中小企業が海外顧客と繋がるメソッドとは? 事例詳細|つなweB

インバウンドは大事な海外顧客との接点

これから海外に向けて物を売るというときに最初に取り組むとよいのは、インバウンドの外国人観光客に買ってもらえるようにすることです。前述のように国内できちんとマーケティングを行い人気を得る必要はあります。それをクリアしているならば、外国人観光客がたくさん買い物に来るショップに置いてもらったり、観光バスのルートに入れてもらってバスガイドさんにプッシュしてもらうというような施策を行っていけばよいでしょう。旅行者は、外国文化に触れることを楽しみに来ているものなので、アウトバウンドと違い特別なローカライズをしなくても大丈夫です。

また自店舗で販売する場合は、その地域によって主な観光客の国籍が違ってくるので、土地にあった言語対応などをしておくとさらによいでしょう。自治体でそうしたサポートをしてくれることも多いので、県や市などに相談するのも手です。

 

商品に越境ECへと誘導する仕掛けを

来日時のお土産として一度買ってもらっただけでは、海外顧客との接点はそれきりになってしまいます。買われる商品に越境ECへと誘導するQRコードを用意しておくことで、買ってくれた人のうちファンになってくれた人が帰国後にまた欲しいと思い、リピート購入してくれることに繋がります。来日した当人でなくとも、お土産でもらった友達が商品を気に入り、越境ECで買ってくれることもあるかもしれません。商品だけでなく、QRコードのついたサンプル品を配布すると、より帰国後のお土産で配られる機会も増えることになるでしょう。実際に、越境ECサイトでインバウンド客がリピート購入するという話はよくあります。

その際に利用するECサイトは、「Rakuten Global Market」など、手軽にスタートすることができるサービスがよいでしょう。

 

点を線に繋げるための施策を行う

観光客が滞在しているのは一時的な期間です。たとえ商品を気に入ってもらえたとしても、1度くらいは越境ECで買うことがあるかもしれませんが、何のきっかけもなければ自国で暮らしている間にその商品を想起することもなくなってしまいます。せっかくファンになってもらった人を逃がさないように、海外へ向けてもSNSで情報発信をしたり、メールマガジンを発行するなど、何かしらのアプローチを続け、繰り返し買ってもらえるように努めましょう。

そうやってコツコツと施策を行い、人気が出てきたら出店料や手数料は高いけれど大勢が利用しているモールサイトへ出店したり、輸入品を扱うECサイトや実店舗に卸したりと少しずつ予算をかけて広げていけばよいのです。可能であれば現地の人の声を集めて商品やマーケティングの改善をしていくのもよいでしょう。

インバウンド・アウトバウンド施策において、何か特別なノウハウを行えばバカ売れするというようなものはありません。国内同様に、適切なマーケティングやブランディングを地道に行なった先に成果が出てきます。

平田順子
※Web Designing 2018年12月号(2018年10月18日発売)掲載記事を転載

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