第9回 今年の2大お菓子型、マフィン型とホーローバット|くらしの本棚

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第9回 今年の2大お菓子型、マフィン型とホーローバット

takako@caramel milk tea稲田多佳子さんがお菓子を焼く日々のあれこれを綴るエッセイ。
おまけのおいしいレシピもご紹介します。

2016年もあと数日で幕を下ろそうとしています。今年もたくさんのお菓子を焼いて、たくさんの方に食べていただき、そして私もたくさん食べました。笑。

今年は「マフィン型で焼くケーキとお菓子」という本を出させていただいたこともあり、マフィン型愛がますます深まった1年であったような気もしています。

マフィンだけではなく、マフィン以外のいろいろな種類のお菓子もマフィン型で。これは、子どもがまだ3歳くらいだった頃、大勢のママ友達に振る舞うため、チーズケーキやガトーショコラ、りんごのバターケーキなどを、マフィン型で焼いたのが始まりでした。それ以来、本来の目的であるマフィンよりも、マフィンじゃないお菓子を焼くことの方が多くなったうちのマフィン型。特に多いのは、バターケーキを焼く機会。日常の何気ない贈り物にするのに、形もサイズもちょうどいいんですよね。
マフィンとバターケーキでは生地の系統が似通っているため、マフィンレシピを多数ご紹介している「マフィン型で焼くケーキとお菓子」には、バターケーキレシピの掲載はないのですが、またいつかどこかでマフィン型で焼くバターケーキのレシピを楽しんでいただけたら嬉しいなぁと思います。

そんなふうにして、マフィン型と共に過ごした今年の前半。後半は、新しい相棒となる道具を迎えることに。

お菓子を焼き始めて、かれこれウン十年。型好きでもあったため、収納スペースに見合わないくらいの数の型が集まりまして、型に対する私の物欲はほぼほぼ満たされた状態の昨今。まぁ、たくさんあってもプライベートで頻繁に使うものは決まって来るものでして、新しい型はもういいかな、とまで思うようになっていました。

それなのに、ひょんなことから我が家に迎え入れ、新たに使い始めたのが、野田琺瑯社製のシンプルなホーローバット。大きさは21×16.5cmの長方形、高さが3cmで、キャビネ版と呼ばれるやや小ぶりなサイズ。この大きさと高さ、容量が、お菓子の型として私には実に便利で、驚くほど使い勝手が良かったのです。

初めて焼いたのは何だったかな、確か、何てことのないごく普通のスポンジケーキだったと思うのですが、ぽわんと四角く焼き上がった姿、愛らしさの中にも直線のシャープさが甘さ加減をほどよく抑えていて、一瞬で心を奪われてしまいました。それから、チーズケーキ、ガトーショコラ、ロールケーキと、何を焼いても可愛く見えるし、ティラミスやゼリーなどの冷たいお菓子にも大活躍。そして、フォカッチャ、グラタンやオープンオムレツなどなど、甘いのも甘くないのも焼きに焼いています。

マフィン型にも通じるようなオールマイティーさに感激し、一枚、二枚と買い足して、「お菓子だけじゃなくてお料理にも使えるしね。」との言い訳のもとに、またもう一枚買い足して、気付けば9枚に(笑)。9枚になってもコンパクトに重ねて収納できてしまうところがこれまた素晴らしいと、プラス目線の評価です。
フチ裏の巻き込みの処理もいい具合で、洗った後、布巾でサッときれいに拭き上げられ、水滴が溜まらないのも気持ち良いなぁと思います。道具はお手入れのしやすさも大事ですものね。

愛を深めたマフィン型。マフィン型に迫る勢いで、作る楽しみ、使う楽しみをくれた、ホーローバット。今年を振り返った時、いちばん印象に残っているのは、この2つの型を使ったお菓子作りでした。

今回は、ホーローバットを使って今年いちばん焼いた、グラノーラレシピをご紹介します。
バットに詰めて、シート状に焼き上げるこちらのグラノーラ。ざっくりと手で割っていただくスタイルだから、クッキー感覚でつまみやすく、サクサクッと軽いので、そのままこれだけでおいしいおやつになります。崩れたところは牛乳やヨーグルトと一緒に食べたり、アイスクリームのトッピングにしたりしてもおすすめ。
ささっと混ぜて焼くだけ、簡単に作れて栄養価も高い。何かと忙しく気忙しい年末、朝ごはんに、おやつにと、こんなグラノーラの作り置きをどうぞ。

ドライいちじくを入れたデイリーグラノーラ

材料(21×16.5×高さ3cmのバット1台分)

  • A オートミール 50g
  •   スライスアーモンド 20g
  •   パンプキンシード 20g
  •   ココナッツファイン 5g
  •   全粒粉(薄力粉タイプ) 20g
  •  
  • B きび砂糖 20g
  •   植物性油 25g
  •   牛乳 10g
  •   塩 ふたつまみ
  •  
  •   ドライいちじく 20g

下準備

・ドライいちじくは細かく刻む。
・型にオーブンペーパーを敷く。
・オーブンを170℃に温める。

作り方

①ボウルにAを入れ、大きめのスプーンやフォークなどでよく混ぜる。

②Bをとろりとよく合わせて①へ加え、ゴムベラでさくさく混ぜて全体にしっとりとなじませる。

③バットに入れてゴムベラで全体に広げ、ラップをのせて、その上から手でしっかりと平らに詰める。

④170℃のオーブンで25分ほど焼く。

※ココナッツファインは風味に広がりを出すために少量加えています。もしなければ、ココナッツファインを入れず、全粒粉を25gにして作ってみてください。

※ドライいちじくはお好みで。こちらも入れずにナッツのみのグラノーラとして焼いても、さっくりおいしく食べていただけると思います。

プロフィール

稲田多佳子(著者)
京都に生まれ育ち、現在も京都で暮らす。
HP「caramel milk tea」 で手作りお菓子の写真を掲載したのがきっかけとなり、2004年にお菓子のレシピ本を出版。以来、年に数冊のペースでお菓子やお料理のレシピ本を出版している。代名詞といえば、焼きっぱなしの焼き菓子とロールケーキ。ひとくち食べると思わず心も笑顔になるような、毎日でも食べ飽きず作り飽きることのない、簡単でやさしい味わいのお菓子作りがモットー。
日本茶インストラクター、ティーアドバイザー、ジュニアオリーブオイルソムリエを取得。