っていました。学生時代には「街おこしプロジェクト」に参加し、千葉県千葉市にアートセンターをつくろうという企画や、知的障がいの方々や里山の保全活動を支援する方々と一緒にワークショップを実施することを通して、現代美術と地域活動の可能性を感じるようになりました。その後、塾講師や学校の教員を経て、社会教育の現場で働くことになるのですが、社会教育でも地域の方々と一緒に企画を立てたり、イベントを実施したりする機会が多くあったため、そうした経験をもとに今の環境施設で働くきっかけをいただきました。

編集部:瀬山さんが、ビールを好きになったきっかけはありますか?

瀬山さん:はじめはビールが全く飲めなくて、カクテルや缶チューハイばかり飲んでいました。ところが、大学2年の冬休みに沖縄旅行で飲んだオリオンビールが私をビールに目覚めさせてくれたのです。「ビールって飲みやすい!」と。ただ、「これは沖縄という雰囲気による錯覚だろう」と、ビールが飲めるようになったことには半信半疑でした。
偶然にも沖縄旅行から1ヶ月後に札幌に行きました。試しにサッポロビールの工場に足を運び、現地でできたてのサッポロビールを飲んで「オリオンビール以外のビールも美味しい!」と気付いたのです。札幌から戻ってきてからも色んなビールを試してみたところ、美味しく感じたので、「すべてのビールが飲める!」と確信に変わりました。

 

編集部:旅とビールですね。王道のきっかけです!それが、どうして「ビールラベルを剥く」という趣味に発展していったのでしょうか?

瀬山さん:沖縄と札幌の旅行で、すっかりビールに目覚めました。あるとき、たまたま珍しい瓶ビールを飲む機会があって、もしかしたら記念になるかなぁと思ってラベルを剥がしてみたのがきっかけです。

編集部:一番最初に剥いたビールは覚えてますか?

瀬山さん:ミラースペシャルです。いびつなかたちだったので、結果が散々だったと記憶しています。持ち帰ることすらままなりませんでした。

編集部:それが、いつの間にか1000枚になったんですね。

瀬山さん:大学3年から31歳頃までの約10年間で集めたのはせいぜい100枚ほど。1年間に平均10枚ですね。初めから飛ばしていた訳ではないんですよ(笑)。100枚を超えた当たりから、ラベルの形やデザイン、素材や糊の状態に違いがあるなと、そちらに関心がいくようになりました。また、一見変わっていないように見えるデザインや文言もよく見ると変わっていることもあり、そこにこだわりや会社の戦略なども見えてきて面白くなってきました。また、ラベルの剥き方にも、速さとキレイさが揃うようになってきたのです。

編集部:どうやって剥くのですか?

瀬山さん:素手でラベルを剥くことにこだわっています。薬液などは使いません。ラベルによって、剥きやすいものと、剥きづらいものがあるんです。紙の材質、形、糊、保存の仕方、水滴がついたものは取りやすいとか、ラベル1枚1枚に個性があります。それらには素手で向き合いたいのです。

編集部:剥くのに1枚当たり何分かかりますか

瀬山さん:クラフトビールに多く見られるフィルム状のものは1分もあれば1枚は剥がせます。これまでの最長記録はネバネバしていてエンボス加工も施されているブリュードッグの23分です(笑)。

ラベルにのめりこむムキスト。31歳までは100枚程度だったのが、それから約5年で1000枚を突破します。
後編では、「びいるとらべる」の活動についても、もっとお聞きします。更新をお楽しみに!

プロフィール

大登貴子(著者)
1970年北海道生まれ。サッポロビールに入社後、広報業務に従事。2012年、ビール文化を更に発展、普及させることを目的として「日本ビール文化研究会」を立ち上げる。現在、同会・理事事務局長。活動は、日本ビール検定(愛称:びあけん)主催、出版、セミナー開催など。びあけんは、本年で第9回となり、過去8年で27,000名以上がチャレンジしている。本年の開催概要は、4月中旬にびあけん公式サイトで発表予定。

びあけん公式HP