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ちょっと週刊「猫街乗物放浪記」

大都市「川崎」に残る廃駅「二代目六郷橋駅」跡を眺める

連載第2回目は、岡山の美作・津山を巡った後、一路東京へ。川崎多摩川沿いの鉄道遺産を紹介する。

2017年夏、岡山・津山近辺で、熱中症になりかける。

熱中症は怖い。昨年、広島のとある島で軽い熱中症にかかってしまって、今年こそはと気をつけていたのだが、6月上旬、美作(岡山)にある岩屋城や周りの砦を回った後、バス停でヘたれてしまった。手足も痺れ始めた。幸いにもコミュニティーバスに乗り、車内のクーラーにあたり、津山駅に着いた頃にはだいぶん回復したのだが、大事をとって、津山駅からさっさと首都圏に帰宅してしまった。旧津山扇形機関車庫も津山城も見ずにである(ホームや車窓から機関車庫は眺めたけどね)。が、健康に勝るものはない。
 

美作・岩屋城本丸

   

美作・岩屋城をみる

   

美作・岩屋城の畝城空堀群

 
お茶を飲むなど水分補給には十分気をつけていたのだが、ナトリウム不足だったのだろう。反省である。美作・岩屋城は、戦国時代、宇喜多の大軍に囲まれた毛利方、中村頼宗が籠城したことで有名なところで、十二本の竪堀(畝状竪堀群)を見て驚き、また、包囲した宇喜多側の砦(陣城)に残る土塁を確認するなど、山城巡りの旅にとても満喫したのだが、ムシムシした気候だったため、思わぬおとしあなに落ちたのである。
 

津山駅前に鎮座する蘭学者箕作阮甫の銅像。津山藩出身。

 

機関車庫。いつかじっくりみたいものだ。

 

風にあたりに多摩川の河原に行くのも乙。

ということで、最近は首都圏からあまり遠くに行っていない。山城自体は夏はシーズンオフだし、財布の中身も尽きかけている。
とはいえ、ある1週間など、今年こそは「とんかつが流行る!」と、1時間も並んで高田馬場(新宿区)のNというトンカツ屋でとろけるほどの上ロース定食を食し、別の日は、神田駅近くのS本店でさっぱりとした熱燗「羽根田酒造 羽前白梅 純米吟醸ちろり」を飲み、東京駅では勝手に駅弁祭りだ!と「かに豪快盛りいくら」(今年の買った駅弁の中ではヒット作品)を買い、鴨せいろがうまい蕎麦屋に駆け込んで、ちょっと一杯だ!と一週間を締める。 都会にいればもう暴飲暴食の嵐で、ますます財布が軽くなる。胃液が夜上ってくるのには、苦しくなる。
 

駅弁でも人気のお弁当「かに豪快盛りいくら」。カニの身もぷりぷり。小樽の駅弁(駅構内立売商会)だが、東京駅で特別に販売(日本レストランエンタプライズ)。

 
そういう時、たまにはライトに生きたくなる。河原で風にあたり、立ち飲み屋で焼き鳥と冷酒を引っ掛けたくなる。ならば、川崎だ!と京急(京浜急行電鉄)に乗ったのである。
京急川崎に着いたら京急大師線に乗り換えだ。小島新田行きの普通列車の1両目先頭にかぶりつきで車窓を楽しんでいこう! 京急川崎駅を発車してしばらく行くと、何やら短いホームが見える。最初の停車駅、港町駅はカーブを曲がった先だったはず。そう、これが大師線に残る鉄道遺産「二代目六郷橋駅」跡なのである。
 

六郷橋下に隠れる「二代目六郷橋駅」跡。

とりあえず、港町駅で降り多摩川沿いの道を歩く。六郷橋が近づくと、下を通る大師線の線路脇に古いプラットホームらしきものが見えてくる。これが二代目六郷橋駅跡である。カバンからおもむろにニコンの一眼レフを取り出した。つけているレンズはDDR(旧東ドイツ)製のCarlZeiss Jena Tessar 2.8/50である。M42マウントアダプターをかましてAPSサイズ(DXフォーマット)のカメラにつけているため、焦点距離はちょっと望遠。
 

かぶりついて二代目六郷橋駅を眺める

   

六郷橋付近のパノラマ。駅はどこにあるのだろうか。

 

橋を覗き込むと二代目六郷橋駅がある(CarlZeiss Jena Tessar 2.8/50 で撮影)

 

電車は純正35mmで撮影してみた。

 
ホームを良く見るには、六郷橋の下を隙間から見ないといけない。ちょっと危ない人である。旧駅のホームは一部資材置き場に使われているようだ。
六郷橋の下を通る道を歩き、土手に登る反対側の歩道から見ると、川崎大師方面の行きのホームがよくわかる。
この二代目六郷橋駅は、1925年に軌道を変更した時に、川崎大師よりにあった一代目六郷橋駅を移したもので、1949年に廃止された。70年近くもよく残っていたと思う。大師線の地下化計画により、存続が危ぶまれていたが、どうやらこのあたりはそのまま地上に残るため、しばらくはこのホームが消えることもないだろう。
そうして、日が陰り始めたので、旧東海道の道を通りながら、テクテクと京急川崎駅方面に歩いて行ったのであった。
 

六郷橋の下をとおって歩道から。こちらのほうが二代目六郷橋駅がよく見える(CarlZeiss Jena Tessar 2.8/50 で撮影)

 

帰りは旧東海道をとことこと帰る(CarlZeiss Jena Tessar 2.8/50 で撮影)。


今週のおススメ本

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東京とんかつ会議
山本益博、マッキー牧元、河田剛 著/ぴあ 刊

とにかくとんかつを食べたいあなたに。執筆者が食べた高田馬場のあの店も載ってるぞ。
価格:1,512円(税込)

 


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著者プロフィール

上杉さくら(ライター)
某出版社の元編集&ライター。最近の関心テーマは、クラシックカメラ、交通以外に、離島、山城、グルメ、歴史、新聞学など。コレクションとして戦前の日本・極東の彩色絵葉書・写真など。

コラム連載『ちょっとシュールに「猫街鉄道放浪記」』(2008年1月~2012年3月/マイナビニュース)
『PENTAX Q7撮り方ハンディブック』(共著・2014年6月/マイナビ出版)『Nikon D5500 & D5300ハンディブック』(共著・2015年12月/マイナビ出版)ほか。