大震災からの出発
東洋経済新報社
- 野口悠紀雄(著者)
大震災による電力コストの上昇で、製造業の海外移転が加速。国内空洞化を防ぐため、新しいサービス産業で雇用を確保することが急務だ。経済構造の転換を説く、ダイナミックな日本経済論。
東日本大震災の後、電力不足でモノが作れない、復興のためのおカネが必要、等々の問題が生じています。震災による電力コストの上昇は、日本製造業の海外移転への流れを加速させています。日本経済再活性化のためには、新しい産業で雇用を確保することが急務です。
著者は生産工程の思い切った海外展開や対外資産の取り崩しでおカネを作るなどの大胆な手法を提案します。ただ、日本経済は、古い産業を温存するための円安政策がとられていたがゆえに震災前から停滞し、「失われた20年」に陥っていた、という側面もあります。
原因は、緊縮財政と金融緩和という経済政策や自己防衛に懸命な企業経営者にあった、と著者は考えます。震災をきっかけに、古い制度や慣習を捨て、新しい日本経済を作ることはできるのでしょうか。日本経済に対して厳しい目を向けながら、脱工業化の発想で日本経済の復活も予感させる、ダイナミックな日本経済論。
発売日:2011-07-21
目次
第I部 脱工業化による復興
第1章 供給制約下での復興で何が問題となるか
第2章 対外資産で復興資金を賄える
第3章 震災後の日本を支えるのは、製造業ではない
第4章 ビジネスモデルの大転換はいかにして可能か?
第II部 「失われた20年」の失敗経験を復興に活かす
第5章 中国工業化に押された日本製造業の生き残り策
第6章 外需依存経済のメカニズム
第7章 工業製品価格と賃金が下落し、分配が不平等化
第8章 金融危機を惹起した輸出依存成長
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