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特集一覧 Web Designing 2019年2月号

相手が頼りたくなる予算や見積もりの考え方 最善のパートナーシップを組む鍵は“ 事前準備”

ここでは、業界業種を問わずさまざまな企業と折衝し、制作側(Web制作会社)と組んだデジタル施策の実績が豊富なマーケティング支援会社の(株)ジェネシスコミュニケーションに、両者をブリッジする役割だから見えてくる、クライアント事情を踏まえながら、制作側目線で「クライアントとの適切な関係のつくり方」を語ってもらいました。

「大丈夫だろう」は禁物 予算の認識を最初に確認!

クライアントとの折衝で、もっとも避けたいのは目指すべきゴールを共有せず、最初の段階から“行き違い”があることです。行き違いはクライアントと制作側双方にとって何もメリットがなく、両者の溝を深めるだけです。制作側がクライアントから依頼(競合プレゼンテーションやオリエンテーションの誘い)があった際、行き違いの回避こそが成果を引き出す第一歩です。

一例を挙げましょう。クライアントの目的が「Webサイトのリニューアル」だとします。過去にリニューアルをしていれば、過去の予算が目安になりますが、問題は中身です。もし、以前のリニューアルでは表現などデザイン中心だったのが、今回はデザインリニューアルのほかに、新たにコンテンツを加えてテコ入れを図る希望があったとします(01)。

事情がわかる慣れた担当者がいれば別ですが、以前までの事情がわからない、新たな担当者が予算を組んでいることもありえます。となると、以前と異なった要素の制作予算を計算に入れていない可能性が出てきます。

クライアントが過去との違いに気づかず、制作側も「計上されている」と思い込んでいると、ある程度進んだ後に気づいてもアウト。その時には両者とも引き下がれない状況になりかねません。

 

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(01)よくある予算の認識のズレ
Webサイトをリニューアルしたい企業側が、予算の確保でコンテンツ制作分を確保していなかったら?

 

予算規模を確認しゴールを共有する

そこで強調したいのが、「最初が肝心」。クライアントの立場に立つと、案件や担当者によって、最初の制作側への説明はまちまちになる場合があります。また、社内では社内事情をわかった者同士で話すので、いざ事情を知らない制作側を前にして丁寧な説明がされない可能性もありえます。みなさんもクライアント側特有の事情に苦しめられた経験があると思います。第三者には「なぜそんなことで」と思う事情を企業側は抱えているものです。そうした要素をなるべく最初に洗い出しましょう。

最初の段階だからこそ、クライアントは聞く耳を持ってくれやすい。ここをうやむやにして進むと、それらの点は承諾済みだと勝手な誤解を生みかねません。制作側は、クライアントの事情も踏まえながら、納得を引き出すようにします。

そのためにも、最初にきちんとクライアントに予算の上限と案件の狙いを確認し、予算と狙いが噛み合っているか、必ず最初に判断します。同時に、伝えられた予算からプロジェクトへの会社の評価をつかみましょう。予算が小規模な場合、同社内ではあまり注目されていない案件と受け止められている可能性もあります。小さなスタートで地道に成果を出せる戦略を練りましょう。予算に規模感が出てくると、売上だけでなく投資の要素を加える意向が読み取れてきます。さらに大規模となれば、本格的なシステム導入も含めた本気度の高い話だと理解していいでしょう。

中身の説明では、クライアントから具体性を引き出してください。例えば、課題の優先順位が量的な要素が高いのか、質的な要素が優先なのかを確認します。量であれば「成果」への意識が強いのではないか? 質であれば「ターゲットの見直し」についてアンテナを張ります。その上で、競合他社は? 製品のポジショニングは? サービスの独自性は? と話を引き出します(02)。

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(02)オリエンテーション用ヒアリングシート
クライアントと最初に会う際は、気になる項目を書き出したヒアリングシートを自作で用意して、なるべく具体的に、聞き漏らさずに話を引き出しましょう。「とりあえず話を…」と、白紙のノートだけ持参して乗り込むのはNGです!

 

最初にクライアントと会う前に徹底して調べきろう

最初の段階でクライアントの真意をつかむためには、事前に徹底してクライアントを調べた上で初会合に臨みましょう。今まで、「とりあえず話を聞こう」とノートやPCだけを持参して、当日臨んでいませんでしたか? 「クライアントの話を聞いてから考える」はやめてください。そうした受け身の姿勢では、クライアントに的確な質問などできません。

こうした事前準備が得意なのが、広告代理店です。人員をかけて準備できる組織力があり、準備が先々のトラブルを回避する経験値を持っているからです。その点、制作側は準備が苦手か、考えもしないというケースが見られます。競合プレゼンとなれば、制作側は事前準備をしてくる代理店や私たちのようなマーケティング支援会社が相手です。最初で遅れをとっては、制作上の強みを活かす前に勝負は決します。

最初にクライアントに「頼もしい相手だ」と思わせましょう。クライアントが感心するほど、調べられるだけ調べておくこと。「ホームランクラスの企画を提出せよ」ではありません。相手を徹底して調べることは、ある程度の時間をかければ、誰でもできます。他社がやっていない事前準備ができていれば、他社よりアドバンテージを得るはずです。

「Webサイトのリニューアル」という依頼があったとしたら、なぜリニューアルなのかを、自分たちなりに洗い出します。他に競合他社サイトの状況、商品やサービスの強みや独自性を調べていけば、打ち合わせの前段階で対象の輪郭がつかみ出せて、自分たちなりの気づきや疑問が湧いてくるはずです。それらを初回で相手に問いかけるのです。

意外と多いのが、クライアント側は日頃の業務の忙しさで、競合他社の詳細を気にする時間を持てていないこと。「私たちに聞いてください」と拠り所になれるよう、クライアントの見る目がみなさんへと向く準備をしましょう(03)。

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(03)事前準備用のクライアントへの視点の持ち方
リエンテーション前にクライアントのことをできる限り調べながら、上の3例のように自分たちなりに課題を探り出し、成果につなげるための視点を洗い出しておくと、オリエン時の時間が有意義に機能します

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掲載号

Web Designing 2019年2月号

Web Designing 2019年2月号

2018年12月18日発売 本誌:1,530円(税込) / PDF版:1,200円(税込)

Web制作会社の動向でわかる!IT業界の2019年

サンプルデータはこちらから

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アンケートとインタビューで浮き彫りにする
Web制作業界の今とこれから

Web制作のリアル 2019

●この5年、Webの役割はどう変わった?
●どんな業務が増え、どんな仕事が減った?
●Web制作以外で広げたい業務は?
●会社として求める人材像は?
●強化したい知識やスキルは?

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デジタル全盛の今、加速度的にWeb制作の現場も変化しています。
ほんの5年前と比べてもスマホの普及やインフラの進化、さらにはAIなど技術的潮流の変化もさることながら、
それらに伴う消費者の行動変化は今までないスピードになっています。

そんな中、デジタルを駆使した課題解決のプロであるWeb制作会社/Web制作者は、
「サイト制作」だけを請け負う存在ではなくなりました。
ブランディングやプロジェクトの上流から参加するコンサルティング、アプリやビジネスツールの開発、
IoT、AI、はたまた採用やコーポレートアイデンティティの構築まで、その仕事の領域は大きく広がっています。

なぜそんなことが起きているのでしょうか。
Web制作という仕事にはそういった新しい領域の課題を解決し、次世代の要望を実現するスキルとノウハウがあるからです。
デジタルを中心とした現代のビジネスは、そんな「パートナー」を求めているのです。

では、そんなWeb制作会社やWeb制作者は何に力を入れ、これからどこへ向かおうとしているのでしょうか。
本特集では、独自アンケートとインタビューによる調査を実施し、Web制作会社の現在の経営戦略や現場の生の声を徹底収集。
過去5年間からの現場の変化を鑑みながら、Webを中心としたデジタル時代の今と近未来を考えてみようと思います。




■[第1部]Web制作白書2019・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Web制作という仕事が登場して20年強。この仕事の形は大きく変化を遂げてきました。
かつてデザインを中心としたその仕事は、今や単なる制作に留まらぬ、実に幅の広い仕事になっています。
Web制作に携わる人達が何を考え、どう働き、どこを目指しているのか。
その点をさまざまな角度から尋ね、その結果をグラフとコメントで構成しました。

Web制作とは今、どんな仕事なのか。そしてこれからどう変化していこうとしているのか。
その結果からは驚きの今と未来が見えてきます。



■[第2部]時代がWebクリエイターを求め始めている! Web制作の今とこれから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・「デザイン経営宣言」をWeb制作者観点から読み解く

[Chapter1]Web制作とクリエイティブの今・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・Web業界の変化と活路
 主に仕事の内容について、打ち上げ花火的なプロモーションの激減、クリエイティブという言葉が引き連れる意味の変遷など、
 Web制作が表現からクライアントの課題解決へと向かっている根拠を探ります。

・Web制作12社が考える「いま現場で必要とされる能力とは?」
 現場では、デザイナーであればデザインを、プログラマーであればコーディングを、という枠組みだけでなく、両者の知識やコミュニケーション能力など、職能が
 広がっている状況を把握します。

・デザインの力は企業になにをもたらすのか?_サイバーエジェント執行役員 佐藤洋介
 いまのWeb制作としての職能をどう育てるのかについて、対個人的、組織論的なアプローチで育成についてのヒントを解説します。
 同様に、個人がどのようにその能力を身につけることができるのか、日常の生活、毎日の仕事のなかでいかにアンテナを張り、知見をためていけるのでしょうか。

・Web制作会社進化論~広がる業務領域~


[Chapter2]制作会社が知っておきたい今ドキのクライアント事情・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
予算策定までのプロセス、要件定義の考え方、社内事情。制作会社に発注したい企業にも、「やりたくてもできない」理由があります。
現在の企業がWebビジネスを行う際、どのような課題や障壁があるのでしょうか。

・クライアントとの適切な関係をつくる「予算や見積もりの考え方」
・濃密で長期の関係を築く方法


など

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