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特集一覧 Web Designing 2018年10月号

国内のAI事情を把握する データでAIを読み解く

国内でのAI の捉え方は? 他社のAI への考え方は?さまざまなAI 関連の調査データを参照しながら、AIを巡る状況を紐解いていこう。著者は連載「データのミカタ」の萩原雅之さんだ。

AIの導入、活用状況

企業のAI活用はどの程度進んでいるのか?

日本企業の新技術活用に関する信頼性の高い調査に、野村総研が2003年から毎年実施する「ユーザー企業のIT活用実態調査」がある。AIなどの20以上の新技術について大企業の導入状況を聞いたものだ。最新結果では「AI・機械学習」の導入企業は8.9%、検討中が17.8%、検討意向が40.2%。他の新技術と比べて低い導入率ながら検討企業の比率は高い。

企業のAI導入には、業務効率化で生産性を向上させる社内向けの「プロセス・イノベーション」と、商品・サービスに組み込み価値向上を目指す顧客向けの「プロダクト・イノベーション」の2つの領域がある。企業戦略にはどちらも重要だが、同調査によれば人手不足対応や経費削減への期待は高いものの、AIを組み込んだ商品、サービス開発への取り組みはまだまだのようだ。

また7月発表の総務省「平成30年版情報通信白書」の国際比較調査でも、日本企業はプロダクトへの導入予定企業が少なく、2020年以降の他国への遅れの懸念が指摘された。デジタルビジネスでも自動化だけでなく顧客価値の向上につなげる観点が必要だ。

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国内売上高上位企業のCIO(最高情報責任者)を対象とした郵送によるアンケート調査。回答企業は507社、2017年11月実施。 出典:野村総合研究所「ユーザー企業のIT 活用実態調査」(2018年5月発表) https://www.nri.com/jp/event/mediaforum/2018/pdf/forum264_2.pdf

 

クラウドの普及によるAIの民主化

では企業がAIを「導入」するとは、具体的にどういうことか? 調査回答ではAIの導入企業が1割にも満たないが、間接的にはすでにAI技術の恩恵を受けているともいえる。日本企業でもクラウドサービスの利用が増えているからだ。かつては自社データをインターネットの「向こう側」に置くことは、主にセキュリティ面を危惧して抵抗感を持つ企業が多かった。近年では自社に置くよりも安全、との認識が高まり、総務省の「情報通信利用動向調査」によれば、全社的にクラウドサービスを利用する企業は29.4%、一部の事業所や部門で利用する27.5%をあわせると過半数を超える。

日本企業では、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud、IBM Cloudなどが使われているが、これらの企業は最先端のAI技術を惜しげもなく自社のクラウドに実装しつつある。そこが競争優位の源泉だからだ。ユーザーが増えて多様なデータが集まれば、ディープラーニングによってますます精度や使い勝手が高まる。

人物や商品などの画像認識、音声認識、チャットボットによる自動応答、複雑な予測モデルの自動作成、高度なデータ可視化などもクラウドを通して行われる。非常に高度な技術を安く利用できるため、このような状況は「AIの民主化」と呼ばれる。クラウド分析を手がけるテラ・データ社がグローバル企業700社を対象に行った調査では、83%の企業が分析の実行にはパブリッククラウドが最適と考え、ディープラーニングの実装が強く望まれている。

こうしたクラウドAIは、不動産や転職などのマッチングサービスなど、Webやアプリ開発で使えるため、アイデア次第で顧客に大きな価値となるはずだ。

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総務省が毎年実施する、インターネットやICTサービスの普及状況に関する郵送調査。世帯編と企業編があり、企業編は2017年11~12月に実施、2,592社が回答。 出典:総務省「平成29年通信利用動向調査」(2018年5月発表) http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/180525_1.pdf
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掲載号

Web Designing 2018年10月号

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さらに、Webビジネスと親和性が高いと言われるチャットボット、今後ビジネス活用が期待される音声AIについて、
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●未来ではない”いま”のAI 
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10月号特集内のP058におきまして、AI Startup Studio by LedgeのURLを誤って記載しておりました。以下に訂正するとともに、読者のみなさまならびに関係者のみなさまに深くお詫び申し上げます。

AI Startup Studio by Ledge
https://www.ai-startupstudio.ai/

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