WD Online

特集一覧 Web Designing 2019年2月号

「デザイン経営」宣言をWeb制作者観点で読み解こう Webクリエイターが時代を拓く!

2018年5月23日、経済産業省・特許庁は「産業競争力とデザインを考える研究会」とともに「デザイン経営」宣言を発表しました。この宣言を「Web制作者の立場でどう読み解くべきか」について、「産業競争力とデザインを考える研究会」のメンバーであり、Takram代表の田川欣哉さんに話をうかがいました。

「詳しくはないが興味はある」“デザイン経営”を知ってほしい

「デザイン経営」宣言の背景を語るには、2017年7月に遡ります。経済産業省・特許庁は、著名デザイナーやデザイン担当役員、知的財産担当、経営コンサルタント、学者で構成する「産業競争力とデザインを考える研究会」を立ち上げ、昨年から今年にかけて11回、研究会の議論を重ねます。それらをまとめた内容が「デザイン経営」宣言として、今年5月に公開。すべての議論に立ち会ってきた一人が田川欣哉さんです。

この宣言は経営者向けですが、国内の全企業向けでしょうか? 実行済みの経営者には至極真っ当な内容ですし、デザインから遠いビジネス領域の企業は逆に現実感が薄い内容でしょう。そこで、まずは宣言のターゲット設定について田川さんに解説していただきました。

「企業や組織の規模を横軸だと考えると、大まかに大企業、中小企業、ベンチャー/スタートアップに分けられます。縦軸をデザインへの理解度やリテラシーの有無だと考えてみます。関心があってかなり理解が習熟する層から関心が薄い層までを3段階に分けてみて、おおよそ中間にあたる層を意識して内容をまとめることにしました。例えば、デザインへの関心はあって、何かしらの対応をしたい意欲的な経営者が、でも何をしていいかわからない場合の“一歩目”のきっかけにつながる構成を目指したわけです」(田川さん、以下同)

da4ef24df2ab19b2ee5005ece2e1b6d2.jpg
「デザイン経営」宣言とは?
経済産業省・特許庁が、国内企業の経営者向けに、これからの時代に向けて経営に対するデザインの重要性を説く政策提言を発表。その中身は、「デザイン経営の役割」「産業とデザインの遷移」「デザインの投資効果」「「デザイン経営」の定義」などの切り口を用意。全文は、経済産業省・特許庁サイトで公開中だ
ec724cf790cfb6e13370de60bee581cc.jpg
「デザイン経営」宣言のターゲットイメージは?
企業や組織規模別を横軸に、デザインへのリテラシーや業務上の必要性を縦軸にして区分けした場合、この宣言は真ん中の層に該当する人たちを広くメインターゲットとしています

 

多くの企業が気にしていない? デザインへの関心を高めたい!

実現済みの企業には当然の内容を、なぜ経済産業省・特許庁が先頭に立って宣言する必要があるのでしょうか? 田川さんは、「一部を除く企業の多くが、まだまだ経営の中でデザインが考慮されていない現実がある」と指摘します。宣言内容の詳細は原本を参照してほしいですが、宣言には過去から現在までの産業構造をまとめた項目が設けられ、時代とともに主要産業の構成要素を確認できるようになっています。

「日本は1990年以前からメカトロニクス(ハードウェア+エレクトロニクス)領域、例えば自動車産業や電気産業などを中心に発展しながら、その強さを現代も引きずり、インターネット化する社会に対応できていない企業が大部分です」

グローバルのトップレイヤーは、明らかにデータやユーザー体験を意識したサービス化をしています。転じて、国内は対応せず遅れをとる企業があまりに多い。その現状を変えるきっかけの1つが、経営にデザインを検討すべきというこの「宣言」につながります。

「好む好まざるに関係なく、インターネット化への参入ができない企業には緩やかな衰退しか待っていません。企業が提供するサービスや商品とユーザーをダイレクトにつなぐ“つなぎ役”を担える“デザイン”の役割は大きいのです」

宣言では、デザインをビジネスで重視した場合のエビデンスや投資効果も示されています。グローバルで勝負したかったり、国内の競合メーカーがひしめく市場において、デザインを活かすことが有利な戦い方へと導くはずです。

とはいえ“デザイン”と“経営”は異なる種類の言葉と受け止められがち。そこで内容を実感しやすくするために上のベン図が用意されています。デザイン経営の効果を「ブランド」と「イノベーション」、2つのキーワードで表現しています。

「BtoBやBtoCに限らず、経営者のほとんどがイノベーションやブランドに興味があるはずです。2つの円の大きさや重なり方は、もちろん企業ごとの特性で変わって大丈夫です。デザインがこれら2つの力を引き出し、ユーザーのニーズを汲み取ったサービス化が可能ではないのか? という提案なのです」

 

b08c82b512f106a88843767e114c43f7.jpg
「デザイン経営」の効果とは?(1)
「デザイン経営」の効果は、宣言の中では赤(ブランド)と青(イノベーション)のベン図で示されています 出典:「デザイン経営」宣言 
31f8592260f14bbcad84beb1450bba1c.jpg
「デザイン経営」の効果とは?(2)
赤(ブランド)と青(イノベーション)の輪の大きさや重なり方は、事業ごとで上のようなバラツキが出る前提で描かれています

続きを読むためにはログインが必要です。
マイナビBOOKSの「WD Online全文購読サービス」(有料)をご利用ください。

マイナビBOOKSへの新規会員登録もこちらから。

定期購読者はオンライン版が読み放題 !!
雑誌『Web Designing』の定期講読者には、
WD Onlineの全文購読サービスを無料でご提供しています。
詳しくは「定期購読のご案内」をご覧ください。

掲載号

Web Designing 2019年2月号

Web Designing 2019年2月号

2018年12月18日発売 本誌:1,530円(税込) / PDF版:1,200円(税込)

Web制作会社の動向でわかる!IT業界の2019年

サンプルデータはこちらから

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

アンケートとインタビューで浮き彫りにする
Web制作業界の今とこれから

Web制作のリアル 2019

●この5年、Webの役割はどう変わった?
●どんな業務が増え、どんな仕事が減った?
●Web制作以外で広げたい業務は?
●会社として求める人材像は?
●強化したい知識やスキルは?

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

デジタル全盛の今、加速度的にWeb制作の現場も変化しています。
ほんの5年前と比べてもスマホの普及やインフラの進化、さらにはAIなど技術的潮流の変化もさることながら、
それらに伴う消費者の行動変化は今までないスピードになっています。

そんな中、デジタルを駆使した課題解決のプロであるWeb制作会社/Web制作者は、
「サイト制作」だけを請け負う存在ではなくなりました。
ブランディングやプロジェクトの上流から参加するコンサルティング、アプリやビジネスツールの開発、
IoT、AI、はたまた採用やコーポレートアイデンティティの構築まで、その仕事の領域は大きく広がっています。

なぜそんなことが起きているのでしょうか。
Web制作という仕事にはそういった新しい領域の課題を解決し、次世代の要望を実現するスキルとノウハウがあるからです。
デジタルを中心とした現代のビジネスは、そんな「パートナー」を求めているのです。

では、そんなWeb制作会社やWeb制作者は何に力を入れ、これからどこへ向かおうとしているのでしょうか。
本特集では、独自アンケートとインタビューによる調査を実施し、Web制作会社の現在の経営戦略や現場の生の声を徹底収集。
過去5年間からの現場の変化を鑑みながら、Webを中心としたデジタル時代の今と近未来を考えてみようと思います。




■[第1部]Web制作白書2019・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Web制作という仕事が登場して20年強。この仕事の形は大きく変化を遂げてきました。
かつてデザインを中心としたその仕事は、今や単なる制作に留まらぬ、実に幅の広い仕事になっています。
Web制作に携わる人達が何を考え、どう働き、どこを目指しているのか。
その点をさまざまな角度から尋ね、その結果をグラフとコメントで構成しました。

Web制作とは今、どんな仕事なのか。そしてこれからどう変化していこうとしているのか。
その結果からは驚きの今と未来が見えてきます。



■[第2部]時代がWebクリエイターを求め始めている! Web制作の今とこれから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・「デザイン経営宣言」をWeb制作者観点から読み解く

[Chapter1]Web制作とクリエイティブの今・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・Web業界の変化と活路
 主に仕事の内容について、打ち上げ花火的なプロモーションの激減、クリエイティブという言葉が引き連れる意味の変遷など、
 Web制作が表現からクライアントの課題解決へと向かっている根拠を探ります。

・Web制作12社が考える「いま現場で必要とされる能力とは?」
 現場では、デザイナーであればデザインを、プログラマーであればコーディングを、という枠組みだけでなく、両者の知識やコミュニケーション能力など、職能が
 広がっている状況を把握します。

・デザインの力は企業になにをもたらすのか?_サイバーエジェント執行役員 佐藤洋介
 いまのWeb制作としての職能をどう育てるのかについて、対個人的、組織論的なアプローチで育成についてのヒントを解説します。
 同様に、個人がどのようにその能力を身につけることができるのか、日常の生活、毎日の仕事のなかでいかにアンテナを張り、知見をためていけるのでしょうか。

・Web制作会社進化論~広がる業務領域~


[Chapter2]制作会社が知っておきたい今ドキのクライアント事情・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
予算策定までのプロセス、要件定義の考え方、社内事情。制作会社に発注したい企業にも、「やりたくてもできない」理由があります。
現在の企業がWebビジネスを行う際、どのような課題や障壁があるのでしょうか。

・クライアントとの適切な関係をつくる「予算や見積もりの考え方」
・濃密で長期の関係を築く方法


など

この記事を見た人はこんな記事も見ています