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熱中症ミニ知識

1週間で熱中症による救急搬送が7680人に - 2017年の夏は危険な状態に突入

2017年7月10日から16日までの熱中症による救急搬送状況が消防庁より発表されました。その数は全体でなんと7680人。昨年の3495人の倍以上の数字となっています。

2017年7月10日-16日までの熱中症による救急搬送状況が消防庁より発表されました。その数は全体でなんと7680人。昨年の3495人の倍以上となっています。また、5月1日-7月16日までの総計では、2017年はすでに1万9914人となっており、2016年の1万6509人を3405人上回っています。

実は、1週間前の3日-9日の比較では、2017年が4241人、2016年が5269人と昨年のほうが1028人多く、5月1日-7月9日でも1万2234人に対して1万3014人と2016年の方が780人多い結果でした。つまり、2017年7月10日-16日の期間で急激に熱中症の救急搬送が増えたことになります。いったい今年は何が起きているのでしょうか?

2017年7月10日-16日までの都道府県別の搬送人員数のトップは東京都の627人です、次いで400人超の自治体は、埼玉県の488人、大阪府の453人、北海道の439人、愛知県の410人となっています。そこで、圧倒的に搬送数の多い東京都の状況を確認してみましょう。

表は、東京都の気象庁東京観測地点(北の丸公園)における2016年と2017年の7月3日-9日、10日-16日の1週間ごとの平均値です。これを見ると2016年よりも2017年の方が全体的に気温が、平均、最高、最低とも1度から3度も高い結果になっています。これだけでも今年は昨年よりもかなり暑いことがわかりますが、問題なのは一気に搬送数が増える10日-16日とその前の週の差です。



2016年は、3日-9日と10日-16日の気温の差はほとんどありません。ところが、2017年は平均で1.1度、最高で1.2度、最低では1.7度も平均値がアップしているのです。人間の身体は、環境の変化に対応するために数週間かけて適応するメカニズム(順化)を持っています。そのため、徐々に暑さに馴れてくると熱中症になりにくくなってくるのですが、急激な気温上昇の変化には身体がついてこれません。

表では1週間の平均値になっていますが、日ごとで見ていくと最高気温は2016年の方が高い日がありますが、全体的には過ごしやすい25度前後の日も多くありました。ところが、2017年は7月4日の29.9度以外はすべて最高気温が30度以上となっています。当然ながら、地表(道路や建物)は高い熱を持っていますので、夜はそれが放射されて暑苦しい日々が続いています。最高気温が30度を超し、最低気温も下がらない暑い日が連日続くということは、熱中症になりやすい確率も高まるということです。これでは身体が堪ったものではありません。

本連載の「熱中症ミニ知識(4)- 天気予報やアメダスの数値をそのまま信じるのは危ない」で詳しく説明していますが、気象庁の観測データは芝生が植えられて風通しのよい一定の条件の下で測定された値であり、私たちが実際に生活している場所とは気温に大きな開きがあります。今回例として取り上げた東京観測地点にしても北の丸公園と皆さんが実際に働いているオフィス街では差があるのが当たり前です。実際にはアメダスの測定値よりも5度から10度は高いと思っていた方がいいでしょう。

熱中症を予防するために、常に自分が居る場所の気温と湿度のチェックを怠らないようにして確実な対策を取ることが大切です。
 

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