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熱中症ミニ知識(4)- 天気予報やアメダスの数値をそのまま信じるのは危ない

例えば天気予報で「明日の最高気温は26度です」と報道されると、たいていの人は「あまり暑くないんだ」と思ってしまいます。しかし、実際はどうでしょうか。

例えば天気予報で「明日の最高気温は26度です」と報道されると、たいていの人は「あまり暑くないんだ」と思ってしまいます。しかし、実際はどうでしょうか。部屋の中が異常に暑かったり、道を歩いていると本当に26度なの?と思うほど辛かったことはありませんか?

実は、実際に温度計で気温を測定してみると予報よりも3度~10度ぐらい高い値になっていることが多いのです。もし、気温が31度もあったとしたら、湿度が50%を超すとかなり危険な状態になります。

ところが、当日気象庁が測定した値(アメダス)を見ると、予報の値と比べてそれほど大きな差はありません。予報と実測値の差は、過去のデータの比較を見てもだいたい1度?2度程度となっています。

天気予報は気象庁のホームページで確認することができます。

天気予報は、各気象機関で観測された過去データを元にスーパーコンピュータを使用して未来の数値予報を算出しています。このシステムは精度の高いもので、天気予報の数値そのものに問題があるわけではありません。また、アメダス(Automated Meteorological Data Acquisition System:地域気象観測システム)は、気象庁が全国的に行っている気象観測のデータで、もちろんこの値も非常に正確なものです。

ところが、データが正確であるからこそ、思わぬ落とし穴があるのです。それは、アメダスの観測環境は、周囲の地形や建物、樹木等の影響をできるだけ避けるようにしており、風通しがよく、日当りのよい地面には芝生が植えられ、その上に計測機器が設定されているためです。

観測環境を全国で統一することによって周囲の状況に左右されない標準的な値として各地域の気象データを発表しており、天気予報も同様にこれら観測所における予報の値となっているのですが、これが大きな差の原因につながっています。

実際に観測所で測定されたアメダスのデータも気象庁のホームページで確認できます。

さて、もうおわかりだと思いますが、天気予報にしろ、アメダスにしろ、私たちが実際に居る場所の値を示しているわけではないのです。

当然ですが、輻射熱の多いアスファルトやコンクリートの地面の上に立っていれば、芝生の地面に比べてかなり気温が高くなります。以前に測定した際にはアメダスの値よりも5度?10度ぐらいは高くなっていました。

もちろん、地面に近ければ近いほど気温は高くなります。子どもや犬は、大人に比べて、地面からより近い位置にいるため、輻射熱をまともに受けてしまいます。大人が、今日は意外に涼しいなと感じていても、子どもや犬は5度~10度は高い気温の中に置かれていることを覚えておいてください。

暑い日にアスファルトの地面に立ったときの高さによる気温の違いを測定してみました。

また、部屋に居る時も同様で、天井そのものが高熱になりますし、壁やベランダからも大量の輻射熱が部屋に入って来ます。エアコンの室外機が外に設置されているとより気温が高くなってしまいます。周囲に木々が被い繁り、緑が植えられた広い庭の家に住むことができればエアコンを使用せずに窓を開けているだけでも暑い夏を過ごすことはできますが、都会に住んでいるとなかなかそうもいきません。

このように私たちが実際に居る場所は、天気予報やアメダスの値よりも高い気温であることがほとんどなのです。

気象庁のデータは正確です。ただ、それがどのような仕組になっているかを正しく理解して利用していくことが大切です。そのためには、自分が居る場所の気温と湿度を実際に測って、熱中症の危険性を判断する必要があります。

特にお年寄りは暑さを感じにくくなっているため、自分の感覚で判断するのは非常に危険です。また、幼児は親が判断してあげないと自分ではどうしようもありません。体育の実習をする場合も同じです。子どもたちが自分から授業を拒否することができませんので、指導する先生が実際の気温と湿度を測定して熱中症の危険性を判断して子どもを保護してあげてください。屋外で仕事の監督をする立場の方も同様です。

「携帯型熱中指標計「見守りっち」付き熱中症対策ガイド」に付属している「見守りっち」でもよいですし、他の計測機器でも構わないので、とにかく気温と湿度を測定できる装置を必ず用意しておきましょう。

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マイナビ出版 旬モノ編集部(出版社)
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