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知的財産権にまつわるエトセトラ Web Designing 2018年12月号

法改正でどうなる? 画家・藤田嗣治の著作権 ~青山ではたらく弁護士に聞く「法律」のこと~

身の回りに溢れる写真や映像、さまざまなネット上の記事‥‥そういった情報をSNSを通じて誰もが発信したりできるようになりました。これらを使ったWebサービスが数多く誕生しています。私達はプロジェクトの著作権を守らなくてはいけないだけでなく、他社の著作物を利用する側でもあります。そういった知的財産権に関する知っておくべき知識を取り上げ、毎回わかりやすく解説していくコラムです。

米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国による「TPP11」の関連法案が成立しました。6カ国以上が国内の手続きを終えると、60日後に発効します。日本はすでに必要な手続きを終えていますから、今は発効までカウントダウンの状態です。

このTPP関連法案には、著作権の保護期間を50年から70年に延長するという重大な法改正が盛り込まれています。実は、映画については、2003年の法改正により保護期間が50年から70年に延長されました。今回は、この法改正を巡る面白い裁判について紹介します。

著作権の保護期間は、著作者の死亡や作品の公表などの起算日の翌年の1月1日から起算することになっています。今年話題となった映画『カメラを止めるな!』の著作権は、公表の翌年である2019年1月1日から起算して70年後の2089年12月31日に終了するわけです。映画の著作権の保護期間を50年から70年に延長した2003年改正法は、2004年1月1日に施行されました。ここで問題となったのが、1953年に公開され、改正前の法律に基づくと50年後の2003年12月31日で保護期間が終わる映画の著作権が、2004年1月1日に施行される改正法により70年、つまり2023年12月31日まで延長されるのかどうかです。これを「1953年問題」といいます。

1953年に公開された映画には『シェーン』や『ローマの休日』など有名な作品があります。2004年以降、著作権が切れたものとしてこれらの映画のDVD等を安い値段で発売していた業者に対し、映画会社が著作権侵害だとして裁判を起こしたことから1953年問題が注目されました。文化庁は、1953年に公開された映画も延長の対象になると考えていました。12月31日の24時と1月1日の0時は同じ時間だから、延長されるというわけです。しかし、最高裁は、 保護期間は満了したとして、映画会社の訴えを退ける判決を出しました。12月31日と1月1日はあくまで別の日だという理解です。

さて、今回のTPP関連法案で保護期間が延長されるのは公表日ではなく、著作者の死亡日を基準に算定する映画以外の著作物です。法律の施行日が1月1日になるかそれ以前になるかで保護期間が変わるのは、今から50年前の1968年に亡くなった人の作品です。有名なのは1月29日に亡くなった画家の藤田嗣治です。今年の12月31日に現行法の保護期間である死後50年を迎えます。今年中に法改正が行われて70年に延長されると2038年12月31日までとなります。さて、藤田嗣治の作品の著作権はどうなるか? 読者のみなさんも法律の施行日に注目してみてください。

※ 海外作品については、約10年の保護期間の延長(戦時加算)があるので注意。なお、藤田嗣治氏がフランス国籍を取得したのは戦後(1955年)のため、対象外となる。

2003年の法改正によって起きた「1953問題」(上)。今回も1968年に亡くなった著作者の作品に同じような問題が起きるかもしれない(下)
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Text:桑野雄一郎
1991年早稲田大学法学部卒業、1993年弁護士登録、2018年高樹町法律事務所設立。著書に『出版・マンガビジネスの著作権(第2版)』(一般社団法人著作権情報センター 刊 2018年)など http://www.takagicho.com/

掲載号

Web Designing 2018年12月号

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2018年10月18日発売 本誌:1,530円(税込) / PDF版:1,200円(税込)

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2017年、訪日外国人の数は2869万人にのぼり、毎年400万人のペースで伸びてきているといいます。政府は、2020年に4000万人に乗せるという計画を公表しており、今後ますます国をあげて「訪日外国人増大」の波は確実に大きくなっていきます。

日本国内に向けた商品展開や売上に行き詰まりを感じている企業をはじめ、当然この「訪日顧客」の存在を無視する手はありません。さらに言えば、インターネットにより訪日外国人だけでなく世界中の人々に自社の商品・サービスの情報を届けることができる時代に、国内だけを見て一喜一憂していていいのでしょうか?

…とはいえ、

じゃあ何をすればいいのよ?
日本との文化の違いは大きな壁じゃないの?
どこの国を狙えばいいかわからない
売りたい商材、狙う国によってウケるアプローチは違うよね?

などとおっしゃる方も多いでしょう。そこで、海外を相手に「売り込む」「呼び込む」「買ってもらう」3つのアプローチを軸に、海外マーケティング戦略の基礎から1年で実現できる具体的な手法・考え方を、はじめの一歩から教えます。


[第1部]
■海外進出のために考えるべきことと準備すること
 ●売るのは「モノ」から「コト」へ
 ●海外の人に向けて、自社商品は何がウリなのか
 ●海外顧客に対応するためのWebでの受け入れ対策

■[Webで海外を相手にするアプローチ①]海外進出(アウトバウンド)
 海外に売り込む
  海外で取り扱ってもらうにはまず何をすればいい?
  ルールや法律はどちらの国のものが適用される?
 
■[Webで海外を相手にするアプローチ②]インバウンド
 ●日本向けと海外向けでコンテンツマーケティングの考え方は違うのか
 

■[Webで海外を相手にするアプローチ③]越境EC
 ●海外から自社ECショップへの集客術
 ●関税・免税はどう対処すればいい?


など

[第2部]

■世界地域別:進出とらの巻
第1部「海外を相手にする3つのアプローチ」を、自社ではどの国に仕掛ければいいでしょうか?
市場、文化、国民性、言語、法律、税制などアジア、ヨーロッパ、アメリカ、その他。地域独特の課題とクリアするヒントを解説します。

●自社の商品はどの国が狙い目?
 ターゲットにする国の選定基準

●各地域別攻略のヒント
 中国、東南アジア、アメリカなど


[第3部]

■言葉の壁をのりこえろ!

・ただの自動翻訳では客は集まらない!
・翻訳サービスの実際:作業期間・費用感
・サイトの海外対応で必ずぶつかる諸問題をできるだけ低予算で解決する
・テキストを使わないアプローチ



[第4部]

■海外戦略は決済対応が基本!

・地域別決済システムの有利不利・そのキメテ
・各国の決済事情への対応方法
・海外との決済関連の注意点
・低コストで導入できるサービス

など

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