2018.07.10
[3-1]自社とのマッチングは候補者の意向から判断しよう Part.3 入社してもらう
多くの場合、採用活動の一次審査となる書類選考。しかし、学歴、職歴、資格といったスペック的な情報のみで、自社にマッチした候補者を見分けることは困難です。では、どんな情報から判断していくとよいのでしょうか。
エントリー件数は多ければ多いほどよい?
書類選考の話の前に、まずはエントリー件数についてどう捉えるべきかを考えていきましょう。従来の採用活動では、「母集団形成」の観点から、エントリー件数は多ければ多いほどよいとされてきました。これは、エントリー件数が多い方がそこに含まれる優秀な人材の数も多いという考え方です。たとえば企業が10人採用したいとして、エントリー件数が100人の場合よりも、1万人の場合の方が最終的に内定する10人は優秀な人材であると考えられてきたわけです。
しかし、現在の採用活動においては、極論をいえば、企業のペルソナにマッチした10人だけのエントリーがあればよいという考え方がトレンドになっています。エントリー件数が多すぎることは、採用活動においてデメリットにもなります。採用コストには、主に「媒体費やWeb制作費などの見えやすい費用」と「人事や採用に関わる人の時間などの見えにくいコスト」の二つがあります。現在の採用活動では、後者にコストをかけ、候補者と採用者のコミュニケーションに力を入れることの方が投資効果として効率的であり、うまくいく方法だと考えられています。前者にばかり力を入れて、ペルソナにマッチした候補者の割合が少ないとそこに至るまでの工数がとられてしまい、本来力を入れるべき採用マーケティングに時間を割けなくなってしまいかねません。
Part.2で行なってきた、SNSや自社作成コンテンツを通しての情報発信や候補者とのコミュニケーションがうまくいっていれば、その時点で企業のペルソナとマッチした候補者へのターゲティングが行われ、候補者自身も「この企業の社内風土と合いそうだ」「この企業の業務は自分がやりたいことと違うかもしれない」ということが判断でき、エントリーする候補者はかなりセグメントされているはずです。企業のペルソナとマッチする可能性が高い層に絞られた候補者だけがエントリーしてきて、彼らに対して採用者が丁寧にコミュニケーションをとっていけることが理想的な状況だといえるのです(01)。

従来の採用活動では、エントリー件数は多ければ多いほどよいと考えられてきましたが、現在の採用では、企業のペルソナに合う候補者にセグメントした層に絞られる方が望ましいです
書類選考で企業が知るべき情報
書類選考に用いられる一般的な履歴書や職務経歴書には、学歴や資格、職歴などが書かれていますが、こうした情報だけでは選考するのに不十分です。自社の業務に必要不可欠な資格などがある場合に確認ができる程度にしか役立ちません。以前は高学歴であることや即戦力となる技術や経験値があることという観点が選考基準だったかもしれませんが、そうした観点での採用は、企業にマッチした候補者ではなく入社しても早く辞めてしまったり、企業への特別な思い入れがなく内定を出しても他に内定の出た企業へ行ってしまったりと、採用がうまくいかないケースが多いです。
そうならないために企業が知るべきなのは、その候補者が仕事に対してどのようなビジョンを持っていて、そのためにどのようなロードマップを描いているのかという彼らの意向です。エントリーシートにそうした項目を用意するなどし、適切な情報を得られるようにしましょう。
たとえば、多くの転職経験がありそれぞれの在籍期間が短い候補者がいたとして、入ってもすぐに転職してしまうと不安に思うかもしれません。しかし、それらの職歴がロードマップに沿っていて、その人がよりビジョンに近づいているという論理性があると転職の意図が理解でき、そのうえで次に自社で働くのがマッチしているのか否かを判断することができます。