越境ECでは誰がどんな物を欲しているのか? 事例詳細|つなweB

越境ECでは誰が買っているのか

どういう人が越境ECを利用しているかというと、主に三つに分類できます。一つは、海外在住の日本人です。現地では手に入らない和食食材などのニーズが高いです。二つ目は、日本の商品が好きな外国人の方で、たとえばアニメグッズなど日本ならではのもののニーズがあります。また、日本に観光で行って買ったものを気に入り、帰国後に越境ECでリピート購入するという場合もあります。そして三つ目は、日本製品を現地で販売するために仕入れるバイヤーです。バイヤーがお得意様になると、心強いです。値切り交渉をされることもありますが、一回あたりの取引額が大きくきちんと前払いしてくれ、リピート率が高いのでメリットが大きいです。特に中国は偽物を掴まされたくないという思いから、信用しているバイヤーから買うという文化があります。「淘宝(タオバオ)」や「T-mall(天猫)」などの中国でメジャーなモールは最近は新規出店をあまり受け入れておらず、大手メーカーでない場合難しいです。自社とマッチするバイヤーと懇意にし、徐々に取引量を増やし一般貿易化していくというのが、良い方法でしょう。

 

売れ筋がわかったらローカライズとマーケティングを

ECサイトの手応えは、ときに意外なものかもしれません。たとえば日本製の車のエンジンオイルが「寒くても暑くても固くならないから」と人気が高くなるなど、売ってみるまで掴めないものです。

中国や中東は砂埃が多く車が汚れやすいので、日本製のカーシャンプーもクオリティが高いと人気です。こうした地域の富裕層は毎日のように洗車をするそうです。最初はカーシャンプーとスポンジを主力商品として販売していたメーカーは、洗車場をフランチャイズ展開し、現地の人に洗車の仕方を教えました。これが好評で、現在はフランチャイズの洗車場が世界中にあります。ニーズがわかると、こうした次なる展開の仕方も見えてくるのです。

また、ECサイトを運用していくうちに、ニーズはどんどん変化していきます。たとえば子供服を販売する「e-子供服ノン」では、最初はミキハウスなどの国内子供服ブランドのウェアが主力商品でした。しかし現在では、ニューバランスやナイキ、朝日シューズ等の子供用シューズが販売の6割を占めるようになりました。最初の手応えだけでなく、他にどんな商品が売れるのかも試していくと良いでしょう。

注力するポイントが絞れたら、ローカライズやマーケティングも行なっていきます。中国では日本の化粧品も人気が高いですが、パッケージなどのデザインに関する好みがかなり違ってきます。赤や金、銀をあしらったものが人気で、黒は不人気だそうです。国内の化粧品パッケージのデザインとは大きく違いますね。そのため、中国好みのデザインを本国から指定し、それを国内で製品化して中国に販売しているメーカーもあります。

マーケティングは、シンガポールや香港、タイなどはFacebookやGoogleが使われているので、検索対策をしたリスティング広告を出稿したりFacebook広告を出稿したりと、国内同様の手法が考えられます。しかし中国やベトナムは自国のサービスを使う傾向があるので、ローカライズした広告手段が必要になります。

 

成功のための必須アクション必ず現地に赴こう

成功しているショップが必ずやっているのは、現地に行くことです。商品がウケる国がわかったら必ず行ってみるようにしましょう。現地の物価、スーパーや雑貨店でどんなものが販売されているかを見るだけでも、様子が掴めるものです。そしてきちんと現地の生の声を聞いてきましょう。生の情報は本当に強いのです。中国のような大きな国では、北京、上海、深センなどのエリアごとにも特性が違ってきます。

また中国では、越境EC協会もあります。政府として公に越境ECを伸ばそうということを決め、非常にいい傾向にあるのです。こちらは国の機関なので無償で相談にのってくれ、ビジネスマッチングの会も無料で開いてもらえます。

平田順子
※Web Designing 2018年12月号(2018年10月18日発売)掲載記事を転載

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