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データのミカタ Web Designing 2017年10月号

「電子決済を使わないユーザー」という未開拓市場 データアナリスト萩原雅之氏による統計コラム

新しい電子決済手段が登場し、多くのプレーヤーがしのぎを削っているなかで、いまだ代金引換やコンビ二支払いなど非電子決済を好むユーザーは多い。それらの決済手段が提供されていない場合、他のサイトや店舗で購入する顧客がいることをEC事業者ならよく知っているはずだ。

総務省が毎年実施する「通信利用動向調査」では、オンラインショッピング経験者に対して、「利用したことのある決済手段」を聞いている。7月発表の最新結果で、もっとも多いのは「クレジットカード」で63.0%、以下「コンビ二での支払」35.1%、「代金引換」32.0%、「銀行・郵便局の窓口、ATM」26.2%、と現金による決済が続く。電子マネーやスマホ決済などはいまだ10%台にとどまっている。

各手段を電子決済利用の有無別に構成比でみると「電子決済」の利用者は71.1%(うち電子決済のみが35.3%、併用が35.8%)、「非電子決済のみ」は19.6%となる。上図は年齢別にみたもので、非電子決済のみという購入者は若年層と高齢層で比較的高い比率になっている。

電子決済はその場で取引が完結し、手数料がかからず、ポイントがたまるなどメリットが多いのに対して、非電子決済は店頭に足を運ぶ時間も手間も費用もかかる。しかし、若年層はクレジットカード所有者が少ないのも理由ではあるが、高齢層については現金で確かに支払ったという「安心感」も大きい。銀行よりもタンス預金を好むのと同じ心理であり、システムの安全性、信頼性とは別のものだ。

言い換えると、電子決済ビジネスには未開拓の市場が残されているということでもある。先進性や利便性だけではなく、このような高齢者の心理を理解し、どのように電子決済への抵抗感をなくしていくかも業界の成長に必要な視点だろう。

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無作為抽出の郵送法で調査されたデータ。対象は15歳以上のインターネットでの購入経験者。電子決済は、「クレジットカード」「インターネットバンキング・モバイルバンキング」および「通信料金・プロバイダ利用料金への上乗せ」など、非電子決済は、「代金引換」「銀行・郵便局での支払い」「コンビ二での支払い」などを指す(nはサンプル数) 出典:平成28年通信利用動向調査の結果(総務省) 
Text:萩原雅之
トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、マクロミル総合研究所所長。1999年よりネットレイティングス(現ニールセン)代表取締役を約10年務める。著書に『次世代マーケティングリサーチ』(SBクリエイティブ刊)。http://www.trans-cosmos.co.jp/

掲載号

Web Designing 2017年10月号

Web Designing 2017年10月号

2017年8月18日発売 本誌:1,530円(税込) / PDF版:1,200円(税込)

決済の改善は売上拡大に直結する!

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企業のIT推進担当者やネット運営者に向け、ネットビジネスの課題を解決するノウハウや最新情報をお届け。徹底した現場目線とプロへの取材&事例取材で、デジタルマーケティング施策に取り組む上での悩みや疑問、課題を解決するヒントを紹介します。

10月号のテーマは「Webビジネスとお金」。電子決済やポイントシステム、はたまた仮想通貨で変わるビジネスの世界を追究します。



技術の進化に伴い、決済方法の多様化・自由度拡大により、ビジネスは大きく変わろうとしています。

①ビジネスのバージョンアップ
 ・新しい市場、新しいマネタイズ

②お金まわりに関わるコスト削減

これは、大企業がやっていることでウチのような中小企業には関係ない、で済ませて本当にいいのでしょうか?

さらに新しい技術の波(仮想通貨)が近い将来に確実に押し寄せようとしている中で、すでに波が来てしまってから慌てても遅いのではないでしょうか。そして、あなたのビジネスをさらにバージョンアップさせる可能性が眠っていないでしょうか?


本特集で、電子決済・電子マネー・そして仮想通貨という「これからの決済」を軸に、決済の進化があなたの(Web)ビジネスをどうバージョンアップさせるのか追究してみましょう。


●日本の決済の現状とIT技術進化によるビジネスの変化、中小企業にとってどんなチャンス(注意点)があり、どんな認識・準備が必要か

●データで見る、顧客の意識・利用調査、海外の現状

●身近な事例で見る、ITの進化で生まれた新しい決済方法

●決済の進化が変える<収益増大・市場拡大> 
 ・越境ECをメインに海外の状況、すでに日本で対応している例、これから小規模ビジネスでもビジネスチャンスを逃さないために必要なポイントなどを解説します。

●決済の進化が変える<買い逃し防止>  
 ・ユーザー側にすでに幾多の決済方法が用意されている現状で、指をくわえて商機を逃す(かご落ちさせる)わけにはいきません。業界、業態、商品によってどの決済方法は必須なのか、それによる費用対効果は?


●決済の進化が変える<マーケティング> 
 ・電子決済、Webマネーで期待できることとして、POSでは計れない購買データ、顧客データがマーケティングに活かせるというポイントがありますが、実際にはどんなサービスでどんなデータが取れ、それを何に活かせるのでしょうか。大手ペイメントシステム会社に聞きました。

●決済の進化が変える<業務効率化・コスト削減>

●決済の進化が変える<新しいビジネスモデル>

●決済サービスとセキュリティ

●ポイントシステム導入に必要なこと
 ・中小企業におけるポイントシステムの費用対効果は? ポイントは課税?非課税?など


●仮想通貨
 ・近い将来にやってくる、今まで決済の進化から考えられるビジネスのバージョンアップを現実のものにできるかもしれない、仮想通貨の基礎知識と、それにより具体的にどんなビジネスが可能になるのかまで言及します。

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