マイナビ女子オープン出場者インタビュー

中井 広恵女流六段

 

自分が結果を残せば 後輩にとってもプラスに

 
「予選はいったい、いつ以来だったか…」
  中井自身が語った疑問はこちらも気になっていた。記録を調べてみたら、タイトル戦ではなんと24年ぶりだった。
  1981年度の女流王将戦、82年度の女流名人位戦と女流王将戦、83年度の女流名人位戦で予選に出場。女流デビューが81年なので、つまり予選経験はこの4回だけだったのだ(鹿島杯では05年に予選出場)。「こんなときに限ってね」と中井は笑った。
 女流棋士をあこがれの職業に―。中井にとって、出発点も目標も、行動原理はそこにある。なので、代表理事として激務が続いている。「組織の基礎作りは想像以上にたいへん。改正や改良とは違い、簡単ではありません」と言いながらも、「みんな前向き」と表情は明るい。
  対局への影響は否定しない。今期は6連敗を喫するなど、苦しい星感情だ。
「今までの自分のペースが崩れた。今は戸惑っているところもある。新しいペースを作っていかなければ」
  将棋連盟の女流との対抗意識について、インタビューの間に何度か挑発してみた。しかし「まわりで考えているほど、そういう意識はないんですよ。いっしょに盛り上げたい」という言葉が繰り返された。自身の抱負をたずねても「自分が結果を残すことが、後輩たちにとってもプラスになるはず」と育成モードは変わらない。
  自分のことよりも、LPSAとしての成績が気になる。先日の1Dayトーナメントでは、後輩たちがアマチュアの活躍を許した。さすがに「もっと頑張らなくては」と叱咤する。
「でも、ペースがつかめていないのはみんなも同じ。そういうことも含めての基礎作りなんです。日レス杯なども今回の予選とシステムが似ていますし、経験は積んでいる。みんな独自のスタイルを持っているので、力を発揮してほしい」 
 



 

 

前期女流名人戦第1局で

初手を指す中井

 

 



(週刊将棋 2007年10月10日号)

 

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