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特集一覧 Web Designing 2019年2月号

ー座談会で紐解くーWeb業界の変化と活路 Web制作会社はどこに向かって進化していくのか

技術の進化やスマホの普及といった世の中の変化によって、Web業界のトレンドは年々変化をしてきました。昨今ではWeb制作以外のスキルと掛け合わせる強みを持つ会社も増えています。そうした強みを持つ3社の代表、DONGURIのミナベトモミさん、baigieの枌谷力さん、Garden Eightの野間寛貴さんにWeb業界の変化と展望について伺いました。
Photo : 五味茂雄(STRO!ROBO)

会社の強みを見極める

─ みなさん、起業時はどのような会社にしようと考えられていたのですか。

ミナベトモミ●2010年の設立当初は、複数のことを同時多発的に行ってきました。まず、「Awwwards*01」などの賞を獲りにいきました。受賞はしたものの、野間さんが以前やられていたLETTERS*02さんやSHIFTBRAIN*03さんなどライバルがたくさんいて。もう一つの柱だったマーケティングにもbaigieさんやFICC*04さんなどのライバルがいて。自分たちの強みを際立たせていくために、初期はライバルが少ない製品・サービス開発や、ブランディングに力を入れてましたね。

*01 Webデザインのアワード
*02 野間さんが2011年に起業したWeb制作会社。2016年解散
*03 東京のWeb制作会社。デザイン性の高さにも定評がある
*04 東京のWeb制作会社。マーケティングを強みとしている

枌谷力●僕は2010年に法人化したときから、今みたいなマーケティングを強みとするスタイルを目指してきました。自分が得意で、なおかつ他の人がやっていない領域をと考えたときに、「マーケティング×Web制作」が戦いやすいだろうということで。もちろん、マーケティングが好きだというのもありますし。でも、もともとはクリエイティブで見た人を楽しませたり驚かせたりしたいという欲求から始めた仕事なので、その方向でやられているGarden EightさんやSHIFTBRAINさんがすごく好きなんです。

野間寛貴●前の会社のLETTERSを立ち上げた2011年は、国内の賞は大手の代理店や老舗の制作会社で飽和している印象だったので、クリエイティブが公正に評価されそうで、しかも少人数のチームにも優しいところはないかなと思って、「Awwwards」や「CSS Design Awards*05 」などの海外の賞を狙ってみました。メンバーの頑張りのおかげで、この7年で多くの賞をいただけたのは、とても嬉しかったです。

*05 CSSサイトのデザインアワードを開催

─ 現在の会社の強みは、当時と変わってきましたか。

枌谷●いまは特にBtoB企業のマーケティングを強みとしてやっていますが、僕はずっと同じことをやっているという意識があります。みんながステージから逃げていくところに、一番最後まで残っていよう作戦です(笑)。

野間●大きくは変わっていません。ただ、年齢や経験を重ねたこともあってか、ブランディングや商品の企画・開発みたいなこともお願いできないかという相談は増えました。人数の兼ね合いもあり、あまりやっていないですが。Web制作については、表現力や技術力は上がってきていると思います。ただ、それを誇示するのではなく、あくまで用途のために活用するという姿勢は崩れてはないと思っていますが、どうでしょう?(笑)

ミナベ●当初は製品・サービス開発に力を入れましたが、今はグッドパッチ*06さんやタクラム*07さんのような会社も現れ、より組織開発に事業ドメインをズラしました。PL(損益計算書)・BL (貸借対照表)の事業計画からOKR指標(目標と主要な結果)、組織開発周りは勿論。UX観点の業務開発体制づくりも行っています。今はビズリーチ*08さんのデザイン経営推進を、組織アドバイザリーとしてハンズオンでお手伝いさせていただいてますね。

*06 UI / UXデザインを強みとしたデザイン会社
*07 デザインエンジニアなど各スキルに精通したメンバーが集うデザインファーム
*08 管理職や専門職などハイクラスに特化した転職サービスなどを展開する

─ まだWeb業界のスキルを活かせるポジションは空いているのでしょうか。

枌谷●Webの技術を使ってやれることっていっぱいあると思うんですよ。たとえばAR、VRとかはまだまだできる人が不足していますよね。同業者で潰れた会社ってあまり聞きませんし。Webの世界はリスクはあるけれど、まだまだ成長産業であるという気がしています。

ミナベ●空いているニッチポジションに行くのではなく、他社成功事例を踏襲しすぎるあまりに、席が埋まっている場所に集まりがちではあると思います。

野間●多分、これからは、何を強みにするかを選びきれた人が残っていくのかなという気はしますね。僕は人材業界の出身なので、最初はWeb業界がどういう状態なのかわからず、いろいろなチームにアポを取って会いに行きました。みなさんの強いところを聞きつつ「自分たちが得意としている、狙ってるところで大丈夫そう」みたいな感じで、ポジションを整えて。そのときの生存戦略でまだ続いているという感じです。みんな、もっと調べてみたら良いと思うんですよ。

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競合が少ないニッチポジションを狙うことで 自社の強みを 際立たせるようにしてきました。

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掲載号

Web Designing 2019年2月号

Web Designing 2019年2月号

2018年12月18日発売 本誌:1,530円(税込) / PDF版:1,200円(税込)

Web制作会社の動向でわかる!IT業界の2019年

サンプルデータはこちらから

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アンケートとインタビューで浮き彫りにする
Web制作業界の今とこれから

Web制作のリアル 2019

●この5年、Webの役割はどう変わった?
●どんな業務が増え、どんな仕事が減った?
●Web制作以外で広げたい業務は?
●会社として求める人材像は?
●強化したい知識やスキルは?

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デジタル全盛の今、加速度的にWeb制作の現場も変化しています。
ほんの5年前と比べてもスマホの普及やインフラの進化、さらにはAIなど技術的潮流の変化もさることながら、
それらに伴う消費者の行動変化は今までないスピードになっています。

そんな中、デジタルを駆使した課題解決のプロであるWeb制作会社/Web制作者は、
「サイト制作」だけを請け負う存在ではなくなりました。
ブランディングやプロジェクトの上流から参加するコンサルティング、アプリやビジネスツールの開発、
IoT、AI、はたまた採用やコーポレートアイデンティティの構築まで、その仕事の領域は大きく広がっています。

なぜそんなことが起きているのでしょうか。
Web制作という仕事にはそういった新しい領域の課題を解決し、次世代の要望を実現するスキルとノウハウがあるからです。
デジタルを中心とした現代のビジネスは、そんな「パートナー」を求めているのです。

では、そんなWeb制作会社やWeb制作者は何に力を入れ、これからどこへ向かおうとしているのでしょうか。
本特集では、独自アンケートとインタビューによる調査を実施し、Web制作会社の現在の経営戦略や現場の生の声を徹底収集。
過去5年間からの現場の変化を鑑みながら、Webを中心としたデジタル時代の今と近未来を考えてみようと思います。




■[第1部]Web制作白書2019・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Web制作という仕事が登場して20年強。この仕事の形は大きく変化を遂げてきました。
かつてデザインを中心としたその仕事は、今や単なる制作に留まらぬ、実に幅の広い仕事になっています。
Web制作に携わる人達が何を考え、どう働き、どこを目指しているのか。
その点をさまざまな角度から尋ね、その結果をグラフとコメントで構成しました。

Web制作とは今、どんな仕事なのか。そしてこれからどう変化していこうとしているのか。
その結果からは驚きの今と未来が見えてきます。



■[第2部]時代がWebクリエイターを求め始めている! Web制作の今とこれから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・「デザイン経営宣言」をWeb制作者観点から読み解く

[Chapter1]Web制作とクリエイティブの今・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・Web業界の変化と活路
 主に仕事の内容について、打ち上げ花火的なプロモーションの激減、クリエイティブという言葉が引き連れる意味の変遷など、
 Web制作が表現からクライアントの課題解決へと向かっている根拠を探ります。

・Web制作12社が考える「いま現場で必要とされる能力とは?」
 現場では、デザイナーであればデザインを、プログラマーであればコーディングを、という枠組みだけでなく、両者の知識やコミュニケーション能力など、職能が
 広がっている状況を把握します。

・デザインの力は企業になにをもたらすのか?_サイバーエジェント執行役員 佐藤洋介
 いまのWeb制作としての職能をどう育てるのかについて、対個人的、組織論的なアプローチで育成についてのヒントを解説します。
 同様に、個人がどのようにその能力を身につけることができるのか、日常の生活、毎日の仕事のなかでいかにアンテナを張り、知見をためていけるのでしょうか。

・Web制作会社進化論~広がる業務領域~


[Chapter2]制作会社が知っておきたい今ドキのクライアント事情・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
予算策定までのプロセス、要件定義の考え方、社内事情。制作会社に発注したい企業にも、「やりたくてもできない」理由があります。
現在の企業がWebビジネスを行う際、どのような課題や障壁があるのでしょうか。

・クライアントとの適切な関係をつくる「予算や見積もりの考え方」
・濃密で長期の関係を築く方法


など

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