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遙かなる他者のためのデザイン

久保田晃弘の思索と実装

ビー・エヌ・エヌ新社

芸術と工学を行き来し、脱中心を志向しながら常に最先端を走り抜けてきた久保田晃弘、20年分のデザイン論を精選収録。

本書は、メディアアートの実践者として、 また教育者として、最先端を走り抜けてきた久保田晃弘が、脱中心(=固着した人間中心主義から脱却すること、すなわち人間、ひいては社会が変わることを前提とした経験的想像力を超えたものづくり)を志向しながら、工学から芸術へ、「設計」から「デザイン」へと展開した、20年にわたる思索と実装を辿るデザイン論集です。

いま、何をつくったらいいのか?
見たことのないものを、なぜ人はつくれるのか?
真に新しいものをつくりだすということは、どういうことなのか? 

人工知能が超知能になるポスト・ヒューマンの世界を見据え、デザイナーは足元に穴を掘り続けるのではなく、遠くへ行くための道をつくらなければなりません。「科学技術が社会に普及浸透していくためには、文化的、芸術的なアプローチが必要不可欠である」という視点から出発し、「一体何が、これからのデザインや芸術になり得るのか?」を常に探求してきた久保田の予見に満ちた言説は、テクノロジーとともに更新されゆく私たち人間、そして社会の未来を鮮やかに照らし出します。

発売日:2018-02-01

ページ数:448ページ

目次

はじめに


第1章 芸術から身体へ

イントロダクション
ものにつくられるものづくり
デザイン用語辞典
モデルの美、オブジェクトの美
デザイン行為の言語化
身体からのデザイン・イノベーション
コンピュータ音楽とユーザーインターフェイス
消えゆくコンピュータ

解題 人工物工学研究センターから荒川修作へ


第2章 素材から即興へ

イントロダクション
認知意味論の新展開
本当の「人間中心」インターフェイス
Design 3.0:デジタル・マテリアリズム序論
音響と映像のメタメディア・インプロヴィゼーション
数と知覚のインターフェイスデザイン
音楽を疑え!
プログラミングと演奏
ライブコーディングの可能性

Interlude A
「数」という素材/デジタルな耳の発明/点と線から音へ/サイン波を捨てよう/デジタル・ハーモニックス/目で聞く、耳で見る/音と気配/マイクロダンス/手の消滅/潜在するアルゴリズム/アルゴリズミック・インプロヴィゼーション/記述するということ/即興のパラドックス/共感覚と共素材/21世紀のオーケストレーション

解題 ジャズからライブコーディングへ


第3章 コードから知覚へ

イントロダクション
人間脱中心=周辺主義の時代
コンピュータアートの今日的展開
デバイス/プログラミング/ハッキング
改造する文化
ポスト人間中心時代のインターフェイス
メディア芸術の拡がり
二つの視覚と抽象インターフェイス
計算ミニマリズム
生成技術時代の音楽作品:プログラミング言語から計算する宇宙へ
計算する多宇宙の囲碁
インターフェイスとしてのコード
コード・ポエトリー:算法詩から自己複製芸術まで

Interlude B
デジタルな時空/21世紀のDJ/ライフ・ベンディング/やもりの指/失敗の歴史を超えて/離散芸術への道/宇宙人のための芸術/情報理論から情報芸術へ/ナチュラル・コンピューティング/インタラクションと計算/顕微鏡はジョン・ケージを再発明するか?/ブレッドボード植物

解題 コンクリート・ポエトリーからコード・ポエトリーへ


第4章 細胞から宇宙へ

イントロダクション
細胞芸術宣言
デジタルメディアはもはやニューメディアではない
新時代のアルゴリズム教育
全てのビットを表示する:唯物論的計算情報デザイン
あらゆるビットをかたちにする:情報形態可逆変換法
メディアアートを再発明するための五つの方法

解題 完成させる必要のないメディアアートへ


第5章 人間からの離脱

パーソナルメディアとしての衛星
ヴィークルメディアの登場
人間はスマートフォンを運ぶメディアである
計算アニミズムと人工知能
ポストヒューマンの他者性
異星言語によるコミュニケーション
地球外生命体の芸術
DESPATCHの宇宙詩
他者のためのデザイン


おわりに

著者プロフィール

  • 久保田晃弘(著者)

    Akihiro Kubota

    1960年生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース教授/メディアセンター所長。東京大学大学院工学系研究科船舶工学専攻博士課程修了、工学博士。数値流体力学、人工物工学(設計科学)に関する研究を経て、1998年から現職。世界初の芸術衛星と深宇宙彫刻の打ち上げに成功した衛星芸術プロジェクト(ARTSAT.JP)をはじめ、バイオメディアアート(BIOART.JP)、自然知能と知能の美学、ライブコーディングと自作楽器によるライブ・パフォーマンスなど、さまざまな領域を横断・結合するハイブリッドな創作の世界を開拓中。芸術衛星1号機の「ARTSAT1:INVADER」でARS ELECTRONICA 2015 HYBRID ART部門優秀賞をチーム受賞。「ARTSATプロジェクト」の成果で、第66回芸術選奨文部科学大臣賞(メディア芸術部門)を受賞。

    主な著書に『消えゆくコンピュータ』(岩波書店/1999年)、『ポスト・テクノ(ロジー)ミュージック─拡散する「音楽」、解体する「人間」』(大村書店/監修/2001年)、『FORM+CODE―デザイン/アート/建築における、かたちとコード』(小社刊/監訳/2011年)、『ビジュアル・コンプレキシティ―情報パターンのマッピング』(小社刊/監訳/2012年)、『Handmade Electronic Music―手作り電子回路から生まれる音と音楽』(オライリー・ジャパン/監訳/2013年)、『[普及版]ジェネラティブ・アート―Processingによる実践ガイド』(小社刊/監訳/2014年)、『スペキュラティヴ・デザイン―未来を思索するためにデザインができること』(小社刊/監修/2015年)、『バイオアート―バイオテクノロジーは未来を救うのか』(小社刊/監修/2016年)、『未来を築くデザインの思想―ポスト人間中心デザインへ向けて読むべき24のテキスト』(小社刊/監訳/2016年)などがある。