採用サイト制作のヒントは「クリエイティブ」にあり! 事例詳細|つなweB

コーポレート・採用サイトが採用シーンに登場するタイミング

求職者によるファーストコンタクトの手段が、採用メディアやイベントに限らず多様化する時代。コーポレートサイト内での採用ページは、比較検討のフェーズで本領を発揮します。「この企業に応募したい」など候補がある程度絞り込まれたところで、比較材料となる情報を集めるためにコーポレートサイトに訪れるケースが多いです。

サイトが活用されるのが比較検討フェーズであるという特性を踏まえると、パッと見て「おっ、いいな!」と思う情緒面、「価値観や制度」など比較検討できる詳しい情報面での差別化が必要になります。そのコミュニケーションの手法として「5W1H」を用いて伝えていくのですが、「私たちはこんな人を求めています」というメッセージを色濃く伝える必要がある採用の文脈の中では、特に「Where=どんな場所で働いているのか?」「Who=どんな人が働いているのか?」「Why=なぜ今のビジネスをやっているのか?」が大事だと考えます。加えて、実際にどう働いてどう成長するという「How」をしっかりと伝える必要があるというのは、採用サイトならではの特徴。その企業の価値が訴求でき、「いい会社だな」と思ってもらえることができれば、採用プロセスはうまく運びます。

 

採用サイトは“コミュニケーション” 誰と会話をするのか?

最近のWebサイトを通じたコミュニケーションのキーワードは、エンパシー(共感)。企業と求職者の距離をどう近づけるかということです。「こんな人を求めています」と企業がいくら発信しても、個性がなく、ロボットのような相手には共感することも、関係性を築くこともできません。比較検討というフェーズだからこそ、価値観だったり、理念だったり、企業が目指す将来などが明確に表れていて、競合他社よりもなんだかよさそうだと感情を動かしてもらうことが大切。目指すべきは、企業が発する価値観が求職者の琴線に触れ、共感してもらうコミュニケーションです。そこで考えたいのが、「しゃべる人=企業」と「聞く人=求職者」について。まず企業のペルソナをつくり、企業の人格を形成すること。しゃべる人=自分たちの企業は、どのような価値観を持って、どんな人に向けて、どんなことをしゃべるのかを、企業の戦略や採用の戦略などをもとに明確にしていきます。聞く人である「どんな人に」というターゲットに向けて、どんな言葉で、どんなトーンでしゃべるのがいいのかということと、大枠のコンセプトやメッセージングの方向性、採用ページコンテンツのプランニングを行うことが、採用活動をブレなく行うベースとなります。

 

求職者が求めている情報は視覚に訴えかけるべし!

直感的にエンパシーして、企業と求職者の距離感を近づけたいときに、とてもいい働きをするのがビジュアルです。人間は情報収集をするとき、ほとんどを視覚情報から集めます。そういう意味でも写真の力は絶大。リクルートページで多くの求職者が気にしているのが「どんな環境で働くのか」「所在地はどこなのか」といったこと。これら「Where」を示す情報を、企業が持つ魅力を最大限に表すような“質感”がある写真を使い示すことが大切だと思います。自分たちの会社の魅力は社内にずっといると見落としがちですが、とにかく求職者にとって魅力的だと思えるものを全部洗い出し、整理して、他者より優れているところを見つけていきます。おしゃれなところにいたら、おしゃれな気分になるのと似ていて、自分がいる場所を誇ることができたら、自分もどこか誇らしく、幸せな状態になると思うんです。だから、私たちもクライアントの採用プロジェクトを手掛けるときにはよく、「まずは会社の中で一番いい素材を集めてください」と言っています。

採用ページなどをつくるときに、どこにコストをかければいいのか…と迷ったら、真っ先におすすめをするのは写真撮影です。質感を伝えることができる素敵な写真をつくってストックしておけば、採用サイトはもちろん、あらゆるPRメディアで使うことができるのでROI(投資効率)が高い。また確実に競合と差別化をするときに勝てる要素にもなります。コミュニケーションを円滑にするためのコンテンツとして、写真は効率がいいものです。

最近の傾向として動画を使ったサイトも多くあります。動画は確かに圧倒的な情報量で伝えてくれますが、写真に比べてコストがかかる。自分たちが伝えたい魅力や質感が、動画でしか表現できないのか、静止画でも十分伝わるものなのかで判断しましょう。

 

求職者がエンパシーしてしまう採用サイトのビジュアルつくりのヒント

教えてくれたのは…西本泰司_Taiji Nishimoto
株式会社フォーデジット シニアディレクター
八波志保(Player)
※Web Designing 2018年8月号(2018年6月18日発売)掲載記事を転載

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