循環思考
東洋経済新報社
- 横山禎徳(著者)
ロジカルシンキングに代表される論理的思考の限界を示し、新しい思考方法を示す1冊。因果関係ではなく、循環に着目し、問題を引きおこしている悪循環を探し出し、良循環に変えていく方法を示す。
カナヅチがあれば、どんな問題でもすべて「叩いて」解決したくなる。同様に、ロジカルシンキングを身につけていれば、どんな問題もロジックツリーで分析してみたくなる。
しかし、要素還元的思考法であるロジカルシンキングは、事柄や問題をその構成要素に分解する考え方であり、思考や現象を整理するツールとしては優れているが、新たな発想を生み出すものではない。ややこしそうなこと、扱いきれないことを切り捨てた上で、道具に問題を合わせているものであり、創造的な問題解決は望めないのである。
それに対して本書で提唱している循環思考では、単純に現状の因果関係を観察・分析するにとどまらず、望ましい因果関係を創り出すことが要諦となる。まず、ロジカルシンキングでは考慮されていない時間軸の経過を意識して、既存の因果関係をとらえる。これは現状の問題・課題を発生させている悪循環である場合が多い。そして、その悪循環を断ち切り、良循環をつくり出す。
ただし、この良循環とは悪循環の裏返し(例えば「我が社の商品が競合に比べて劣る」→「では、競合に比べてよい商品をつくる」)ではなく、望ましい因果関係を創造することである。現実世界にある複雑な課題・問題に対する時間軸と循環を踏まえて、新しい因果関係を生み出すための思考アプローチにもとづいた解決手法を解説する。
発売日:2012-04-12
目次
第1章 なぜ、問題を循環で考えるのか
第2章 中核問題を定義する
第3章 循環を見つけだす
第4章「良循環」を駆動するサブシステム
第5章 ケースで理解する「循環思考」
第6章「社会システム・デザイン」への誘い
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