第13回 さいたま市の「takase」|くらしの本棚

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第13回 さいたま市の「takase」

この度、フリーライターの私が、取材の合間に寄り道したり、誰かに連れて行ってもらったり……。
そんなお店をご紹介する連載を始めることになりました。
とは言っても、私は元来マメな性格ではないので、話題の店にすぐ足を運んで……というショップ紹介ではありません。
日本のあちこちに、わあ、なんて素敵な場所だろう……と心を震わすお店がある。そこには、必ず素敵な人がいる。そんな出会いを、ご紹介できたらいいなあと思っています。

埼玉県に「takase」っていうギャラリーができたらしいよ。
感度のいい友人たちの間で、そんな声が聞こえてきました。
いつか行ってみたい、と思っていたら、ちょうど近くに取材に行く予定があったので、連れて行っていただくことに。

お店はまだプレオープン状態で、外構工事がまだでしたが、それはそれは素敵な空間でした。

オーナーの高瀬勝一さんは、普段は水道関係のお仕事をしているそうです。
若い頃、洋服が好きでファッションの世界から入り
やがて、古い道具や器、暮らしの道具と「好き」の範囲が広がっていったそう。

実は、以前は「linne~輪廻」という名前で違う場所で営業してきましたが、2年前に惜しまれながら閉店。そして今年春、「takase」がオープンしたというわけです。

ここで味わいたいのが空間の変化。
こっちの部屋からあっちの部屋へ。
移動するたびに、光の入り具合が変わり、壁の色や質感が変わり、空気が変わる……。
そんな空間の中に身を置いていると、静かに深呼吸をしながら、五感すべてでものと出会っている気分になります。
建物の設計は、南青山の「はいいろオオカミ」さんなのだとか。

店内には、柏木千絵さんや郡司康久さんの器の他
漆器、グラス、アクセサリーなど
高瀬さんの目で選び、編集されたものがここにしかない調和を保ちながら、並べられています。

一度たずねると、きっとつい長居をしてしまうはず。
今度はどんな風に変わっているのだろう?
と刻々と変化していく店内を見るのが楽しみです。

takase
さいたま市緑区宮本2-19-14
アポイント制
インスタグラム「takasenotakase」よりご連絡下さい。

プロフィール

一田憲子(著者)
1964年生まれ。編集者・ライター。OLを経て編集プロダクションへ転職後、フリーライターとして女性誌、単行本の執筆などで活躍。企画から編集を手がける暮らしの情報誌『暮らしのおへそ』『大人になったら着たい服』(ともに主婦と生活社)は、独自の切り口と温かみのあるインタビューで多くのファンと獲得。全国を飛び回り、著名人から一般人まで、これまでに数多くの女性の取材を行っている。著書に『「私らしく」働くこと』、『ラクする台所』(ともにマイナビ出版)などがある。