そして、メディアは日本を戦争に導いた
東洋経済新報社
破局に突き進んだ昭和の大転換期の「本当の真相」を明らかにした対談。時代状況が驚くほど似てきた”現在”にも警鐘を鳴らす。
昭和史の大家ふたりが、破局に突き進んだ「昭和の大転換期の真相」を明らかにした対談。タブー視され部分的にしか語られることのなかったジャーナリズムと国民自身の戦争責任について、真正面から取り上げている。そして昭和の歴史を振り返るだけでなく、時代状況が驚くほど似てきた現在へ警鐘を鳴らす。
昭和初期、新聞は軍部の圧力に屈したのではなく、部数拡大にため自ら戦争を煽(あお)った。日露戦争時の「戦争に協力すると新聞が売れる」という教訓にしたがい、先頭に立って太鼓を鳴らし、日本を戦争へ導いたのである。しばらくは軍部に抵抗していた雑誌ジャーナリズムも同様の道をたどることとなった。
国民の側も、5.15事件はじめテロを「義挙」として賞賛し、国連脱退を熱狂的に支持するなど、ひとりよがりな「正義」にとりつかれ冷静さを失っていった。言論人、文化人も狂騒状態に陥り、国際的孤立を歓迎した。ジャーナリズムのミスリードから、付和雷同しやすい民族性もあり、国民全体がなだれをうって破局への道を選択したのである。
当時のこうした時代状況に、“現在”は驚くほど似ている。近現代史の「四〇年周期説」(37ページ)でいっても現在は、昭和初期に当たる。憲法改正の動き、ヘイトスピーチなどに見られる右傾化、新たな形での言論弾圧・テロなど、危険な兆候も増えてきた。にもかかわらず、あまりにも歴史を知らず危機感のないジャーナリストはじめ国民に対して、いちばん大事な「昭和史の教訓」をわかりやすく説いたのが本書である。
発売日:2013-10-11
目次
はじめに いちばん大事な昭和史の教訓★半藤一利
序 章 いまなぜジャーナリズム論か
第一章 戦争報道と商業主義
第二章 テロと暴力賛美の歪み、その内側
第三章 国際社会との亀裂の広がり
第四章 国家の宣伝要員という役割
第五章 暴力とジャーナリズム
終 章 現在への問いかけ
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