モーツァルトのいる休日
まだモーツァルトを知らない人は、まず一曲口ずさめるメロディを見つけてほしい。
一度この素晴らしい世界に耳が開かれれば、どの作品もきっと楽しめるようになるだろう。
そのとき見つかるのは、モーツァルトという名のついた一生の宝なのである。
著者プロフィール
石田 衣良(いしだ・いら)
1960年東京生まれ'84年成蹊大卒業。'97年「池袋ウェストゲートパーク」第36回オール読物推理小説新人賞、'03年「4TEEN」第129回直木賞、'06年「眠れぬ真珠」島清恋愛文学賞、'13年「北斗ある殺人者の回心」第8回中央公論文学賞、各受賞。
[メ-ルマガジン]石田衣良ブックト-ク『小説家と過ごす日曜日』毎月第2・4金曜日配信中!
石田衣良 公式サイト:http://ishidaira.com/
石田衣良セレクション モーツァルトはこれを聞こう!
対談抜粋
本書のテーマ、モーツァルトにはどんなエピソードがありますか?
石田:モーツァルトにはエピソードがたくさんあるよね。教会の中でしか演奏されない極秘の曲を一発で耳コピして楽譜に起こしたという話も有名だし、みんなもよく知っていると思うけど、遺体がどこに埋められたかわからないままというのも、なんだかいい話だよね。 これだけたくさんの素晴らしい曲を書いたのに、遺体が存在しない。本当に実在したのか? なんていう謎がまた魅力的。
加羽沢:曲に関するエピソードだと、交響曲第四〇番。この曲は「タララン、タララン、タララン……」っていう「タララン」だけでできていると言ってもいいくらい、タラランがたくさん出てくる曲なんです。数は忘れたけど相当な数のタラランの繰り返し。この吐息みたいなため息みたいなかけらを集めて、どうしてこんなに美しい曲ができたんだろうって考えると、モーツァルトってやっぱりすごいなって思います。小さいかけらを素材にして曲を作っているんだなって。
石田:本当にそうだよね。小説の場合だと、短編の中では同じ言葉を二度は使わないというルールというか気持ちになりがちなんだけど、音楽の場合は徹底的に使うんだよね。ベートーヴェンの「運命」も短い印象的なフレーズだけで、まるまる一曲ができている。
加羽沢:それくらい一つのフレーズに固執してこだわっているんだけど、でも、風のように駆け抜けていくからくどくはならないんです。そこがすごいですよね。
対談者プロフィール
加羽沢 美濃(かばさわ・みの)
東京藝術大学大学院在学中に、CDデビュー。これまでに20枚を超えるCD、楽譜が発売されている。佼成ウィンドオーケストラからの委嘱作品『宙と大地と精霊たちの雅歌』やチェリストの向山佳絵子から委嘱された12人のチェリストのための『名もなき風』など、室内楽、合唱曲、吹奏楽などの幅広いジャンルで多くの委嘱作品を書いている。また、作品は多岐にわたり、テレビドラマや映画音楽、舞台音楽など話題作も数多く担当している。同時に、ピアニストとしても高嶋ちさ子とのユニット『Chisa&Mino』やレクチャーコンサートなど、全国で演奏活動を行っている。さらに、「題名のない音楽会」「名曲リサイタル」の司会をはじめ、「紅白歌合戦」「トップランナー」「スタジオパークからこんにちは」など多数のテレビ、ラジオ番組にも出演。現在、NHK、Eテレ「ららら♪クラシック」で作家の石田衣良とともに総合司会を務めている。
加羽沢美濃オフィシャルサイト:http://www.minokabasawa.com/
書籍情報
『モーツァルトのいる休日 ~大人の楽しむクラシック~』
著者:石田衣良 定価:918円(税込) 発売予定日:2016年10月5日
内容紹介
クラシックをもっと身近に感じるために。 モーツァルト生誕260周年の今年、作家・石田衣良氏にモーツァルトの魅力、ご自身の作品や人生に与えた影響などを語っていただきます。そして、石田衣良氏がお勧めするモーツァルトの名曲10作品の魅力を解説。 さらに、石田衣良氏が司会を努めるNHKの番組「ららら♪クラシック」で共演している、作曲家・ピアニストの加羽沢美濃さんとモーツァルトの魅力を語り合います。 言うなれば、石田衣良版・モーツァルト入門である本書で、クラシックの魅力を再確認しましょう。
関連商品
『MOZART TOP20~石田衣良モーツァルト・セレクション』
定価:2,571円(税込) 商品番号:UCCS-3019/20
内容紹介
「モーツァルトの音楽は、美しい謎である。」
石田衣良氏が監修、選曲、さらに1曲ごとにエッセイを描き下ろした、とってもカラフルなモーツァルト・アルバム。