広告コンテンツの著作権|WD ONLINE

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知的財産権にまつわるエトセトラ Web Designing 2022年2月号

広告コンテンツの著作権 ~青山ではたらく弁護士に聞く「法律」のこと~

身の回りに溢れる写真や映像、さまざまなネット上の記事‥‥そういった情報をSNSを通じて誰もが発信したりできるようになりました。これらを使ったWebサービスが数多く誕生しています。私達はプロジェクトの著作権を守らなくてはいけないだけでなく、他社の著作物を利用する側でもあります。そういった知的財産権に関する知っておくべき知識を取り上げ、毎回わかりやすく解説していくコラムです。

本号の特集のテーマはネット広告ですが、ネット広告で使われる素材についても,著作権について注意する必要があります。

著作権法では著作者が著作権者になる、とされています。著作者とは作品を創作した人のことです。写真であればカメラマン、イラストであればイラストレーター、文章であればライターがそれぞれの著作権者となります。ネット広告で使用するこれらの素材については、著作権者から著作権の譲渡を受けるか、使用についての許可をもらうことになります。

これと少し異なるのが広告映像です。著作権法では広告映像も「映画の著作物」として扱われます。そして、「映画の著作物」については創作をした人=著作者ではなく「映画製作者」が著作権者になるとされています。「映画製作者」とは、判例では映画が売れた場合の利益を得る一方、売れなかった場合の損失を負担する人とされています。簡単に言ってしまえば、映画の製作資金を負担した、映画製作に投資をした人ということです。映画が売れなければ投資した資金は返ってきません。しかし、投資をすることで映画製作者として著作権者になることができれば、映画が売れたときの利益は確実に自分のところに返ってきます。著作権法が映画製作者に著作権を認めているのは、それによって映画製作への投資を促そうという狙いもあるのだと考えられます。

一般的な劇場用映画では複数の会社が組織する映画製作委員会がこれにあたります。では、広告映像については誰が「映画製作者」でしょうか。

ケーズデンキのCMの映像について、「映画製作者」が誰になるかが争点の1つになった事件がありますが、その事件では知財高裁は映画製作者は広告主であるケーズデンキであるとしました。広告制作に必要な資金を負担しているのは広告主であるというのがその理由です。そして、この解釈についてはあまり異論もないようです。

ですから、ネット広告についても、映像を制作した場合には、著作権は広告主に認められ制作をした側には認められないという点に注意をする必要があります。ケーズデンキの裁判では、納品した広告映像のうち、開店した店舗名を編集して別店舗のCM映像に流用したことについて、映像を制作した側が著作権侵害であるとして訴えました。しかし、映画製作者は広告主ですから、映像を制作した会社には著作権が認められませんので、訴えは退けられてしまいました。

広告コンテンツについて、無断で流用されるのを避けたいのであれば、映像以外については使用を許可した上で使用範囲を明らかにすること、映像については著作権者が広告主であるとしても、無断で流用することは契約で禁止することが必要になります。

広告映像では、映像制作側でなく広告主に著作権があります。ネット広告においても注意が必要です
Text:桑野雄一郎
1991年早稲田大学法学部卒業、1993年弁護士登録、2018年高樹町法律事務所設立。著書に『出版・マンガビジネスの著作権(第2版)』(一般社団法人著作権情報センター 刊 2018年)など http://www.takagicho.com/

掲載号

Web Designing 2022年2月号

Web Designing 2022年2月号

2021年12月18日発売 本誌:1,560円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

「クッキーレス」問題の傾向と対策付き!2022年に主流のWeb広告&SNS広告を全解説

サンプルデータはこちらから

Web Designing 2月号(12月18日発売)特集

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クッキーレスで激変!!
ネット広告 2022


カウントダウンが始まったクッキー規制。
広告の再整備が求められる中、
新時代のネット戦略の決め手を提案!


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2022年が目前の今、「クッキーレス」というキーワードが盛んに取り沙汰されています。
個人情報保護の観点から、多くのWebブラウザが「サードパーティクッキー」を削除し始めており、
世界的にも膨大な利用者を抱えるGoogleのChromeも、2023年には対応すると発表しました。

これにより、ネット広告をはじめとしたデジタルマーケティングの世界は大きく変わる可能性があります。
では、「クッキーレス」とはどういうことで、どんな影響があるのでしょうか?
Web Designing 2022年2月号では、根本的な「基礎の基礎」から丁寧に解説し、
「ではどうすればいいか」の最初の一歩を提案します。


また、そんなデジタルマーケティングの流れを受けて、これからのWebビジネスにおいてネット広告&SNS広告は
何が有効で、どんな使い方が効果が高いのか? 

2022年に主流のネット広告やSNS広告をたっぷり集めた「ネット広告大全」をお届けします。
リスティング広告、ディスプレイ広告はもちろんInstagram、Twitter、Facebook、YouTube、TikTokに至るまで、
◇ターゲット層 ◇価格相場 ◇用途・目的 ◇向いている商材&サービス ◇広告からの誘導後のアクション例 など、
自社の「今欲しい」施策はどれなのかわかりやすく解説します。


ー<CONTENTS>ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■クッキー規制の背景と影響
クッキーレスって要するになに?じゃあどうすりゃいいの?



■2022年版 クッキーレス時代のネット広告&SNS広告の選定と活用
リスティング広告
ディスプレイ広告
リターゲティング広告
アフィリエイト広告
Facebook広告
Twitter広告
Instagram広告
YouTube広告
TikTok広告
LINE広告

■広告選定の基礎知識

■ネット広告の費用対効果が上がる「予算の組み方」

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