スポーツジャーナリスト 二宮清純様

「マイナビ女子オープン」お祝いの言葉

 

このたびは「マイナビ女子オープン」の創設、誠におめでとうございます。

2007年は女流棋士の皆様にとって激動の一年となりました。しかし、これまでにない大型棋戦である「マイナビ女子オープン」の誕生は、女流棋士界の新たな船出にふさわしい出来事です。

 

この大会ではトッププロはもちろん、中学生のアマチュア棋士や育成会員の方も参加されるとうかがっています。近年の女子スポーツ界では、ゴルフの宮里藍選手や横峯さくら選手、フィギュアスケートの浅田真央選手、ビーチバレーの浅尾美和選手など、若いスターが続々と誕生しています。ぜひ、この棋戦が次世代を担うスター育成の場としても発展されることを期待しています。

 

私事ではございますが、今月29日に羽生善治王将との共著で『歩を「と金」に変える人材活用術』を上梓致します。将棋は盤上の駒を効果的に操り、相手陣地で「成る」ことで価値を高め、いわば“決断の連結決算”によって相手の玉を追い詰めていくゲームです。これは組織におけるリーダー論、人材活用術、人材起用法に多大なヒントをもたらしてくれるものではないか。その思いから羽生王将と本を編ませていただきました。

将棋は日本の伝統文化であるだけでなく、将来の日本を担うリーダーを育成する点でも、すばらしい教材です。ぜひ、この大会を通じて多くの方が将棋に興味をもち、底辺拡大と普及、育成へとつなげてもらいたいと思っています。

最後になりましたが、主催される毎日コミュニケーションズ、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会の将棋界発展への御尽力にあらためて敬意を表し、大会の成功を心よりお祈り申し上げます。参加される女流棋士の皆様の“一球入魂”ならぬ“一手入魂”のすばらしい勝負を一将棋ファンとして楽しみにしております。

2007年10月19日

株式会社スポーツコミュニケーションズ代表
スポーツジャーナリスト
二宮 清純