
『りんごかもしれない』
ヨシタケシンスケ 著/ブロンズ新社 刊
今回ご紹介する「りんごかもしれない」は、絵本作家のヨシタケシンスケさんによる絵本です。絵本といえば子供向け?いえいえ、そんなことはありません。
本書はひとつのりんごを見て、もしかしたら〇〇かもしれない、という仮説の連続で進んでいきます。実はりんごではなくてぶどうゼリーが入っているかも?とか、らんご、るんご、れんご、ろんごといった兄弟がいるかも?といった、豊かな想像力で紡ぎだされていきます。
この、「かもしれない」という思想はイノベーションのもととなるのはもちろん、相互理解を深める意味でも非常に重要なのです。
働き方改革のために多くの職場でお話を伺うと、ときどき、「〇〇さんはこの件については懐疑的だ」といったお話に出会うことがあります。
その背景には、実は以前に会社に対して積極的に業務改革提案などを行ったのに、検討されなかったといった失敗体験があることもあるのですが、その出来事までは共有されておらず、なんとなくネガティブな人、というレッテルを貼られてしまうのです。
その際、この方の過去には何かがあったのかもしれないという気持ちで、その出来事やお気持ちを聞き出すことができれば、今回とその当時とでは何が違うのかを説明したり、もう一度やってみてほしいという期待を伝えることもできます。また、自分が同じ経験をしたらきっとそうなってしまうだろうといった共感もできるようになるのです。
もともとの性格だけではなく、経験によっても人の行動は大きく変わります。 組織に属するすべての多様性を組織の力にしていく上で必要不可欠な相互理解。それを深めるためにも、「りんごかもしれない」について、考えてみませんか?
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