第10回 台湾ロスの解消法|くらしの本棚

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第10回 台湾ロスの解消法

こんにちは。衣食住、暮らしに関するエッセイを書いている柳沢小実です。ご存知の方も、はじめましての方もよろしくお願いします。

これまで、普段は家でこもって原稿を書いたり、撮影をしたりと、家にいる時間が圧倒的に長かった私。それが、昨年出た書籍『わたしのすきな台北案内』の取材で、一年のうち2か月も海外で生活したことから、暮らし方や考え方、人とのかかわり方が大きく変わりつつあります。

人生80年だとすると、40才はちょうど折り返し地点。ゆるやかにやってくる身体の変化や取り巻く環境など、ままならないことも増えてきますが、その代わりに、大切な人たちのおかげで今の自分がいると感謝したくなるような出来事に、日々遭遇しています。

そんな私の、「半径100m日記」、ゆるゆるとしたお喋りにお付き合いいただけると嬉しいです。

旅に出たいけれど、いつでも行けるわけではありません。
旅ロスの方も多いと思います。

私の場合は台湾ロス。2月に香港、3~4月に台湾へ行ってきたというのに、もうずっと台湾のことばかり考えてすごしています。
台湾の空気だけでも吸いにいきたい……と、ピーチ航空の平日限定0泊弾丸往復チケット(羽田―台北・桃園 往復で7000円)も探しましたが、キャンペーン期間中のチケットはすでに完売。考えることはみな同じですね。

台湾ロスは、持ち帰ってきた食材が尽きる頃に最高潮に達する気がします。
そこで、せめて食べものだけでもと、横浜中華街と新大久保の中華食材店へ駆け込みました。

横浜中華街には、20年近く通っている台湾料理の店「秀味園」があります。ここのルーロー飯は、いつも少しずつ味が違って、そんなゆるさもまた愛おしい。持ち帰りもできるので、お土産にすることが多いです。500円という衝撃価格は、店構えが綺麗になってもずっと変わりません。

肉まんや中華菓子を買うならば、メインストリートよりも、秀味園のある通りのほうが良心的で美味しいのでここのあたりで買っています。
おすすめは、「紅棉」の蛋達(エッグタルト)と、椰子達(ココナッツ焼き菓子)。あたためなおして食べるとさらに美味です。
東林」の揚げ団子もお忘れなく。ここはレストランですが、揚げ団子だけ買うこともできます。お店の人に注文して、しばし外で待ちます。持ち帰ってもいいですが、できれば揚げたてをすぐに食べたい。中にピーナッツが入っていて、上にほんのりピンクのお砂糖がかかっているのも珍しいですよね。

新大久保の「華僑服務社」は、中国人の料理の先生に教えていただいた中華食材店です。地下一階から地上三階まで赤と漢字のパッケージがぎっしりと詰まっているのを見て、嬉しさのあまり泣きそうになりました。買物に行ったときはちょうどライチの時期で、ぷりっぷりの生ライチが売られていました。
ここでは肉包子(肉まん)と魚丸(魚のすり身団子、中に肉餡入り)、お菓子を購入。一緒に行った方は豆腐干糸や香腸などを買っていました。これらを美味しく食べていたら、だいぶ台湾ロスも落ち着きましたよ。美味しいもの好きな方も、ぜひ行ってみてくださいね。

プロフィール

柳沢小実(著者)
1975年、東京都生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。エッセイスト。『大人の旅じたく』、『わたしのすきな台北案内』(ともにマイナビ出版)、『大人のひとり暮らし』『気持ちのいい暮らしの必需品』(大和書房)、『日々のごはんとはたらくキッチン』(KADOKAWA)、『シンプルな暮らしの設計図』(講談社)など、暮らしにまつわる著書多数。確かなもの選びに定評があり、フェリシモで商品開発を手がける。http://www.furarifurari.com/