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知的財産権にまつわるエトセトラ Web Designing 2019年6月号

企画書と著作権 ~青山ではたらく弁護士に聞く「法律」のこと~

身の回りに溢れる写真や映像、さまざまなネット上の記事‥‥そういった情報をSNSを通じて誰もが発信したりできるようになりました。これらを使ったWebサービスが数多く誕生しています。私達はプロジェクトの著作権を守らなくてはいけないだけでなく、他社の著作物を利用する側でもあります。そういった知的財産権に関する知っておくべき知識を取り上げ、毎回わかりやすく解説していくコラムです。

本号には、企画書に関するコンテンツもありますが、よく法律相談であるのが、「企画書の内容をパクられた」というトラブルです。

2017年、アイドルグループ・AKB48の公式アプリ「AiKaBu」に、企画の盗用疑惑がありました。「メンバーに株価をつける」という同アプリの内容に対し、株式会社カリン・パートナーズは、「自社が以前AKB48関係者に提案した『芸能証券』という企画に酷似している」と指摘。真相は不明ですが、仮に盗用していた場合、著作権の侵害になるのでしょうか。

実は、企画書などの内容は基本的にアイデアであって、著作権の保護の対象である著作物にはあたらないとされています。AiKaBuと芸能証券は、「ファンの支持が株価に連動していること」「ユーザーが株主となって仮想通貨で株の売買を行うこと」「持株数に応じて特典が得られること」といった類似点が指摘されていました。

しかし、これらの要素はいずれもアイデアであって、著作物にはあたらないと考えられます。よって、仮に盗用であったとしても著作権侵害にはなりません。一方、企画内容を実際にアプリとして機能させるためのプログラムは著作物にあたるので、プログラムを無断で流用した場合、著作権侵害となります。しかし、同じアイデアを異なるプログラムで実現していたら、著作権侵害にはならないわけです。

もちろん、企画を無断で流用することは、法的にはともかく、道義的には許されません。企画をもらう企業の立場としては、盗用が判明すると、社会的な信頼を損なってしまい、以降のさまざまな取引に悪影響が出ます。なにより、同じ企画が別の会社に持ち込まれていた場合には、リリース後に他社とサービス内容が重複してしまうリスクもあります。

しかし、企画を実現する作業を、社内あるいは受注額が低い別業者にやらせることでコストを削減したい狙いもあるのでしょう。法的にも著作権侵害にならないということで、確信犯的に企画を無断流用する企業は少なくありません。

そういった中、企画を出す側は、何ができるのでしょう。対抗策としては、①企画書などの資料を回収する、②資料に「企画の無断複製・流用を禁止する」旨を明記する、③資料の受領書を交付してもらい、そこに「無断流用はしない」旨を明記するといったことが考えられます。

対クライアントという立場上、難しいかもしれませんが、少なくとも無断流用は許さない、というメッセージを伝えることは励行したいものです。

なお、企画書やプレゼン資料で使った図版などは、企画内容とは別にそれ自体が著作物になります。資料そのものを無断流用した場合は、もちろん著作権侵害です。

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企画書の無断流用に対する対抗策
企画書の無断流用への対抗策3点。対クライアントという立場もあるが、できるものは積極的に実践したい
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Text:桑野雄一郎
1991年早稲田大学法学部卒業、1993年弁護士登録、2018年高樹町法律事務所設立。著書に『出版・マンガビジネスの著作権(第2版)』(一般社団法人著作権情報センター 刊 2018年)など http://www.takagicho.com/

掲載号

Web Designing 2019年6月号

Web Designing 2019年6月号

2019年4月18日発売 本誌:1,530円(税込) / PDF版:1,200円(税込)

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Webビジネスで[お金を生み出す]企画力!

3つのプロセスそれぞれで
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「自信に満ちた企画であってもなぜだか通らなかった」「用意周到に進めたつもりでもコンセンサスが得られなかった」。企画に関しては、そういった類のことが社内外を問わずに起こりうるものです。考えが浅いのか、企画が甘いのか、それともコミュニケーションが足りないのか。いろいろと頭の中で考えを巡らせてみるもののその答えはよくわからないまま、なんてことも多いと思います。
とは言っても、「誰も思いつかないエッジのたった企画を!」「すごい発想力が必要!」と意気込む必要はありません。

企画(力)は、①発見(インプット) ②立案 ③提案(アウトプット)の3段階でそれぞれの手順を踏めば見違えるほどレベルアップするのです。

本特集では、大きく3つの段階で考えるべきこと、やるべきことをステップ化し、Webビジネスの現場で「仕事につながる=お金になる」企画力の鍛え方を、順を追ってチェックできるように構成しました。
スピード感がもっとも重要な特徴の1つであるWebビジネスで「より速く」「より確度高く」「より効果の出る」企画を実現させるノウハウを凝縮しています。

【イントロダクション】
なぜ、あいつの企画書は通るのか?
クライアントの心を鷲掴みにする、勝つための「企画術」


【インプット】
●クライアントは頼りたくなる本当の「インプット」とは?
●課題明確化のためのヒアリング術
●意見を引き出すためのブレストノウハウ術


【企画立案】
●やるべきことを見誤らないために、正しく課題を洗い出す
●速く繰り返すアジャイル開発で答えを探ろう
●クライアントの反応からわかる企画提案の落とし穴
●デザイナーが主導する、企画のあり方


【アウトプット】
●読み手目線で伝える企画書づくり
●「聞かせる」「見られる」を意識したプレゼン術
●佐藤ねじ式・「企画」の流儀


●戦国武将から学ぶ、ビジネスに活きる“11”の企画
●チームで企画を生み出すためのTips「12」

など


※記事内容は変更になる場合があります。


【こんな方にオススメ!】
■競合他社に先んじて有力な企画を打ち出していきたい企業担当者、プランナー
■Webのスピード感に乗って数々の課題解決を提案する制作会社ディレクター、アカウント、クリエイター
■上司やクライアントに「費用対効果に見合う」と判断(納得)させ予算を引き出すノウハウを知りたい
■面白い企画なのにうまく実現できない、企画はバッチリのはずだけど承認されない・・・
■企画を提案しても、クライアントに即決してもらえない&値引きなどの注文をつけられてしまう

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