UI / UX設計を本質から習得しよう 事例詳細|つなweB

UI / UXデザインの本質とは?

近年、急激に注目度を高めているUI / UXデザイン。アプリ開発やサイト制作をはじめとするプロダクト制作の分野で重要視されるようになったことから、多くの企業が強い関心を寄せているのだ。しかしこの分野では今、人材不足が深刻さを増している。Webデザインやグラフィックデザインなど、クリエイティブのプロを育成する東京デザインプレックス研究所の学校プロデューサー黒木公司さんは、その理由をこう説明する。

「我々も以前からUI / UXに注目し、2015年より授業にも取り入れてきました。ただし、それはあくまでも“Webデザイナーに必要となる範囲でのUI /UX”だったんです」

実のところ、これまでの日本におけるUI / UXは、Webデザインの一要素と認識されることが多かった。そのため国内の教育機関の多くは、そうした趣旨のカリキュラムを実施してきた。しかし、現役のUI / UXデザイナーであり同校で講師を務める高宮修平さんは、「Webデザインとはまったく違うもの」だと言い、その理由をこう説明する。

「UI / UX設計は複雑な情報を整理・分析し、ユーザーの目的達成を有効かつ効率的に実現することを言います。ですからWebデザインに限った話ではなく、もっと広くプロダクト開発全般に活用できるものなんです。また、UI / UXのプロセスではロジカルに思考した上で、さまざまな判断が求められるのですが、この点も、ときに感覚的な判断を求められるWebデザインとは異なる部分だと言えるでしょう」

 

今後はプロダクト開発の中核に

拡大しつつあるニーズに応えるためには、人間の行動や感情を起点に考え、UI / UX設計を本質から習得したUI / UXデザイナーを育成しなければならない。そう考えた黒木さんは、1年以上もの時間をかけて、今春開講する「UI  / UX専攻」を準備してきた。

「高宮先生らと検討して組み上げた多様なカリキュラムを活用しながら、本格的な教育を行っていきます。UI  / UXは今後、プロダクト開発の柱になるべき
ものです。初心者の方でも受講できますが、かなりの覚悟を持って取り組んでいただく必要があります」

初年度の募集人員は約20名。幅広い知識の習得や分析力が求められる分野ゆえ、まずは少数でスタートを切る。ではUI / UX専攻では、どのような人物を求めているのだろうか。高宮さんは、いくつかのポイントを挙げた。

「まずは、ロジカルな思考ができることが大事になります。さらに、日々訪れる変化に対応できる柔軟性を持ち合わせていること。そして、幅広くさまざまな領域の知識が必要となりますので、学びに対する意欲のある人が望ましいと考えます」

卒業生には「UI / UXデザイナーを必要としている大企業に就職し、プロダクト開発の中心的な存在として活躍できる即戦力になってもらう」。これは、黒木さんと高宮さんが口にした目標だ。

学校としても、これまでなかった新たな分野への挑戦となる。だからこそ、次代のプロダクト開発を担う意思のある人に応募してきてほしいと考えているという。高い目標を持っている人にこそ、挑戦してほしいものだ。

UI / UXは、プロダクト開発の柱になるものです
東京デザインプレックス研究所 学校プロデューサー
黒木公司
専門学校や社会人学校の学校経営を経て、2011年に(株)アポロスコーレを設立。2012年に東京デザインプレックス研究所を創立。ブランドマネジャー、キャリアコンサルタントとしても活躍する。
UI / UXは、Webデザインの一要素ではありません
東京デザインプレックス研究所 UI / UX専攻主任講師
高宮修平
フィンテック関連のプロダクトUI / UX設計に携わる。また、テキスタイルデザインにも精通し、ロンドン芸術大学で非常勤講師を務める。2007年に経済産業大臣賞を受賞する。

企画協力:東京デザインプレックス研究所

小泉森弥
※Web Designing 2018年4月号(2018年2月17日発売)掲載記事を転載

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