地方創生・移住促進、事業の主役はやっぱり「そこにいる人たち」 事例詳細|つなweB

「ローカル」は、かなり馴染みがあるテーマです。カヤックLivingでは、移住したい/関わりたい人とローカルとをマッチングするサービスを昨年立ち上げました。そのためこの2年間は毎日ローカルや移住のことを考えています。

実は2年前にローカルに興味があったか? と問われると暮らしや生き方の選択性と、その選択肢として移住への興味はありました。でも、ローカルのことはそんなに、いやまったく知らない状態。そんな私がローカルについて学び始めて最初に感じたのが違和感…それも「地方創生」という言葉です。「地方創生だ~!」と声をあげている大多数が、地域以外、つまり都市部の人であるように見えました。ローカルへの交付金の70%が外部機関に受託され、21億円が都内に戻っているというデータが今年の頭に報じられていましたが、まさにそれが縮図かもしれません。

私たちはインターネットの事業者ですし、私は少しPRのこと、インターネットのことを知っていますが、ローカルや街づくり、移住にも知識やノウハウはありません。それでも、「地方創生と移住促進の主役はローカルの人たちだよなぁ」と思ったのが事業づくりの始まりでした。

そして、コンサルティングや制作のお手伝いも、私たちはしないことにしました。私たちが提供するのは「SMOUT」という地域の人が自分で考え発信して、声を掛けて、自分たちの地域に興味を持ってくれる人と繋がり、活動する人を呼び込み、地域をつくるシステムです。人に依存することなく、地域が持続し続けられる仕組み。私たちもビジネスとして成立しないと継続できないので、「これはよい仕組みだ!」と思ってくれた地域に利用料を払ってもらうビジネスモデルを設計して、ローカルとの共創関係を目指すことにしました。

SMOUTでは、個々の自治体が自分で地元の魅力を発信します。ユーザーのフィードバックを見ながら、他の自治体と比較して「コアの強み(私たちは資本と呼んでいます)は何か?」 について、地域みんなで考えることができるサービスでもあります。

リリースから1年とちょっと。2年前の私が読めなかった、つまり決して有名ではない町(約1,800自治体の中には読めない市区町村がたくさんあります!)に、偶然なのか縁なのか、想像もつかなかった理由でSMOUTをきっかけに移住する人が生まれています。

移住や暮らしは人によって求めるものが千差万別。好みはもちろん、移住までの期間やステップも人それぞれです。ゆえに、プラットフォーム型のマッチング、というきわめてWebらしい、もう死語かもしれない「ロングテール」という言葉がとても似合うのが「移住」と「ローカル」という領域の事業なように感じています。その場に行くためには時間もコストもかかるがゆえ、オンラインとの相性も悪くはないと思います。

インターネットのプレイヤーである私がローカルで事業を手がけた経緯が読者の皆さんの役に立てばと思って今回はSMOUTの話をしました(事業説明っぽくなりましたが…)。

ローカルの仕事に興味がある人がいたら、やっぱり伝えたいのは、「そこにいる人たちが主役である」ということ。その上でお互いが一緒に歩める方法を模索するといいのかなぁと思います。

ユーザーが興味のあることをプロフィールに設定しておくと、地域の自治体、役所、企業などからスカウトが届く、マッチングサービスです。興味のある方はぜひ登録してみてください!https://smout.jp/
ナビゲーター:松原佳代
2005年に(株)面白法人カヤック入社。広報および企業ブランディングを担当する。2015年に独立し、株式会社ハモニアを設立。スタートアップの広報戦略、広報人材育成をおこなう。2017年7月より、(株)カヤックLivingの代表取締役を兼任。暮らし、住宅、移住をテーマとする事業を展開する。カヤックLiving/ Twitter @kayom
松原佳代
※Web Designing 2019年10月号(2019年8月17日発売)掲載記事を転載

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