AIが変える採用のかたち。企業と応募者のマッチング強化 事例詳細|つなweB

AI活用で時間短縮

選考の時間短縮や効率化、コストダウンなど多様な人材を発見するためのツールとして注目を集めているのが、AI活用と動画面接です。AIエンジンを搭載した採用管理システムを多くの企業に提供している株式会社ヒューマネージの山口真貴子さんは、そのメリットを次のように説明します。

「採用活動はよくマーケティングに例えられ、事実、マーケティングの手法が数年遅れて導入されるのが常となっています。マス・マーケティングから、One to Oneマーケティングと進化するなかで、人材採用でもAIを使って入社へ導くのは非常に理にかなっています」

例えば同社が提供しているAIを搭載した採用管理システム「i-web AI」では、基本情報や、マイページへのアクセス状況、セミナーへの参加状況、エントリーシート、適性検査などのデータから、応募者と企業とのマッチング度・志望度を予測してマッピング。分析結果を用いることで、以下の3つが実現できると山口さんは言います。

(1)求める人材へきめ細かく働きかけ、志望度を向上させる。
(2)人が行っていた選考基準を科学的に可視化し、精緻化する。
(3)効果的な働きかけによる、選考辞退率の改善を図る。

HR総研の松岡さんもAIの活用による効果を指摘します。

「エントリーシートを、いわゆる学歴フィルタで絞ることも多いのですが、AIではそういった一律的なフィルタリングではなく、多角的に判断することが可能になります。使っていくことで精度も上がっていきますから、AIの活用は今後、増えるでしょう」

AI活用で欲しい人材に効率的にアプローチ
ヒューマネージが提供するAIエンジン搭載型採用支援システム「i-web AI」のマッピング画面。ビッグデータから、企業とのマッチング度・志望度を予測。エントリーシートなどの合否判定時だけでなく、個人情報登録をした早いタイミングから、効果的な働きかけを実現できる

 

動画面接で地方人材を発掘

選考過程の効率化と新しい人材との接点を増やすため、AIの活用と同様に増えているのが「動画面接」。現在、多く使用されているのは、企業側が設定した質問に対して、求職者がスマホで録画して回答。後日、企業側の人間がチェックする形式です。

「動画面接は新卒、キャリア関係なく増えていますが、これはいままでできなかった地方人材の掘り起こしが最大の目的。地方在住の求職者にとっては時間とお金の負担が減り、企業側も動画なら複数のメンバーがチェックできるため、採用基準が統一しやすいというメリットがあります」(松岡さん)

一方でデメリットもあります。動画面接は、地方在住者には面接に要する負担が少なくなりますが、なかには1時間近い動画を求められるものもあり、都市部の求職者には面接よりも負担が大きいものもあります。また、企業側も自社をPRする機会の減少につながります。

「面接は、企業が人材を判断する場であると同時に、求職者の応募意欲を高める場でもあります。動画面接では会社のPRが欠落するので、それをどうフォローするかが問題になってきます」(松岡さん)

採用活動で成果をあげるには「データに基づいた判断が不可欠」(山口さん)な今。ITを用いた採用活動をとりいれて、欲しい人材に効率的にアプローチしていきましょう。

地方人材を掘り起こす動画面接
現在、多く活用されている動画面接サービスは、企業側が設定した質問に対して、求職者がスマホで回答しながら録画する形式が一般的。リアルの面接よりも時間を長く設定するケースが多いため、より本人の個性や魅力が伝わりやすいメリットがある
ヒューマネージ 
10年連続シェア第1位の採用管理システムや、RPO(採用アウトソーシング)サービスを中心とした採用ソリューションのほか、適性検査やEAPをワンストップで提供する
教えてくれたのは…(1)
山口 真貴子
株式会社ヒューマネージ 執行役員 『HUMANAGE REPORT』 編集長
教えてくれたのは…(2)
松岡 仁
ProFuture株式会社 HRサポート部 部長 HR総研 首席研究員
奥田高大
※Web Designing 2018年8月号(2018年6月18日)掲載記事を転載

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