私とWebと、つくること 事例詳細|つなweB

はじめまして。今号からコラムを担当することになりました松原佳代です。初回テーマが「Web制作」と、これまたド真ん中なのが来たなぁと。というのも私のキャリアとWeb制作は切っても切れない関係なので、自己紹介を交じえながらいまの「Web制作」について考えてみたいと思います。

私とWeb制作との出会いは、2002年。いわゆる黎明期でした。コーポレートサイト制作が制作会社の仕事の多くを占めていた時代に、新卒入社した会社で「コーポレートサイト制作のプロジェクトリーダーね!」とご指名を受けました。ただ「若い子が入ってきた、Webだ!」と、それだけのことだったのでしょう。当時の私はDNSもHTMLもわからぬ素人です。駅の書店で『Web Designing』を購入し(本当の話!)、「制作会社リスト」の「あ行」から順に制作会社を探す、これまた王道パターンから辿りついたのが「面白法人カヤック」。私のWeb制作の旅は、ここからスタートしました。

当時のWebサイトは紙をWWWにあげた、カタログみたいなものでした。ライティングと編集とデザインがものを言う時代だったように思います。カヤック(正確には受託部門のCUPPYという子会社)のFlashでぴょこぴょこ動くサイトが面白かった、それがこの会社に目を留めた理由の一つです。

その3年後にカヤックに入社し、以後10年にわたってWeb周辺のPRとブランディングに従事することになります。Webならではの双方向性、技術を伴う表現に魅入られた私は、Web事業のPRに没頭。“ロングテール”という特性を活かしたWebらしいマッチング、新しい技術やデバイスの登場で次々に事業を生み出せる環境が気に入り、気づけば自らもWebを活用した事業のつくり手になっていきました。

さて、この約20年の間にWeb制作の何が変わったか。

Webという言葉の価値がどんどん薄れていった(20代の子はWebという言葉を使わないんじゃないかな)。そしてWeb制作という言葉が使われる機会が失われていった。つまり、Webは特別なプラットフォームでも表現でもなくなった。何かを実現しようとするための「手段」と「場」となり、つくることは目的にはならず、その結果、何を実現したいかに焦点が移動したように思うのです。ユーザーエクスペリエンスを高めたい、経営をデジタルシフトしたいといった具合に。

それに伴い、Webを“つくること”に関わるメンバーの職域も越境するようになり、より面白く、拡張性あるキャリアにもなっているように思うのです。かくいう私も、いまは自分で立ち上げたPRの会社を経営しながら、暮らしの領域の事業会社「カヤックLiving」の代表を兼任しています。

Webとつくること。このふたつは、いまその仕事に関わっていない人にとっても、まだまだキャリアを広げていく手掛かりとなるんじゃないかな。そう思う今日この頃です。

Webへの登竜門となった『Web Designing』(これは第1号です!)。この1冊との出会いが、私のキャリアを変えたと言っても過言ではありません(笑)。Google Pixel 3の写真機能がすごいと夫が自慢するので、(これまた、よくできているという噂の)セルフィー機能を使ってみました! テクノロジーすごい!
ナビゲーター:松原佳代
2005年に(株)面白法人カヤック入社。広報および企業ブランディングを担当する。2015年に独立し、株式会社ハモニアを設立。スタートアップの広報戦略、広報人材育成をおこなう。2017年7月より、(株)カヤックLivingの代表取締役を兼任。暮らし、住宅、移住をテーマとする事業を展開する。カヤックLiving/ Twitter @kayom
松原佳代
※Web Designing 2019年2月号(2018年12月18日発売)掲載記事を転載

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