本多さおりさんインタビュー「わたしと家計簿」 その2|くらしの本棚

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本多さおりさんインタビュー「わたしと家計簿」 その2

整理収納コンサルタント・本多さおりさんが使っていたエクセル家計簿を元にした、オリジナル家計簿が登場!
家計簿をつけることで将来が見えてきます。幸せにつながる投資と節約すべきムダの違いは何でしょう? 本多さおりさんに伺いました。

買いものについての考え方

――女性がつい買ってしまうのが、おしゃれに関するものですね。

おこづかいの使い道は人それぞれだと思いますが、大きな額を占めるのが洋服。

洋服は、以前はたくさん欲しがったけど、なくてもコーディネートの工夫でバリエーションを持てばいいことがわかったので、少数に。

自分が気に入った、とっておきの1枚にお金をかけて買う。

そのほうが着るときにハッピーになれるし、長く着られるので結果的にコスパはいいと思っています。

残るものは少数にし、消耗品などは最少枚数で回してとことん使い倒す。

ただ、洋服に関しては、子どもが生まれたら買うものも値段も変わるでしょうけど……。

アーツ&サイエンスのお気に入りのブラウス2枚。通年着られるアイテムです。

――なるほど。下着などの消耗品についてはどう思いますか?

ついつい買いだめしがちな消耗品ですが、必要な数は思ったより少ない。

いつも働いている状態にしておけばいいわけです。

わが家では毎日洗濯をするので、近頃は下着なんて2枚でいいんじゃないかって思うこともあります。

長期の旅では洗えば荷物にならないし、せいぜい3枚でも足りるかと。

がんがん着倒して、一気に買い換えるほうが気持ちがいいですよ。

この間も、冬に着るヒートテックなどのインナーが2枚しかないから、買い足しに行こうと思っていたけど、もうすでに何週間もこの2枚で過ごせていることに気づいて、買い足す必要はないとわかったんです。

タオルもバスタオル4枚、小さいタオル4枚のみです。

安いから、特売だからと、ついつい多めに買ってしまいがちだけど、案外使い切れていないことも多いのでは、と思います。

夫婦2人でこの枚数をまわしています。

家計簿をつけることで将来が見えてくる

――ご結婚されてから、本多さんが家計管理をされているんですか?

そうです、わが家のお金は私が管理をしています。

結婚当初は専業主婦でしたし、夫はお金の管理をまかせてくれて、今も続いている状態です。

でも自分が管理しているってことは……、私がわが家のお金の流れを把握していないといけないってことです。

収入はこれしかないのに、それ以上に使ってた! ってならないように、 「予算」を決めてやりくりすることが大事だと感じました。

とくに私の場合、フリーランスなので、収入額も入金の日もバラバラなため、この記録がとても役に立ちます。

過去の記録を見ることで、その年に自分がどんな仕事をして収入を得たか把握することができます。

「1カ月1見開き」のいいところは、把握しやすいところですよね。

――結婚してから家計簿をつけて、気づいたことって何ですか?
お金を管理する上で指針になることでしょうか。

もうちょっと貯金できるな、今月は使いすぎたな、と気づくことができますし、夫にも共有できるので、「今月は使っちゃったねー」と、気をつけてもらうこともできます(笑)。

いつだったか、ファイナンシャルプランナーの方に、今後の本多家の家計を見てもらう機会がありました。

その際に、これまでの収入、すべての支出・貯金など、あらゆる情報を提示しなければならなかったんですが、家計簿に記入していたデータをもとに、すぐにまとめることができました。

そのときにその後のお金の流れの予測などを教えていただきましたが、これから予想される出費(住宅ローンや教育費など)について、ある程度目途をつけておくことで、今後のお金の使い方の指針になり、良い機会になりました。

独身、結婚、出産……ライフステージが変わることによって、お金の使い道はどんどん変わります。

お金の流れを把握しておけると、あらゆる場面で柔軟に対応できますよね。

――最後に、本多さんの考える「お金」についてひとことお願いします。

仕事柄、交際費、お付き合いのお金を惜しまないようになりました。

生きている間に豊かに暮らしたいから、この人と会えると楽しい、豊かになるなと思ったらその出費は惜しまないようにしています。

昔は飲み会ってムダって思っていたけど(笑)。

 

大げさなことを言うと、死ぬ間際に「私の人生は充実していたなぁ」と思える要素って、欲しいものをいっぱい手に入れたことではなく、好きな人たちと共有した楽しい時間や空間がどれだけあったかということだと思うんです。

だからそこに通ずる出費は惜しまずに、人生を幸せなものにするための投資と考えたいと思っています。

 

節約すべき本当の「ムダ」は、材料を買ったけど食べ切れなくて捨てたとか、 安いから買ったけど使わなかったとか…… 「お得」とか「今だけ」という罠によって引き起こされる、まやかしの物欲に負けて起こる出費です。

こういうムダ遣いをしてしまったときにも、家計簿に記録することが反省の材料になります。

 

子どもが生まれてから、ますます出費がかさむと思いますが、ムダでないもの・そうでないものを正しく判断し、ときには贅沢にお金を使ったとしても、「これは限りある人生を幸せにするための投資だから!」と言えるようにしたいです。

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プロフィール

本多さおり(著者)
整理収納コンサルタント。2011年に個人向け整理収納サービスをスタートし(現在は休止中)、初著書『片付けたくなる部屋づくり』(ワニブックス)が13万部を超えるベストセラーに。収納の固定概念にとらわれず、「自分がラクしたいから」という気持ちに素直に向き合う姿勢が主婦の共感を集めている。2015年「片づけやすいしくみは、家事を快適にする」と初の家事本『家事がしやすい部屋づくり』(小社)を刊行。結婚6年目で第1子を授かり、現在は育休中。