今号のテーマが、AIをビジネスに導入する考え方や方法ということで、ローソン社でAIを導入して行っていることをいろいろと洗い出してみました。たとえば「出店予測」や「受発注」といった社内システムだけでなく、「LINEのチャットボット」などお客様との接点や、公表してはいないものの、既にその他多くの部門でも利用、あるいは利用の検討をしています。
私の担当している分野に限れば、「AIチャットボット」と「音声AI」があげられます。AIチャットボットはローソンのLINEで導入していますが、以前にご紹介しているので、今回は音声AIについて取り上げようと思います。
2018年4月にAmazonアレクサのスキル「ローソンラジオ」をストアでリリースしました。このスキルは、ローソンの店舗だけで流れる店内放送の一部をAIスピーカー「Amazon Echo」から聞けるというもので、一日に数千人のユーザーが利用してくれています。実はコンビニエンスストアでは、新商品が火曜日に発売されることが多いため、店内放送も火曜日に更新されるものが多いのです。そのため、スキルのコンテンツも毎週差し替えており、この作業はプロモーション部の遠藤君が必死に頑張ってくれています。
スキルでは、特別に声優さんのボイスの許可をとって流しており、先日は敬愛する大塚明夫さんと田中敦子さんのボイスや、バーチャルYouTuber、キズナアイちゃんのボイスで放送したところ、かなり好評でした。店内放送が聞けるだけでなく、他にも、利用回数に応じてあきこちゃんが話す内容を変化させたり、スピーカー起動時に占いをしてくれる機能もついています。
ちなみに、スキルで使われている音声は、東芝デジタルソリューションズ様の合成音声ソフトで自動的に組み合わせた声によって会話を行っています。このソフトは、もともとカーナビ用に開発された技術を応用しているそうですが、昨今の音声AIの登場にともなって、これまでにない新たなニーズが増えているとのことでした。
思えば音声AI導入時のこと。「音声AIのUI」という意味がイマイチ理解できず、エンジニアのメンバーたちの話す言葉がさっぱりわかりませんでした。けれども、スキルのローンチを経験したことで「他でもこういった応用ができるかな?」と思うほどに、多くの学びがありました。当初は「直接的にお客様への販促ツールにはならないかな」と感じていたのですが、決してそんなことはなく、敬遠しなくてよかったと思います。
先日のLINEカンファレンスでも発表しましたが、今号が本屋さんに並ぶ頃には、LINEのAIスピーカー「LINE Clova」のスキルもローンチされていると思います。LINEならではの機能も加えたスキルになっていますので、LINE Clovaをお持ちの方はぜひお試しください。