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解析ツールの読み方・活かし方 Web Designing 2015年9月号

アクセス解析が生んだ、売り上げ4倍の施策とは?

この連載では、課題を抱えたサイトにおいて、「解析ツールのどの数字に注目し、それを解決するためにどのような施策を行って、どうなったのか」を解説していく。ウェブ解析士が読む、実在のサイトのリアルなデータに注目してほしい。

 

まずは問題点の洗い出し

このサイトは、B2Bのショッピングサイトで、オリジナルのノベルティグッズを扱っている。売り上げが伸びていないことが課題だが、あまり予算を投下できないという前提があった。

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01 ボックスティッシュ販売サイトの宝箱
2014年8月にオープンした企業向けのフルオリジナルボックスティッシュ販売サイト。製造元だからできる高品質、低価格の商品を小ロットで販売している。ネット専業ではあるが、集客に苦心していた

そのため、無料で活用できる「Googleアナリティクス」を使って分析を行った。しかし、「Google Search Console」(当時は「ウェブマスターツール」)が導入されていなかったため、まずはGoogle Search Consoleの導入を行い、Googleアナリティクスと連動するように設定を行った。そうすることにより、Googleアナリティクス単体ではできないような分析や、サイトマップを登録してGoogleに対して能動的に働きかけることが可能となるので、必ず実施しておきたい。

 

アクセス解析からわかる問題点

まずサマリーを確認し、大枠を把握した。コンバージョン数が少ないことよりも、アクセス数自体が少ないことに、すぐに気がついた。B2Bのサイトであることを差し引いても、あまりにもアクセス数が少なすぎる。

そこで、どのような経路からアクセスされているのかを、Googleアナリティクスの[キーワード分析]の[集客]→[参照元]を確認して洗い出してみた(02)。すると、検索キーワードの数が少なく、ほとんどが指名ワード(サイト名を含む)であることがわかった。そういったアクセスユーザーはリスティング広告からの流入と比べて滞在時間なども長いため、購買につながる可能性が高いと思われる。したがって、オーガニック検索で訪れるユーザーを増やす施策が有効であると考えた。

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02 Googleアナリティクスで、[キーワード分析]→[集客]→[参照元]→[すべてのトラフィック]→[参照元/メディア]を確認することで現在の流入経路を把握できる

 

どのように施策を考える?

では、オーガニック検索からの流入を増やすためにはどうしたらよいのだろうか。もっとも一般的なのはSEOの強化だ。そのためには、どのキーワードをターゲットとしていくかが重要となる。これを見誤ると、検索順位が上がったにもかかわらず、集客に結びつかないということも起こりうる。その有効なヒントは、GoogleアナリティクスやGoogle Search Consoleから得ることが可能だ。これらを使うことで、クリックされているキーワードや、どのようなキーワードで表示されているのかを知ることができる。その中から、表示順位が低いもののクリック数の多いキーワードを探す。このようなキーワードは、順位を上げれば、さらなるクリック数の向上が見込めるからだ。

また、関連キーワードも探してみた。先に調べたキーワードは、「現状で」どのようなキーワードが有力なのかを示している。これに「サジェストワード」(関連キーワード)を追加していくのだ。そこで、「goodkeyword」というサービスを利用して得たサジェストワード(03)を「Google アドワーズ」を使って月間検索数を把握し、ターゲットとするキーワードを絞り込んだ(04)。ここで大事なのは、集客ができるか売り上げにつながるかという視点で選定を行うことだ。そして、見つけ出したキーワードで検索されるようにコンテンツの改善を行った。この作業は、定期的に繰り返し行った。

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03 「goodkeyword」は、検索されている関連キーワードを表示するサービス。ここでターゲットキーワードを入力すると、関連キーワードが表示されるので、テキストボックス内のキーワードをコピーしておく

 

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04 Googleアドワーズの「キーワードプランナーツール」の「予算とキーワードの分析」欄に、02でコピーしたキーワードをペーストする。その際には、関連性が低いキーワードは除外しておく(左)。検索頻度や競合他社の出稿状態が表示されるので、これをもとにキーワードを選定した(右)

 

効果測定は、どこを見る?

SEOの強化を行って、検索キーワードで上位表示されるのは、どのページでもいいというわけではない。冒頭で述べたように、目的は売り上げもしくは問い合わせの数を上げることだ。つまり、狙ったキーワードで検索ユーザーを獲得し、目的とするページへ誘導することができなければ意味がないのだ。

そこで大事なのは、SEOの原則である「1ページ1キーワード」だ。キーワードを選定したら、それが既存ページのどこに当てはまるのか、もしくは新規ページを作成すべきなのかなどを考える必要がある。そのためには、Googleアナリティクスの「ランディングページ解析」「検索エンジン最適化の検索クエリ」を確認しよう。通常のランディングページ解析ではキーワードが取得できないので、カスタムレポートを使用する。アドバンスドセグメントでランディングページの絞り込みを行うことで、各ページごとのキーワードの表示が可能だ。

今回のTAKARABAKOの場合は、すべてのページで同一のデスクリプションやテキスト説明を行っていたため、特定のページにユーザーを誘導することができていなかった。そこで、トップページでは「オリジナルボックスティッシュ」といったメインのキーワードを、下層ページには「野球ボックスティッシュ」「ローションボックスティッシュ」「ボックスティッシュ クチコミ」など、各商品に合わせたキーワードを設定した。

 

広告を減らしたのに売り上げは4倍に

このような施策により、2015年3月から6月の3カ月で、オーガニック検索からの流入が7倍(126→775)に増加した(05)。

メインキーワードの上位化が実現できたため、リスティング広告の出稿量を減らしたにもかかわらず、オーガニック検索からの流入が増え、トータルで売り上げが4倍に増加した。それに加え、購買に結び付くキーワードの選定および検索順位上位化も実現できたため、検索から訪れたユーザーを目的に合った下層ページに誘導できたからだと考えられる。

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05 参照元分析結果。2015年3月(左)と2015年6月(右)。GoogleもYahooも「organic」、つまり通常の検索結果からの流入数が増えていることがわかる

この案件では、解析結果から問題点を把握し、SEOを強化してオーガニック検索からの流入を増加させるという施策を実施した。ほかにも、リスティング広告を使ってランディングページの改善を行う施策なども考えられる。どのような施策を行うことがベストであるかは常に考える必要がある。一つの施策で十分かもしれないし、並行していくつもの施策を実施する必要があるかもしれない。しっかりと目標を見据え、常に改善を加えながら施策を実施していくことが重要だ。

 

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Text:矢部貴也
学生時代にベンチャー系Web制作会社でWebデザインから構築、SEOまでオールラウンドに経験。現在は、大手金融系システム会社で、Webコンサル提案を行う。

 

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Text:一般社団法人ウェブ解析士協会
事業の成果に導くWeb解析を学ぶ機会の創出、研究開発、関心を持つ人たちの交流促進、就業支援などで、Web解析を通じての産業振興やWeb解析の社会教育を推進する。

掲載号

Web Designing 2015年9月号

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