初の夫婦で1級合格。「札幌をビールの首都に!」大きな夢に向かっています(後編)|くらしの本棚

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初の夫婦で1級合格。「札幌をビールの首都に!」大きな夢に向かっています(後編)

2021年よりコンピューターテストシステム導入により全国280会場で受検できる日本ビール検定(愛称:びあけん)。
過去の総受検者数は約2万7千人となり、今年で第9回を迎えます。このビール検定の合格をきっかけに、人生を楽しんでいらっしゃる方をご紹介しているコーナー「マイ BEER ライフ!」。
ビールの出会いが、人生を変えた瞬間!ぜひ、お楽しみください。

日本ビール検定の公式サイトはこちら

<坂巻紀久雄 圭子夫妻>

プロフィール

・出身地     →紀久雄さん:東京都葛飾区/圭子さん:北海道札幌市 

・現在の職業  →紀久雄さん:Maltheads店主/圭子さん:会社員

・趣味      →紀久雄さん:音楽鑑賞 哲学鑑賞/圭子さん:山と三角点巡り

・自分PR   →
紀久雄さん: ビールとモルトウイスキーのお店「Maltheads」店主。札幌は、日本のビールの発祥地のひとつである上に、「ビールの都」ドイツ・ミュンヘンと「ビール天国」アメリカ・ポートランドと姉妹都市でもあります。そこを「日本のビールの首都」として盛り立てるべく奮闘しています。最近「note」でいろいろなことを発信し始めました。 https://note.com/maltheads

圭子さん: ビールとは無縁の仕事をしながらも、ビールまみれの毎日を送っています。でも美味しい酒なら「酒類」は選びません。座右の銘は「美味い酒に国境なし」。最近は、山登りを始めたら山頂にある「三角点」に興味を持って、札幌市内の三角点巡りをしています。街を使ったオリエンテーリングみたいでとっても面白いです。


編集部:夫婦でびあけん1級合格の坂巻ご夫妻の後編です。(前編はこちら
毎年夏に開催されるビアフェス「Sapporo Craft Beer Forest(以下、Beer Forest)」の話を聞かせていただけますか。

紀久雄さん:はい、実行委員はブルワリーと飲食店が中心となって結成されています。2013年10月に第1回を開催しまして、私は第1回から参画しております。
2020年から2年連続でコロナ禍によって中止になってしまいましたが、直近の開催である2019年には2日間で約8000人の来場者で賑わいました。


札幌市内から車で10分、「ばんけいスキー場」で開催するBeer Forest

編集部:8000人の来場者とは、ものすごい数ですね。ビアフェスを始めるきっかけは?

紀久雄さん:周辺のビアバーで集まって「自分たちのビアフェスをやろう!」と実行委員を結成しました。 2012年ごろから「クラフトビール」が流行りだし、「今ここで自分たちの思うクラフトビールのビアフェスを札幌でやらないとビールを集めるだけの平凡なビアフェスが開かれてしまう」という危機感がありました。自分たちのイメージしたクラフトビールフェスとは、全国からブルワーが集まり、その方たちから直々にビールを注いでもらって、語らって、様々なタイプのビールを選び楽しんでいる。それが自然たっぷりで、札幌の街中からもふらっと来られる距離で……このような大きな理想を描きました。

編集部:理想はあっても、簡単にできるものではありません。ビアフェスを始めるためには、何をしたら良いのでしょうか?

紀久雄さん:まずは、仲間を集めること。1人で実施するのは強烈なバイタリティがいるが、情熱を持っている人が集まると負担が分散し、実行力が増します。
そして次に、初回は小さく始めること。いきなり理想を目指すのではなく、名前だけでも決めるとか。飲食店借り切って「ビアフェス」と言う名前の宴会をやるとか。どんなに小さくても良いので、早く、小さく、開催するんです。第1回と呼べないなら、第0回でもよい。1回立ち上げてみると、メンバーの得意分野や動き方がわかります。そして、次から理想の姿に形を整えていくことができます。

編集部:第0回とは、ステキな発想ですね。

紀久雄さん:札幌の場合は、野外イベントには市の後援が必要になります。実績ゼロの場合は、大きな組織のバックアップがないとなかなか後援が認可されないそうですが、「Beer Forest」は1回目をスキー場のロッジ(室内)だけで開催して実績ができたので、2回目のときに後援を申請した時にはスムーズに認可が通りました。

編集部:コロナ感染拡大を考慮して2年連続で中止したのは、辛い判断でしたね。

紀久雄さん:準備に時間をかけていたので、残念ですが、お客様のことを考えると中止せざるを得ませんでした。現在の実行委員は5店舗(約7名)。こだわりもあり、意見闊達にでてきて、まとまらない時もありますが、夢に向かっています。今年2021年は実行委員会でビールを造ります。楽しみに待っていてください。

編集部:ぜひイベントの成功を期待していますね。ビールのプロである、お2人にお聞きしたいのが「ビールの魅力」。教えていただけますか。

紀久雄さん:ビールは自由。味も、色も、原料も、何でも許容し、自由を感じるお酒。それがビールだと思っています。一番美味しいと思う瞬間は、「造った人の顔を見ながら飲む」、「造られる現地の空気を吸いながら飲む」こと。ミュンヘンのオクトーバーフェスト会場でのビール、ロンドンのパブで飲んだリアルエール。旅の高揚と相まって、ずっと記憶に残っています。旅のついでにビールを飲むのではなく、ビールのために旅をしている時は至福ですよね。
圭子さん:自分は話下手で本当は人見知りなのですが、ビールがあることで、みんなと楽しい時間を過ごすことができる。そんな「触媒」のような存在だと思います。

編集部:それでは、最後になりましたが、お2人のこれからの夢について教えて頂けますか?

圭子さん:「Beer Forest」で来場者として参加したい(笑)毎年、ボランティアでお手伝いしていますが、一度でいいから、ゲレンデでビールを飲んでみたい。
というのは置いといて……海外渡航が解禁されたら、ビヤライゼに出かけたい。行きたい場所がいっぱいありますが、ピルゼン(チェコ)とポートランド(アメリカ)には、真っ先に行きますよ。みんなで美味しいビールを飲みましょうよ!ビールを囲んで仲間と会話するのが、最高です。
紀久雄さん:2014年1月に銀座で開催された初めての「びあけん1級合格者新年会」で、飲食店に勤めているのが、自分しかいませんでした。そのとき改めて気付いたのが、「お店で扱っているビールに知識が偏ってしまうんだ」ということ。なので、モルトヘッズはオールラウンドにビールを提供したい。クラフトビールだけとか、ベルギービールだけとかではなく、「ビールの専門店です」と胸を張って言いたいですし、これからも精進していきます。
それと、ビアジャーナリストの活動をやっているので、今後はお店と並行して精力的に活動していきたいと考えています。


2020年1月に開催された「びあけん1級マスターズ新年会」で

ビールを極めたご夫婦の登場、いかがでしたでしょうか。お2人の個性が融合しながらも、自立している関係が素敵。夫婦漫才的な要素もあり(笑)、毎回お会いするたび、元気を頂戴します。 「ビアフェス」を立ち上げる極意をお聞きできるのは、滅多にないチャンスでした。ご苦労もあろうはずなのに、飛び石を跳ねていくかのごとく軽やかに、でも、どっしり成長路線を走っております。来年こそは、Beer Forestでお会いしたい。

プロフィール

大登貴子(著者)
1970年北海道生まれ。サッポロビールに入社後、広報業務に従事。2012年、ビール文化を更に発展、普及させることを目的として「日本ビール文化研究会」を立ち上げる。現在、同会・理事事務局長。活動は、日本ビール検定(愛称:びあけん)主催、出版、セミナー開催など。びあけんは、本年で第10回となり、過去27,000名以上がチャレンジしている。本年よりコンピューターテストシステム導入により全国約280会場に拡大し、2021年6月1日~6月14日の期間内で選択して受検が可能に。公式HPにて申し込み受付中。


びあけん公式HP