2013.12.24
イプシロンロケットの打ち上げ、若田光一宇宙飛行士の国際宇宙ステーション滞在&船長就任、アイソン彗星の消滅、映画『ゼロ・グラビティ』の公開、中国の無人探査機が月面着陸に成功、宇宙兄弟のアニメ映画化…などなど宇宙に関する話題が尽きない昨今。マイナビ新書では、12月21日(土)発売の『宇宙飛行士に学ぶ心の鍛え方』で、JAXA宇宙飛行士の古川聡氏に宇宙飛行士のストレスマネジメントについて、本人の経験を元に解説していただきました。
国際宇宙ステーション(ISS)は、ロシアやアメリカを始め、多くの国々の協力によって成り立っている施設です。そのため、国際宇宙ステーションでは様々な文化的背景を持った人たちが閉鎖空間に集い、長期間を共に過ごします。長期滞在中には、「デブリ(宇宙ゴミ)の接近による緊急避難」「プログレス補給船の事故による仲間の地球帰還の延期」などの大きな出来事がありましたが、それだけでなく、長期にわたって忙しい状況が続くストレスへの対処についても学ぶところがあったそうです。
そして、国際宇宙ステーションの長期滞在から地球に帰還し、カザフスタンの荒野に着陸したのは2011年11月22日。宇宙に滞在した期間は167日間、約5カ月半でした。これは連続宇宙滞在期間として日本人で最も長い期間となりました(2013年11月現在)。
本書では、国際宇宙ステーションでの長期滞在ミッションへの参加を想定されたロシアでの水上サバイバル訓練や、チームワークやリーダーシップを養成するためフロリダの海底にある施設で行われた「NEEMO(ニーモ)訓練」、ワイオミングの大自然で行った屋外リーダーシップ訓練「NOLS(ノルス)訓練」などを通じ学んだことなどを紹介します。
宇宙飛行時には、安全上のリスクとこれに対するストレスはもちろん、国際宇宙ステーションという閉鎖環境に置かれることや、そこに文化の異なる少数の人間と暮らすことなど、多くのストレスがあります。宇宙飛行士はミッションを遂行する技術の習得と同時に、こうしたリスクやストレスへの対応を訓練によって学び、身につけていくのです。これは会社という場所や組織によって固定化された人間関係にも通じるものがありそうです。
宇宙飛行士という職業は特殊なものかもしれませんが、そこで学んだのは「様々なストレスにどう対応するか」「目的の達成に向けて何をすべきか」「良い人間関係を作るためにはどうすればいいのか」「想定外の事態にどう対応すべきか」など、人生に共通の課題です。ぜひ、あなたの身の回りのことに置き換えながら、読んでみてください。今は社会も想定外の連続ですが、宇宙飛行士の「心の鍛え方」は今の社会を生き抜くという困難なミッションの遂行にもきっと役立つはずです。
ストレスに打ち勝つ方法を、宇宙飛行士に学びましょう!
著作者名:古川聡
JAXA(宇宙航空研究開発機構)宇宙飛行士。1964年、横浜生まれ。東京大学医学部医学科卒。東大病院外科に医師として勤務していた1999年に、宇宙飛行士選抜試験に合格。12年余りの訓練の後、2011年6月、ロシアのソユーズ宇宙船で宇宙へ飛び立ち、約5カ月半(167 日)国際宇宙ステーション(ISS)に滞在。ソユーズ宇宙船ではフライトエンジニアとして船長を補佐し、国際宇宙ステーションでは医師としての経験を活かし様々な科学実験などを行った。著書に『宇宙へ「出張」してきます―古川聡のISS勤務167日―』(共著・毎日新聞社)。
著者プロフィール
- マイナビ出版 天体観測&撮影編集部(出版社)
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