WD Online

知的財産権にまつわるエトセトラ Web Designing 2020年6月号

新聞記事の社内利用でどこに許可をもらうか ~青山ではたらく弁護士に聞く「法律」のこと~

身の回りに溢れる写真や映像、さまざまなネット上の記事‥‥そういった情報をSNSを通じて誰もが発信したりできるようになりました。これらを使ったWebサービスが数多く誕生しています。私達はプロジェクトの著作権を守らなくてはいけないだけでなく、他社の著作物を利用する側でもあります。そういった知的財産権に関する知っておくべき知識を取り上げ、毎回わかりやすく解説していくコラムです。

つくばエクスプレスを運営する首都圏新都市鉄道が、中日新聞社(2月17日)に続き日本経済新聞社(5月19日)からも訴訟を提起されました。複製した新聞記事を社内の電子掲示板に掲載し、従業員に閲覧させていたことが著作権侵害にあたるというのが訴訟の理由です。

新聞に掲載されている記事や写真も著作物ですから、利用する際には著作権を侵害しないように注意することが必要です。個人が自分で使う目的でコピーしたり、スキャンしてPCに保存したりすることは「私的使用目的の複製」として許されていますが、企業内で社員が見る資料とする場合は「私的使用目的」にあたらないとされています。ですから、コピーやスキャンをすると複製権、コピーを配布すると譲渡権、回覧すると貸与権、デジタルデータを社内で共有すると公衆送信権の侵害になります。

企業内で新聞を利用する場合、新聞社に使用料を支払って複製の許可を取る必要があります。ただ、複数の新聞を利用したいとなると、それぞれの新聞社に許可をもらうのは大変です。そこで、(公社)日本複製権センターを利用する方法があります。主要な新聞については、1回につき20部以内という制限はありますが、所定の使用料を支払うことで、コピーをして社内に配ることが可能です。

また、複製権センターは、以前はコピーにしか対応していませんでしたが、2018年10月1日から、スキャンや撮影などによってデジタルデータ化してPCに取り込むことにも対応する「電磁的複製許諾契約」を行うようになりました。データは外部の第三者とはシェアできませんが、社内の共有サーバやクラウドにアップして、同時に30人以内であれば社内共有することが可能です。さらに、ファイル暗号化などの措置をとれば、30人以内にメール送信して共有することもできます。このように、普段の業務に必要な新聞記事をシェアする場合、複製権センターはとても便利です。

ただし、複製権センターでは、継続的・反復的に記事を複製して共有するクリッピングは許可していません。また、資料をアーカイブ化したり、検索データベースを構築したりするためにデジタライズすることも許可していません。このような場合は各新聞社に許可を得ることが必要です。

首都圏新都市鉄道が複製権センターと契約していたかどうかは不明ですが、報道によると「長年にわたり記事を画像データ化して社内掲示板に掲載していた」ということで、複製権センターからは許可がもらえない利用方法だったようです。

社内での新聞の取り扱いについては、その態様や用途、展開する人数に応じて、どこに許可をとるかよく注意をする必要があります。

copyrights.jpg
日本複製権センターと各新聞社で、得られる許可の範囲が異なるため確認しておこう
office_LOGO.jpg
Text:桑野雄一郎
1991年早稲田大学法学部卒業、1993年弁護士登録、2018年高樹町法律事務所設立。著書に『出版・マンガビジネスの著作権(第2版)』(一般社団法人著作権情報センター 刊 2018年)など http://www.takagicho.com/

掲載号

Web Designing 2020年6月号

Web Designing 2020年6月号

2020年4月17日発売 本誌:1,560円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

緊急特集【テレワーク】/世界のリサーチ結果をプレゼンやビジネスの武器にしよう!

サンプルデータはこちらから

■■■■■■■■■ Web Designing 6月号(4月17日発売)特集 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【緊急特集】テレワーク
リモートワーク・ビデオ会議の質を高めるための実践テクニック


世界の大規模なリサーチデータを集計して徹底分析!
Webビジネスの最新動向

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

<概要>

--【テレワーク】-----------------------------------------------------------------------
・リモートワークが余儀無くされる状況下、何からどう取り組めばいいか困っている人へ、
 企業として長くリモートワークに取り組んできた2社のノウハウを紹介。

・どんな機器、ツール、体制がおすすめ?
・円滑に、質の高いリモートワークを実現させるための実践ポイント



-【Webビジネスの最新動向】-----------------------------------------------------------------------
・公的機関をはじめ民間企業の独自調査など、90以上の世界中のリサーチ結果を見やすく整理。
 社内外の提案などで参考資料として使える資料集。

・ツール選定などの参考資料にもなります。

・リサーチ結果から各業界のプロが現在~近未来の潮流を優しく解説。

・Webマーケティング編(マーケティング全般、SNS、動画、ECなど)
 最新テクノロジー編(AI、RPA、IoT、VR、5Gなど) 
 採用&働き方編(テレワーク、採用、キャリア育成、組織改革など)
 
・目的なくして調査の意味はない! ユーザーリサーチの心得
・「調査屋」ではなく「戦略パートナー」にする! プロにリサーチを依頼するメリットとは?

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【Web Designing 6月号を読んだメリット】

・いますぐリモートワーク、Web会議などを整備するために必要な現場のノウハウがわかる
・リモートワーク、Web会議をより快適に行うための機器やツール、運用体制の参考になる

--------

・提案・プレゼンの根拠づけなどに使える
・ツール導入などの選択基準として使える
・Webビジネスの技術・働き方の潮流が把握できる
・ビジネスの最新動向を系統立てて把握できる
・リサーチ結果の数字を読み、自分のビジネスに活かせるノウハウが身に付く
・効果的なリサーチ方法、アンケートの設問の作り方などがわかる



【こんな悩みを持つ方にオススメ!】
■大事なビジネス方針を決めるのに、たった1つの調査結果だけで大丈夫かな…?
■プレゼン資料を作るのに、色々なデータをかき集める時間がない!
■マーケティング手法もテクノロジーも目まぐるしく変わっているけど、今のポイントを知りたい
■リサーチが必要なことはわかっているけど、そんな予算もないし何をしていいかわからない
■決裁者に提案を通すために効果的な数字やその見せ方が知りたい

など

この記事を見た人はこんな記事も見ています