あなたが花になる美しい日本語
主婦と生活社
- 丹生谷真美(著者)
日本で最初のフィニッシング・スクールを設立した著者が贈る、日本語の美学。やまと言葉に満ちた古典に学び、花や木、鳥の名前に習い、自身の暮らしや価値観を見つめ直すことで自らの言葉も磨かれる。それは日本語だけが持つ言の葉の魔法――。
心も身体も疲れ、冷えきって、今にもぴしっと音をたてて折れてしまいそう。誰にでもそんな辛い時、悲しい時もあります。だれかの肩によりかかって温もりを感じたい誰かに「大丈夫よ」とやさしい声と微笑みで励ましてほしい。でも支え、励ましてくれるだれかは、そうそう都合よくそばにいてはくれません。そんな時、ふと声に出して、「大丈夫」と自分につぶやいてみたことはありませんか。「大丈夫」と自分の声が聞こえただけで、こちこちに固くなっていた心と身体がほんの少し温かくなって、柔らかくほぐれていくような気がします。言葉には不思議な力があります。「はじめに言葉ありき、言葉は神とともにあり、言葉は神なりき」。天地をつかさどる神々の力が、言葉にはひそんでいるのです。遠い昔、なにげなく口にする言葉が未来を左右する、と私たちの祖先は考えました。だからこそ、不吉な言葉を口にせず、「言祝(ことほ)ぐ」、祝う言葉、歓びの言葉を口にすることで、言葉の通りになるようにと願ったのですね。日本は「言葉の幸(さき)はふ国」。言葉の持つ不思議な力で幸福がもたらされている国、と万葉集にも言祝がれています。言葉で幸せがもたらされるとあらば、無頓着に不用意な言葉を発している場合ではありません。幸せをもたらしてくれるような美しい言葉だけを、口にしたいではありませんか。粗雑な言葉遣いは、気づかぬうちに少しずつ、考え方や性格まで粗雑にします。(第1章「言葉の魔法」より)
発売日:2011-10-13
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