2017.01.18
YouTube検索で潜在顧客を「引き寄せる」方法 [Case Study]主婦の手づくり動画で月商650万円
“子育てママ”の悩みから発案されたアイデア商品「抱っこひも収納カバー」。世の中にそんな商品が全くなかった時に販売し、YouTubeを使い強力な認知に成功したルカコの秘策は、「動画を見ている人に届ける」ことだった。
Photo:黒田彰
「シンデレラストーリー」を支える苦労
2人の小さな子どもを抱えながら、自分が欲しいと思ったものを手づくりした縫製品の販売で月商は半年で100万円を超え、2016年11月の段階で主婦のパートを30名雇用するママさん起業家。それが「抱っこひも収納カバー ルカコ」代表の仙田忍さんだ。ここだけ聞くと単なる「シンデレラストーリー」と受け取られてしまうかもしれないが、小さいことを積み重ねてきた仙田さんのプロセスは、それこそ動画をビジネスに利用するためのヒントが満載なのだ。
もともとは個人的に始めた商売だった。子どもが小さく、フルタイムで働いている証明がなければ保育園に預けることができない現状のなか、仙田さんは子育てをしながら働ける方法を模索していた。そこで、まずは自分の経験から不便と思ったことを解決するため、2,000円の生地を購入して抱っこひも収納カバーをつくり、自身の手で販売することを考えた。しかし当初は、「抱っこひも収納カバーなんて売れないのではないか」という声が大半だったが、「自分と同じ悩みを持っているママさんは少なくないはずだ」と地道に努力を重ね、販売数が上がりだしたのが約3年前のことだ。
受注が増えるのは嬉しいことだが、増えすぎると1人でこなせなくなってくる。そこでパートを募集したところ70名が応募してくれた。「午前か午後のどちらでも良い」「いつ休んでも良い」という小さな子を持つママのための条件を提示して30名を雇用した。現在は12名が受注発送で、自宅で縫製しているママも多いという。リアル店舗では阪急百貨店ほか8店舗で常設販売されているが、つくり手となるママがお客様に直接手渡している。製造から販売に至るまで、まさに「ママの手づくり」なのだ。

抱っこひも収納カバー専門店 ルカコ
「動画を見ている人」に発信する
このようにして手づくりされた商品を、これまた仙田さん本人が制作したWebサイトで販売し、動画も自分で撮影/編集してYouTubeにアップロードしている。なぜ動画だったのか。それは、抱っこひも収納カバーがこれまでにない商品であり、商品特性がわからないのが理由だ。
子どもを抱く時に使う「抱っこひも」の不便さや不満を解消できる商品特性を、静止画ではうまく表現できない。そんな悩みを抱えていたある時、このカバーの使い方を実演してみせる機会があった。すると、その場で見ている人たちは「おおー!」と感嘆の声をあげたのだ。「これは動画しかない」と、四苦八苦しながら3分の動画を制作した。もちろん手づくりである。

YouTubeに公開されている動画には、ベビー用品メーカー大手の「エルゴ(で使える)カバー」と銘打って商品を紹介し、固定カメラ1台で撮影した使い方を紹介。あとは静止画を組み合わせた“手作り”動画だ