クラウドAIの選定基準を考えるー自社向きAIの正しい選び方 事例詳細|つなweB

得手、不得手を理解できると自社向きのAIが見えてくる

上に挙げた各AIは「クラウドAI」と呼ばれます。例えば、自分たちの環境で直接AIを開発したい場合、利用するのが「AIとして学習できるライブラリ」です。これをより使いやすくサービス化したものがクラウドAIです。APIに任意のデータを渡せば、画像の判定や人の質問内容を分類してくれるものです。

クラウドAIを選ぶ上で難しいのは、性能の差がつきにくいものと、つきやすいものがあることです。数値予測系だと、基本的にアルゴリズムがどれも一緒なので、性能に大差は出づらい一方で、言語系(人の質問を理解する)や画像系だと、性能差がつきやすく、使いやすさに関わります。画像認識を例にすると、「熊本城」の写真に対してIBM Watson(ワトソン)は「城」と判定するのに、Googleだと「熊本城」と返してきます(2018年7月時点)。なぜなら、Googleは世界中のWebから熊本城とタグづけされた写真データをクロールして保有、学習しているからです。

では、「熊本城」と判定できた方を選ぶべきなのか? いくら優秀なAIでも、一流のエンジニアでないと使いこなせないなら、事業や業務への利用は難しいでしょう。自社で使えるかどうかも重要な基準なのです。その意味では、エンタープライズ向けのビジネスを昔から行うIBMとMicrosoftは有利で、管理画面のUIはじめ、企業の中で使いやすいサービス、機能に仕上がっています。テクノロジー寄りの文化が強いGoogleやAmazonはエンジニアだと使いやすい一方で、非エンジニアには骨が折れそうです。

4つのクラウドAIの概要は、次にまとめました。上の図とともに参照してもらえると、自社の状況にかなったAIが選びやすくなるでしょう。

 

Text:西原中也
20数年続くWeb制作の老舗会社、株式会社アイアクトにて2016年3月より人工知能事業を担当。AI導入のコンサルティングなどを務める。
西原中也
※Web Designing 2018年10月号(2018年8月18日)掲載記事を転載

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