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地方創生を実践するための「SDGs」活用法

「SDGsって最近よく聞くけど、イマイチよくわからない」。しかし、SDGsを本当の意味で理解できれば、地域課題解決への糸口になります。そこで、10年以上地域課題を手掛けているNPO法人issue+designの筧裕介さんに、SDGsの本質的な考え方と、「地方創生」に活用するために持つべき視点についてお聞きしました。

地域が抱える多様な問題は、「すべてつながっている」

企業をはじめ、多くの自治体が積極的に取り組み始めているSDGs。しかし、地球規模の壮大な目標を本質的に理解することは難しく、自分事として捉えられないのが現実ではないでしょうか。

issue+designの筧裕介さんは、「SDGs」という言葉が一般的に使われる前から、全国各地で地域の課題解決プロジェクトに携わってきました。その中で、SDGsの考え方が「地方創生」と非常に相性がいいことを発見したと言います。

「地方は人口減少にともなう多くのひずみを抱えています。実は、このひずみのほとんどは根底でつながっていて、要因が複雑に絡み合っています。だから、目の前の1つの課題に対処しても、また別の課題が出てくるというイタチごっこが起きる。SDGsの本質的な考え方は『すべてはつながっている』。このSDGsの考え方を活用することで、地方創生に取り組むためのヒントが見えてくるはずです」(筧さん)

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2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている、2016年から2030年までの国際目標。持続可能な世界を実現するための17のゴールと169のターゲットから構成。発展途上国だけではなく、先進国自身が取り組むべきユニバーサル(普遍的)なものとして、日本でも積極的に取り組みを進めている。

 

「地域は生きている」その場しのぎの解決法はNG

筧さんは、地方創生が目指す「持続可能な地域」について、「人と経済の豊かな生態系が息づいている地域」と定義しています。地域は、それを構成する人や建物、インフラなどのさまざまな要素がお互いの機能を補い合いながら、常に少しずつ入れ替わることで均衡を保っています。つまり私たちの細胞が常に入れ替わっているのと同じように、「地域も生きている」のです。

しかし、今まで日本は「工学的アプローチ」で地域問題に対処してきました。工学的アプローチとは、機械を直す時の基本の対処方法。例えばテレビが映らない時に、「リモコンの故障かな?」「コンセントが抜けているのかな?」とその原因を究明します。そして電池を交換するなり、電源を差し直すことで対処します。

「一種の生命体とも言える地域が抱える問題は複雑で、機械を直すような単純な方法では対処できません。例えば『若者の減少』という課題があった場合、移住・定住イベントの開催や、子育て奨励金を支給して呼び込むだけではその場しのぎにしかならず、移住した先にいい仕事や子育てに適した環境がなければ、若者はすぐ去っていってしまうでしょう」

もうひとつ、地域問題の解決をさらに遠ざけているのが、地域の中で起きている「分断」です。日本の組織の構成は、基本的には「縦割り」。例えば、大型商業施設が建設されるとなると、小売店が反対運動を起こす、役場の中でもそれぞれの課がまったく連携していないなど。それぞれが連携すれば、Win-Winの関係にできるのに、立場、世代などの違いによる分断があちこちに存在しています。

「いたるところで分断が起きている地域の状態を、私たちは『人と経済の生態系が崩壊している』と言っています。持続可能な地域にするために必要なことは、『分断を排した包括的なまちづくり』です」

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課題解決がうまくいかない落とし穴
テレビのような機械は、目の前にある原因に対処するだけで修理できる。しかし、地域の課題はさまざまな要因が複雑に絡み合っているため、この方法では解決できない。問題の根本的な原因を探り、包括的にアプローチする必要がある

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掲載号

Web Designing 2019年10月号

Web Designing 2019年10月号

2019年8月17日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

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高齢化や人口減少など、地方が抱える課題は山ほどあります。
一方で、インバウンドによる地域資源の再発見やITインフラの整備など、
ポジティブに捉えられる話題もあります。
もちろん地方の自治体・民間企業は今、大きな課題に対し真摯に取り組んでいますが、
WebをはじめとするITスキルのプロフェッショナルの力を必要としているのです!

WebやIT業界で活躍する制作会社をはじめとしたプロフェッショナルのみなさんは、
今そこにある地方の課題解決に多少なりとも貢献できるスキルを持っていると言えるでしょう。
また、ネットワーク技術の進化は働く場所の自由度を大きく広げました。
自分の理想とするライフスタイルに合わせて、住む場所をはじめ関わりを持つ地域の選択肢も増えています。
そこで、企業や制作会社の地方も視野に入れた働き方の可能性も追求していきます。


また、ネットワーク技術の進化は働く場所の自由度を大きく広げました。
自分の理想とするライフスタイルに合わせて、住む場所をはじめ関わりを持つ地域の選択肢も増えています。
そこで、企業や制作会社の地方も視野に入れた働き方の可能性も追求していきます。



●地方が抱える課題とは
・制作会社の力が活きる地方のニーズ

●地方におけるWebビジネスのヒント
・制作会社の強みを活かす 考え方と実践
・今行われている地方でのビジネスとは?

●自治体側の受け入れ態勢や協業、助成金

●地方との繋がり方
・「移住」は手段の一つ。「住まなくても繋がる」関係性

●企業で考えるべき「働き方」
・地方志向の社員を活かすための制度導入
・サテライトオフィス、在宅リモートなど事例

【本誌内注目の一文】
■本当の魅力を発見して伝えていくためには、外から来たヨソモノ視点が必要

■まずは参加して、違う環境に関わってみよう

■都市部の高齢化問題の先進事例はローカルにある

■地域外の人材が地域づくりを担い変化を生み出す

■WebやITを生業とする方であれば、自身のスキルを活かす形でも関係人口になれます

■特別な理由がなくても全社員が選べる働き方として、テレワークを活用している




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