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NHKの3つの真田ドラマ「風神の門」と「真田太平記」そして「真田丸」

(6)忍者時代劇「風神の門」とはなにか?その2

1980年にNHKで放送された時代劇「風神の門」はとにかく100%忍者物のドラマです。前回は、如何に斬新なドラマであったのかを紹介しました。今回はより具体的な内容に触れたいと思います。

前回は、1980年にNHKで放送された時代劇「風神の門」が如何に斬新なドラマであったのかを紹介しました。今回は、より具体的な内容に触れたいと思います。

「風神の門」は、とにかく100%忍者物のドラマです。真田一族が主人公の1985年放送のNHK新大型時代劇「真田太平記」や2016年NHK大河ドラマ「真田丸」とは明らかに違います。もちろん、真田幸村(竹脇無我)をはじめとして父の昌幸(宮口精二)なども登場しますが、他のドラマとは違ってあくまでも脇役です。主人公は、霧隠才蔵(三浦浩一)であり登場人物の多くは歴史の裏で暗躍する忍者や密偵です。もちろん、豊臣方や徳川方の武将も登場しますが、このドラマにおいては忍者の存在感には及びません。

物語は、関ヶ原の戦いの後の慶弔18年、徳川家が支配力を広げて徐々に豊臣家を追い詰めるシーンから始まります。豊臣家では寛容だったキリスト教への弾圧や豊臣方の公家や武将の切り崩しなど、徳川家康は豊臣包囲網を強めて行きます。そんな時に堺の雇われ忍者をしていた伊賀の上忍服部家の出である服部才蔵は、より自分を高く評価してくれる主人を求めて堺を飛び出しました。そして、徳川方の教会焼き討ちの場面に出くわしたことをきっかけに、豊臣方の重臣大野修理の妹である隠岐殿(多岐川裕美)と出会います。この出会いが、才蔵を歴史の舞台へと引っ張り上げることになります。

才蔵は霧隠の異名をとるほどの優れた忍びでしたが、とにかく女好きでした。夜這い、密会はお手の物で、そのために何度窮地に陥ったことか…隠岐殿だけではなく、大納言晴季の娘青子(樋口可南子)や隠岐殿の侍女お国(小野みゆき)、甲賀のくのいち小若(五十嵐知子)など、多くの女性に好かれます。忍者は任務に忠実で暗殺も平気で行う冷酷な存在であることがほとんどですが、快活で明るく常に前向きな才蔵は正反対の性格の持ち主でした。世の中の出来事に疑問を持ち、自分がどう生きるべきかを探り続けていた才蔵の姿に多くの女性が心を奪われてしまいます。そのため、真田幸村との出会いで、徳川家の誘いを蹴って豊臣方に付くことにはなりますが、大阪城を支配する淀君をはじめとした女人や大野修理(伊丹十三)などの愚鈍な取り巻きを快く思わず、最後まで反骨の精神を持ち続けました。

そして、三浦浩一さん演じる才蔵の魅力はなんと言ってもその屈託のない笑顔でした。全話に渡って笑顔のない回はなかったのではと思うほどよく笑っています。もちろん、厳しい顔も嘆く顔もします。しかし、必ず笑顔に戻ります。常に暗さが付き纏う他の忍者時代劇と大きく違うところは、この才蔵の人間臭い生き方にもありました。

この明るい性格の才蔵と相反する存在が、徳川方の忍びである獅子王院(磯部勉)の存在です。風魔の忍びの出である獅子王院は、才蔵の忍びの技量をも上回る最大のライバルとして立ちはだかります。才蔵とは反対に主人の命令に忠実で、大量殺人などものともしない冷酷な忍者の代表格といえます。この対照的な二人の生き方が、「風神の門」をさらに盛り上げたことは間違いありません。獅子王院あってこそのドラマでもあるのです。

前回も書いたように、忍者物ではありますが、忍術の裏付けに無理な設定はなく、陳腐さをまったく感じさせない内容です。また、物語の展開で真田十勇士を頼ることもなく、登場したのは、猿飛佐助(渡辺篤史)、穴山小助(森川正太)、三好清海入道(団しん也)ぐらいなものでした。才蔵や幸村が付く側となった豊臣方についても決して美化することはなく、秀頼の母淀君をはじめとした自己中心的な女人たちや大野修理などの愚鈍な家臣によって無駄な死を遂げて行く武将や家来の悲劇を描いています。後藤又兵衛(大木実)や幸村もその犠牲者でした。

霧隠才蔵という優れた忍術の才能と明るい性格を併せ持った主人公を中心に、豊臣家と徳川家の争い、獅子王院という強敵との熾烈な戦い、そして美女たちとのラブロマンス…数あるNHKの時代劇の中でも傑作と言える所以はここにもあります。

なお、「風神の門」は、視聴者からの再放送の要望が強いドラマだと耳にしますが、残念ながら、2005年にスカパー!の時代劇専門チャンネルの放送以外は、本家であるNHKも含めて再放送はないようです。前回も紹介しましたが、NHKエンタープライズより2種類のDVD(DVD-BOX:第壱集/第弐集、DVD:第一巻~第四巻)が発売されていますので、ぜひこちらをご覧いただければと思います。    
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【真田丸日記】
第6回「迷走」の放送が終了しました。織田信長(吉田鋼太郎)が、重臣明智光秀(岩下尚史)に討たれ、真田信繁(堺雅人)と姉の松(木村佳乃)は安土城下から逃げますが、明智の軍勢に追いつかれ松は自ら川に身を投げてしまい真田家は大切な家族を失った悲しみに暮れます。しかし、歴史の流れは待ってはくれません。真田昌幸(草刈正雄)は、一族の存亡を賭けて新たなる道を模索します。このまま織田家臣の滝川一益(段田安則)につくのか、それとも宿敵の一人である北条氏政(高島政伸)を頼るのか、主君武田勝頼(平岳大)に続いて帰順したばかりの信長を失った真田家にとって非常に難しい舵取りが要求されました。昌幸としては、一益に譲った沼田城や岩櫃城を取り戻したいところでしたが、一旦は母親(信繁の祖母)のとりを家臣の高梨内記(中原丈雄)の娘のきり(長澤まさみ)とともに一益へ人質として差し出します。ところが、明智光秀討伐に向けて織田家の重臣たちが準備を進める中、本能寺の変からわずか10日ほどで備中から戻り光秀を討ったとの情報が伝わってきます。その武将の名は羽柴秀吉(小日向文世)…後の豊臣秀吉でした。

真田の所領は、長野県上田市の上田城から右斜め上の沼田市に向けて横長に広がっていました。特に群馬県吾妻郡東吾妻町にあった岩櫃城と沼田市にあった沼田城は、当時の交通の要を押さえるための重要な城であり、真田家が周囲の国々から狙われる原因にもなりましたが、小国である真田家の存在を他国に示す重要な領地でもありました。岩櫃城は、昌幸が甲斐の新府城より武田勝頼を迎えようとした岩櫃山に築かれた堅固な城でした。また、沼田城は昌幸の叔父の矢沢頼綱とその嫡男頼康が城代を務め、後に幸村の兄信之が城主となりました。織田信長の命を受けた滝川一益の侵攻によって一旦は岩櫃と沼田の両城を一益に渡しますが、信長の死によって再び取り戻すことになります。

<岩櫃城跡へのアクセス>住所:群馬県吾妻郡東吾妻町。JR東日本吾妻線群馬原町駅または郷原駅より徒歩で古谷登山口から。渋川伊香保インターチェンジから平沢登山口より徒歩。参考情報:岩櫃なび

 
 
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著者プロフィール

マイナビ出版 旅・鉄道編集部(出版社)
マイナビ出版の地図・旅行ガイド関連編集部員が、自らの旅の記録を交えつつ、鉄道や旅行の情報をおとどけしていきます。