トップの暴走はなぜ止められないのか
東洋経済新報社
- 奥村宏(著者)
「倫理」や「徳」では防げない。「社外取締役」も解決策ではない。オリンパス・大王製紙だけの問題でもない。株式会社制度における矛盾の現象としての「トップの暴走」が頻発していることを明らかにする。
私はほぼ半世紀にわたって株式会社の研究を続けてきたが、そのなかでいま世界的に株式会社が危機に陥っているということを認識するに至った。
そういう見地からオリンパス、大王製紙の事件が何を意味しているのか、ということを明らかにしようとしたのがこの本である。
「失われた二〇年」といわれるような長期の混迷状態から日本が脱出するためには、日本経済を支えてきた株式会社のあり方にメスを入れる以外にはない。
多くの人によって「資本主義の危機」といわれているのは、実は「株式会社の危機」である。この危機から脱出していくためには株式会社にメスを入れるしかない。それによって新しい道が開けてくるのではないか……。
二〇一一年三月一一日の東日本大地震から発生した東京電力の危機も、それは株式会社の危機を告げるものである、ということを前著『東電解体―巨大株式会社の終焉』(東洋経済新報社)で書いたが、本書はそれに続くものである。
この本で取り上げているデータはすべて新聞や雑誌などに発表されているものであるが、このデータに基づいて、会社学研究家としての私の考え方を展開した。(「はじめに」より)
発売日:2012-05-10
目次
第1章 トップの暴走を止められない会社――オリンパス
第2章 同族会社の悲劇――大王製紙
第3章 トップの正体――日本の社長
第4章 問われる経営者の責任
第5章 監査法人は何を監査していたのか
第6章 大株主はなぜ黙っているのか
第7章 崩れる従業員の「会社本位主義」
第8章 マスコミはなぜ報道しないのか
第9章 もはや株式会社ではない
第10章 「危機の二〇年」から脱却する道
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