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NHKの3つの真田ドラマ「風神の門」と「真田太平記」そして「真田丸」

(5)忍者時代劇「風神の門」とはなにか?その1

これまで大河ドラマを除いてNHKで放送された時代劇の傑作はどれかと問われれば、「風神の門」(1980年)、「宮本武蔵」(1984年)、「真田太平記」(1985年)の3作品だと考えています。

前回は、NHK大河ドラマ「真田丸」とNHK新大型時代劇「真田太平記」の縁の地の一つである諏訪を紹介しました。今回はこの連載のタイトル名でもある「風神の門」についての紹介です。

個人的な感想ですが、これまで大河ドラマを除いてNHKで放送された時代劇の傑作はどれかと問われれば、「風神の門」(1980年)、「宮本武蔵」(1984年)、「真田太平記」(1985年)の3作品だと答えます。なぜなら、この3作品はとにかく「面白い」の一言に尽きるからです。「風神の門」と「真田太平記」についてはこの連載でも取り上げていますが、機会があれば真田一族とは関係ありませんが役所広司さん主演の「宮本武蔵」についても詳しく触れたいと考えていますので、今回少しだけ紹介したいと思います。

映画やドラマなど「宮本武蔵」は数多く制作されていますが、役所さんの武蔵を越す作品はないと断言できます。2003年に放送された市川海老蔵さん主役の大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」も役所さんの「宮本武蔵」には及びませんでした。これは「武蔵 MUSASHI」や他の作品の出来が悪いというわけではなく「宮本武蔵」があまりにも凄い作品なので仕方がないのです。「真田太平記」の丹波哲郎さんが昌幸役に執念を燃やしたように「宮本武蔵」の役所さんの野獣めいた演技はとにかく半端なく、歴代の武蔵役の中でも最高の演技でした。この先、誰が演じてもあの武蔵を越すことは難しいでしょう。

同様に2016年の大河ドラマ「真田丸」も「真田太平記」と比較されてしまうことが多いのですが、これまで視た感じでは「新撰組!」以上に三谷幸喜さんの持ち味が大河ドラマと絶妙に融合した作品になっています。また、草刈正雄さんの昌幸も期待通りの素晴らしさで、新しい時代の真田ドラマを形成しつつあると言えるでしょう。

さて、連載のタイトル名にもなっている1981年にNHKで放送された「風神の門」は、司馬遼太郎さん原作の忍者物の時代劇です。「風神の門」の主人公は、真田幸村(信繁)の家来として名高い真田十勇士の一人である伊賀忍者の霧隠才蔵。真田十勇士と言えば、まずはスーパー忍者の猿飛佐助の名が思い浮かびますが、司馬遼太郎さんはあえてナンバー2的な存在である霧隠才蔵を主人公にした物語を書きました。

そもそも真田十勇士は架空のキャラクターです(一部実在したという説もありますが)。そのため、史実に近い物語であればあるほど十勇士は登場しない傾向にあります。2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」でも藤井隆さんが演じる「佐助」という忍者が登場していますが、講談のような十勇士の忍者とは違う存在のようです。同様に1985年のNHK新大型時代劇「真田太平記」では、草の者(忍者)として、向井佐助(中村橋之助)や宮塚才蔵(堀田真三)、姉山甚八(渋谷天笑)、小助(稲垣昭三)が登場していますが、スーパー忍者でも天下無双の豪傑でもありません。

しかし、「風神の門」は、史実をベースにしながらも霧隠才蔵(三浦浩一)をはじめとして、猿飛佐助(渡辺篤史)、穴山小助(森川正太)、三好清海入道(団しん也)と言った十勇士の一部が登場しています。ただし、筧十蔵や根津甚八などの他の十勇士は出ていません。あくまでも十勇士ではなく霧隠才蔵の物語となっています。また、忍者が主人公ではありますが、現実的に全く有り得ない忍術も出てきません。きちんとした科学的な裏付けのある忍術を用いることによって、忍者物にありがちな陳腐な雰囲気を感じさせないところもこのドラマの特徴の一つです。

「風神の門」は、司馬さんの同名小説と小幡勘兵衛が主人公の「城塞」の内容を盛り込んだNHK独自のストーリになっているため原作と異なる部分もありますが、逆に視聴者を楽しませたいという制作者たちの意気込みを感じる作品です。例えば、主役の三浦?一さんの起用もその一つです。三浦さんは、ロックミュージカル劇団「東京キッドブラザース」の一員で、「風神の門」が初のテレビドラマの主役でした。しかも霧隠才蔵の台詞や演技には、ミュージカルの要素が取り入れらており、まるで劇場で芝居を見ているような錯覚に陥ります。

そして、オープニングの曲に使われたのが、1979年に発表されてミリオンセラーになった「大都会」を歌ったロックバンド「クリスタルキング」の「時間差」です。作曲は、ドラマ、映画、クラシックなどの作曲を幅広く手がけている池辺晋一郎さんで、三浦浩一さんが走るシーンとクリスタルキングの歌の組み合わせだけでも当時のNHKの時代劇としてはぶっ飛んだ演出でした。これに加えて脚本は「前略おふくろ様」や「大都会」の脚本に参加し、1979年に第5回放送文化基金賞本賞受賞したNHKのドラマ「死にたがる子」でメインの脚本を担当した新進気鋭の金子成人さんが務めました。

司馬遼太郎さん原作の小説、ロックミュージカル劇団員、ミリオンセラーのロックバンド、新進気鋭の脚本家…これだけでもワクワクしてしまいますが、内容は期待以上のものになりました。もちろん、昔ながらのNHKのドラマに慣れている視聴者にはちょっと違和感があったかもしれませんが、少し大げさに感じる三浦浩一さんのミュージカル調の演技に知らず知らずのうちに引き込まれてしまう不思議な魅力に溢れる作品でした。

「風神の門」は再放送が少なく、テレビで視る機会はほとんどありませんが、NHKエンタープライズよりDVDが販売されいます(DVD-BOX:第壱集/第弐集、DVD:第一巻~第四巻)。
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次回は、「風神の門」のキャストやストーリなど、より具体的な内容について触れたいと思います。
   
【真田丸日記】
第5回「窮地」の放送が終了しました。なんと武田勝頼(平岳大)を滅亡に追いやった織田信長(吉田鋼太郎)が、重臣明智光秀(岩下尚史)の謀反で本能寺で討たれてしまい、安土城下に人質として滞在していた真田信繁(幸村)の姉松(木村佳乃)も行方不明になってしまいます。真田家の宿敵である徳川家康(内野聖陽)も信長に謁見する前に立ち寄った堺で本能寺の変が起きていしまい、後に信繁の兄の信幸(大泉洋)の義理の父になる徳川四天王の本多忠勝(藤岡弘)や初代信濃松本城城主になる筆家老の石川数正(伊藤正之)と命からがら逃げることになりました。武田勝頼が滅びる原因の一つを作った裏切り者の武田家一門衆穴山梅雪(榎木孝明)も家康とともに堺に来ていましたが、逃亡の途中で別行動を取り、落ち武者狩りで命を落としてしまいます。信繁の父、真田昌幸(草刈正雄)が、信長に帰順の意を示したわずか数カ月後の話でした。信長の力でようやくまとまりつつあった戦国時代も再び覇権を争う様相を呈することになり、真田一族の運命はまたもや混迷することになりました。昌幸は越後の上杉景勝(遠藤憲一)を頼ることにしますが、景勝はかつて昌幸の主であった武田信玄と激しい戦いを繰り広げてきた上杉謙信の跡継ぎであり、昌幸にも再三にわたって苦い思いをさせられてきた歴史があります。昌幸は、弟である真田信尹(栗原英雄)にその交渉を託しますが…

琵琶湖に近い安土山の上にそびえ立つ眩いばかりの巨城である安土城は、織田家天下統一への証であり、新しい時代の幕開けの象徴でもありました。しかし、本能寺の変が起きて主の信長を失ってしまったこの城は、築城開始からわずか10年も経たないうちに原因不明の火災によって消失してしまいます。現在はその場所に石垣や階段などの遺構があり国の特別史跡となっています。

<安土城跡へのアクセス>住所:滋賀県近江八幡市安土町下豊浦。JR西日本琵琶湖安土駅より徒歩約25分。名神高速道路竜王インターチェンジから約20分。参考情報:公益社団法人びわこビジターズビューロー?滋賀県立安土城考古博物館

 
 
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著者プロフィール

マイナビ出版 旅・鉄道編集部(出版社)
マイナビ出版の地図・旅行ガイド関連編集部員が、自らの旅の記録を交えつつ、鉄道や旅行の情報をおとどけしていきます。