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知的財産権にまつわるエトセトラ Web Designing 2020年6月号

調査データを引用する際の留意点 ~青山ではたらく弁護士に聞く「法律」のこと~

身の回りに溢れる写真や映像、さまざまなネット上の記事‥‥そういった情報をSNSを通じて誰もが発信したりできるようになりました。これらを使ったWebサービスが数多く誕生しています。私達はプロジェクトの著作権を守らなくてはいけないだけでなく、他社の著作物を利用する側でもあります。そういった知的財産権に関する知っておくべき知識を取り上げ、毎回わかりやすく解説していくコラムです。

Webサイト上では、さまざまな機関や企業から統計資料が公表されています。皆さんも業務で使う資料をつくる時などは、統計資料に出てくる調査データを引用することがあるでしょう。今回はその際の留意点についてご紹介します。

まず、調査データそのものには著作権などの知的財産権はなく、誰でも自由に利用できます。調査データを収集し、統計資料にまとめるためには、各機関・企業の膨大な費用と労力がかかっていることが少なくありません。しかし、他方では、調査データは「ある方法で調査をしたところ、こういう結果が得られた」という客観的な情報に過ぎません。ですから、同じ方法、費用、労力で実施すれば、同様の結果になると言えます。そのため、ある特定の組織や個人に独占する権利を認めるわけにはいかないのです。

ただ、調査データが図表にまとめられている場合、Excelなどに予め入っているフォーマットを使っている場合は別ですが、色彩、フォントの種類や大きさ、行・列の幅、線の太さなど、見栄えの良さや見やすさという観点からデザインされていることが多いです。このような図表については、そこに掲載されている調査データとは別に、デザインに対する著作権が認められます。ですから、図表そのものをコピー&ペーストして利用すると、デザインに対する著作権の侵害になります。

本連載でも以前に紹介しましたが、著作権法には「引用」のルールが定められています。このルールに正しく従えば、図表を丸ごと使えるのではと思う方もいるかもしれません。しかし、デザインも含めて引用するためには、その必要性が問われます。皆さんが利用したいのはあくまで調査データであって、図表のデザインではないはずです。図表そのものをコピー&ペーストする必要はないので、図表を丸ごと引用することは許されません。調査データを図表にしたい場合は、オリジナルを作成することが必要になります。

法的には以上のとおりですが、発表元が無断利用を禁止する旨を明言している場合は、利用するとトラブルになる可能性がありますから、無断での利用は避けた方がよいでしょう。逆に、総務省統計局のWebサイトのように、「掲載している簡単な図表などは一定のルールに従えば自由に利用してよい」と明記されている場合は、そのルールに従えば図表をコピー&ペーストすることもできます。

なお、許可が取れてコピー&ペーストで使う場合でも、オリジナルの図表を作図した場合でも、調査データの引用にあたっては、自分自身がその調査を実施したわけではありませんから、データの信憑性を明らかにするため、そして誤りがあった場合に責任を問われるのを避けるために、出典は記載した方がよいと思います。

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調査結果を引用する際は、データと図表のデザインを切り分けて考える必要がある。どのケースでも出典は明記すること
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Text:桑野雄一郎
1991年早稲田大学法学部卒業、1993年弁護士登録、2018年高樹町法律事務所設立。著書に『出版・マンガビジネスの著作権(第2版)』(一般社団法人著作権情報センター 刊 2018年)など http://www.takagicho.com/

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